この記事の要点
- マンション投資で税金は実際に減るが、効果が大きいのは課税所得900万円を超える人に限られる
- 節税額が目立つのは初年度だけで、2年目以降は経費が減り毎月の持ち出しだけが残りやすい
- 減価償却で減らした税金は売却時の譲渡所得として課税され、出口まで含めた計算が欠かせない
「マンション投資は節税になります」
「払いすぎた税金が戻ってきますよ」
営業担当者からこう勧められ、そのまま信じていいのか迷っていませんか。検索すると「節税は嘘」と書かれた記事も出てきます。
結論から言うと、マンション投資で所得税や住民税が減る仕組みは実在します。効果が出る人は限られていて、条件を外すと手元の現金だけが減っていきます。
この記事では、嘘と言われる4つの理由と、節税が成立する仕組みを整理しました。効果が出やすい人の条件や、営業トークの見極め方も取り上げます。
仕組みをつかめば、勧められた物件が自分に合うかどうかを自分で判断できるでしょう。
マンション投資の節税は嘘なのか

マンション投資の節税は嘘ではありません。所得税と住民税が実際に減る仕組みは税法上に存在します。
効果の大きさが年収や物件で何倍も変わるため、実感できなかった人からは「嘘」という声が上がります。
節税になる人は限られる
税金が目に見えて減るのは、高い税率が適用される人です。所得税の税率は課税所得が増えるほど上がり、900万円超1,800万円以下では33%です。
同じ100万円の赤字を給与と相殺しても、税率5%の人と33%の人では還付額が6倍以上変わります。
効果が出る条件と出ない条件
節税が成立するかは、帳簿上の赤字を作れるかで決まります。下の表で自分がどちらに近いか確認できます。
| 項目 | 効果が出やすい | 効果が出にくい |
| 課税所得 | 900万円超 | 500万円以下 |
| 建物の築年数 | 築古の中古 | 新築 |
| 保有年数 | 減価償却が続く期間 | 償却終了後 |
| 収支 | 帳簿上は赤字 | 帳簿上も黒字 |
右側の条件に多く当てはまるほど、節税を目的にした購入は向きません。
節税とは税金の繰り延べ
マンション投資の節税とは、税金を減らす仕組みではなく、支払う時期を後ろにずらす仕組みです。
保有中に減価償却費で減らした分は、売却時に建物の取得費から差し引かれます。結果として売却益が膨らみ、そのときの税金が増えます。
マンション投資の節税が嘘と言われる4つの理由

嘘と言われる理由は、仕組みそのものではなく効果の見え方にあります。主な理由は次の4点です。
- 効果が初年度に偏り、2年目以降は小さくなる
- ローン元本は経費にならない
- 土地は減価償却できない
- 税制改正で範囲が狭まった
順番に中身を確認していきます。
効果が初年度に偏る
購入初年度は、仲介手数料や不動産取得税などの一度きりの費用をまとめて経費にできる期間です。そのため赤字が大きくなり、還付額も目立ちます。
2年目以降はこれらの費用が消え、赤字幅は一気に縮みます。初年度の還付額が続くと考えると、期待との差が開きます。
ローン元本は経費にならない
毎月のローン返済のうち、経費にできるのは利息だけです。元本の返済は借金の減少にあたり、経費にはできません。
返済が進むほど利息の割合は減り、経費も年々小さくなります。手元の支出は変わらないのに、帳簿上の赤字だけが消えていきます。
土地は減価償却できない
減価償却の対象は建物と設備で、土地は価値が減らない資産として扱われます。区分マンションの価格にも土地の持分が含まれ、償却できません。
土地の割合が高いほど、償却できる金額は小さくなります。
不動産所得が赤字の場合、土地取得のための借入利息にあたる部分も相殺できません。
税制改正で範囲が狭まった
国外中古建物を使った節税は令和2年度の税制改正で見直されました。2021年分以降は、減価償却費に相当する部分を損益通算できません。
国外不動産のように、行きすぎた使われ方をした手法は改正で見直されてきました。今ある節税策が将来も使える保証はありません。
マンション投資で節税できる仕組み

税金が減る仕組みは3つあり、どれも不動産所得の赤字を給与と相殺する流れにつながります。
具体的には減価償却費の計上、給与所得との損益通算、経費計上です。
減価償却費の計上
減価償却費とは、建物の購入費用を法定耐用年数にわたって分割し、毎年の経費として計上する仕組みです。
現金の支出がない経費のため、家賃収入があっても帳簿上は赤字にできます。鉄筋コンクリート造の住宅用建物は、法定耐用年数が47年です。
給与所得との損益通算
損益通算とは、不動産所得の赤字を給与所得から差し引ける制度です。会社員は、源泉徴収で納めすぎた所得税が確定申告で還付されます。
住民税は翌年度の金額が下がる形で反映され、還付の実感がわきにくくなります。
経費にできる費用
経費にできるのは、賃貸経営のために支出した費用です。主な項目を挙げます。
- 管理費・修繕積立金
毎月の維持費として計上
- ローン利息
建物部分に対応する利息が対象
- 固定資産税・都市計画税
保有中にかかる税金
- 火災保険料
その年の保険期間に対応する部分
判断に迷う支出は、税理士に確認すると安全です。
出口で決まるマンション投資の節税効果

保有中に減った税金は、売却時の税金と合わせて損得が確定します。
減価償却を多く使った物件ほど、売却時の課税は重くなります。
売却時にかかる譲渡所得税
売却益は、売却価格から取得費と譲渡費用を引いて計算します。建物の取得費は、保有中に計上した減価償却費を差し引いた金額です。
毎年の節税額が大きいほど取得費は小さくなり、売却益は膨らみます。
所有期間5年超で税率が下がる
譲渡所得の税率は所有期間で2段階に分かれます。売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかどうかが境目です。
| 所有期間 | 区分 | 所得税 | 住民税 |
| 5年以下 | 短期譲渡所得 | 30% | 9% |
| 5年超 | 長期譲渡所得 | 15% | 5% |
復興特別所得税が別途加算されるため、実際の負担率は短期で39.63%、長期で20.315%が目安です。
損をしないためのマンション投資の節税チェック

購入前に確認したいのは、自分の課税所得と営業担当者の説明内容です。
この2点を押さえれば、節税を理由にした不利な購入は避けられます。
課税所得900万円が目安
節税を主な目的にするなら、課税所得900万円が分岐点です。900万円以下の所得税率は23%以下にとどまり、還付額より毎月の持ち出しが上回りやすくなります。
課税所得は源泉徴収票の給与所得控除後の金額から、各種控除を引くと出ます。
営業トークの見極め方
信頼できる説明かどうかは、数字の出し方で判断できます。
- 2年目以降の還付見込み額まで提示しているか
- 空室や家賃下落を織り込んだ収支表があるか
- 売却時の譲渡所得税に触れているか
- 節税以外の収益性を説明できるか
初年度の還付額だけを強調する提案は、判断材料になりません。
よくある質問
マンション投資の節税は嘘なのでしょうか?
ワンルームで実際いくら節税できますか?
節税効果は何年くらい続きますか?
年収500万円でも節税になりますか?
まとめ|マンション投資の節税は仕組みを知ってから判断する

マンション投資の節税は嘘ではなく、課税所得900万円超という条件つきの仕組みです。効果は初年度に偏り、売却時には減らした分の税金が戻ってきます。
まずは源泉徴収票で自分の課税所得を確認するところから始めてみましょう。そのうえで、収支表に2年目以降と売却時の数字が入っているかを見比べます。
数字の裏側をつかめば、節税という言葉に流されず、収益で選ぶ判断ができるようになります。


