ワンルームマンション投資の修繕費|負担範囲と備え方を解説

ワンルームマンション投資の修繕費|負担範囲と備え方を解説

この記事の要点

  1. ワンルームマンション投資の修繕費は、修繕積立金・設備修理費・原状回復費の3つに分かれる
  2. 共用部分は修繕積立金、専有部分の経年劣化や通常損耗は、原則としてオーナー側の負担
  3. 購入前に長期修繕計画や積立状況を確認し、設備交換や退去に備えた資金も確保しておく

ワンルームマンション投資では、ローン返済や管理費だけでなく、建物や室内設備の修繕費も発生します。

修繕費を考慮せずに収支を計算すると、設備の故障や退去が重なったときに、手元資金が不足する可能性があります。

ただし、ひとくちに修繕費といっても、マンション全体の共用部分に使う費用と、所有する住戸内に使う費用では、支払い方や負担する人が異なります。

この記事では、ワンルームマンション投資で発生する修繕費の種類や目安、費用が高くなるケース、購入前に確認したいポイントを解説します。

ワンルームマンション投資でかかる修繕費は3種類

ワンルームマンション投資でかかる修繕費は3種類

ワンルームマンション投資で想定しておきたい修繕費は、主に次の3種類です。

種類主な対象基本的な負担者
修繕積立金外壁、屋上、廊下、エレベーターなど区分所有者
室内設備の修理・交換費給湯器、エアコン、換気扇、水回りなど原則としてオーナー
原状回復費退去後の清掃、内装・設備の補修など原因によりオーナーまたは入居者

同じ「修繕」に見えても、対象となる場所や故障の原因によって負担区分が変わります

共用部分の修繕に備える修繕積立金

修繕積立金は、マンションの外壁や屋上、共用廊下、給排水設備、エレベーターなどを計画的に修繕するため、管理組合が区分所有者から毎月集める資金です。

所有する住戸内のリフォームや設備交換は、原則として対象に含まれません。

修繕積立金を支払っていても、室内の故障にかかる費用まで賄えるわけではない点に注意しましょう。

室内設備の故障や交換にかかる修繕費

給湯器やエアコン、キッチン、トイレ、浴室設備など、専有部分に設置された設備の故障や交換は、原則としてオーナーが費用を負担します。

ワンルームマンションは室内が比較的コンパクトですが、設備の数が極端に少ないわけではありません。

給湯器やエアコンなどの主要設備が故障すると、入居者の生活に影響するため、早急な対応が必要です。

修理で済むか交換が必要かは、設備の使用年数や故障箇所によって異なります。

購入時には設備の設置時期や交換履歴も確認しておきましょう。

賃貸の部屋で雨漏りが発生したら?オーナーが取るべき対応と修繕費の負担を解説

退去時に発生する原状回復費

入居者が退去すると、室内清掃や壁紙・床の補修、設備の点検などが必要になることがあります。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、通常の使用による損耗や経年変化は、原則として貸主側の負担とされています。(出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」

一方、入居者の故意・過失や通常の使用方法を超える損傷は、入居者負担になる場合があります。

実際の負担区分は、損傷の原因や契約内容によって変わります。

退去時には写真や修繕履歴を確認し、契約書とガイドラインに沿って判断することが大切です。

初心者オーナーでも安心|マンションの原状回復費用の目安と管理ポイント

ワンルームマンション投資にかかる修繕費の目安

ワンルームマンション投資にかかる修繕費の目安

修繕費は、建物の規模や築年数、設備の状態などによって異なります。

一律の金額で判断せず、マンション全体と専有部分を分けて確認しましょう。

修繕積立金の目安

国土交通省の「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」では、機械式駐車場分を除く修繕積立金の目安が示されています。

建物の条件1㎡当たりの月額目安
20階未満・延床面積5,000㎡未満235~430円
20階未満・5,000㎡以上10,000㎡未満170~320円
20階未満・10,000㎡以上20,000㎡未満200~330円
20階未満・20,000㎡以上190~325円
20階以上240~410円

出典:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」

ただし、機械式駐車場の有無や建物の形状、設備の仕様によっても必要額は変わります

室内設備の修理・交換費用

主な設備の交換・修理費用の目安は以下の通りです。

設備費用目安
エアコン25~30万円
給湯器15~40万円
換気扇・レンジフード1~5万円
システムキッチン・浴室80~150万円

室内設備の費用は、部分修理で済む場合と本体交換が必要な場合で大きく異なります。

また、機種や施工条件、部材価格によっても金額が変動します。

具体的な費用は、設備の型式や現地の施工条件を伝えたうえで、管理会社や施工会社から見積もりを取りましょう。

退去時の原状回復費用

原状回復費は、5~20万円程度かかるのが一般的です。

ただし、入居期間や室内の状態、間取り、工事範囲によって変わります。

ハウスクリーニングだけで済む場合もあれば、壁紙や床、設備の補修が必要になる場合もあります。

ワンルームマンションの修繕費が高くなるケース

ワンルームマンションの修繕費が高くなるケース

想定以上の支出を避けるには、どのような場合に修繕費が増えやすいかを知っておく必要があります。

修繕積立金が段階増額方式になっている

修繕積立金の積立方法には、計画期間を通して均等に積み立てる「均等積立方式」と、当初の金額を抑えて段階的に引き上げる「段階増額積立方式」があります。

段階増額方式では、購入時の修繕積立金が安く見えても、将来的に負担が増えることがあります。

現在の月額だけでなく、長期修繕計画に記載された増額時期と増額後の金額まで確認しましょう。

なお、均等積立方式でも、工事費の上昇や計画の見直しによって増額される場合があります。

管理組合の積立金が不足している

修繕積立金が計画どおりに集まっていないマンションでは、修繕工事の延期や積立金の値上げ、一時金の徴収が必要になる可能性があります。

国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、現在の積立額が計画額に対して不足しているマンションは36.6%でした。(出典:令和5年度マンション総合調査結果

中古物件を購入するときは、修繕積立金の月額だけでなく、管理組合全体の積立残高や滞納状況も確認する必要があります。

築年数の経過で設備交換が重なる

築年数が経過した物件では、給湯器やエアコン、換気設備などの交換が近い時期に重なることがあります。

購入直後に設備交換が発生すれば、当初想定していた収支が悪化しかねません。

築古物件を検討するときは、価格や表面利回りだけで判断せず、設備の年式と修繕履歴を確認しましょう。

ワンルームマンション投資の修繕費に備える方法

ワンルームマンション投資の修繕費に備える方法

修繕費は完全には避けられませんが、購入前の確認と運用中の資金管理によって、急な支出による影響を抑えられます。

長期修繕計画と管理状況を確認する

購入前には、長期修繕計画、総会議事録、重要事項調査報告書などを確認します。

見るべきポイントは、今後の工事予定、修繕積立金の増額計画、積立残高、滞納額、一時金徴収の予定などです。

長期修繕計画が作成されていても、長期間見直されていない場合は、現在の工事費や建物の状態が反映されていない可能性があります。

マンション修繕の一時金とは?|発生理由と払えない時の対処法を解説

表面利回りではなく実質収支を計算する

投資判断では、年間家賃収入を物件価格で割った表面利回りだけでなく、管理費、修繕積立金、賃貸管理費、固定資産税、保険料、空室損失などを差し引いた実質収支を確認します。

さらに、修繕積立金の増額や室内設備の交換を想定した支出も加え、複数の条件で収支を試算しましょう。

修繕用の資金を別に確保する

家賃収入をすべてローン返済や生活費に回すと、設備の故障や退去が発生した際に対応できません。

毎月の収支から一定額を修繕用として確保し、日常の資金とは分けて管理する方法が有効です。

必要額は築年数や設備状態、保有戸数によって異なるため、修繕履歴を見ながら定期的に見直しましょう。

よくある質問(FAQ)

よくある質問(FAQ)

修繕積立金は入居者とオーナーのどちらが払いますか?

修繕積立金を管理組合へ支払う義務を負うのは、区分所有者であるオーナーです。
家賃設定の際に保有コストとして考慮することはできます。
しかし、管理組合への支払者が入居者に変わるわけではありません。

室内設備の修理に修繕積立金は使えますか?

原則として使えません。
修繕積立金は共用部分の計画修繕に充てる資金であり、専有部分の設備修理やリフォームはオーナーが別途負担します。
ただし、配管などは位置や管理規約によって扱いが異なるため、管理会社へ確認しましょう。

退去時の修繕費はすべて入居者負担ですか?

すべてが入居者負担になるわけではありません。
通常損耗や経年変化は原則としてオーナー負担で、入居者の故意・過失による損傷などは入居者負担になる場合があります。
最終的には契約内容と損傷原因に基づいて判断します。

修繕積立金は将来値上がりしますか?

段階増額方式の場合は、あらかじめ値上げが計画されていることがあります。
また、均等積立方式でも、工事費の上昇や長期修繕計画の見直しによって増額される可能性があります。

ワンルームマンション投資では3種類の修繕費に備えよう

ワンルームマンション投資では3種類の修繕費に備えよう

ワンルームマンション投資では、共用部分のための修繕積立金に加え、室内設備の修理・交換費や退去時の原状回復費も発生します。

購入時には、現在の修繕積立金だけでなく、長期修繕計画や積立残高、増額予定、室内設備の交換履歴まで確認しましょう。

修繕費を含めた実質収支を計算し、突発的な支出に備えることが、安定したマンション運営につながります。

著者

クラウド管理編集部

関連記事/ Related