この記事の要点
- アパートの床材は、初期費用だけでなく耐久性・清掃性・補修のしやすさまで比較することが大切
- クッションフロア、フロアタイル、フローリングなど、床材によって費用と特徴が異なる
- 入居者層や部屋の用途に合わせて床材を使い分けることが、長期的な維持費を抑えるポイント
アパートのリフォームで床材を選ぶとき、「できるだけ安く工事したい」と考えるオーナーは多いでしょう。
空室期間が長くなっている物件では、内装工事の費用を抑えて早く募集を始めたいケースもあります。
しかし、床材は単純に「一番安いもの」を選べばよいわけではありません。
入居者が毎日使う場所だからこそ、傷や汚れへの強さ、掃除のしやすさ、退去後の補修まで考える必要があります。
この記事では、アパートで使われる代表的な床材の特徴や費用の目安、オーナーが選ぶときに確認したいポイントを解説します。
アパートで使われる床材にはどんな種類がある?

賃貸アパートでよく検討されるのが、クッションフロア、フロアタイル、フローリングです。
| 床材 | 費用の目安 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| クッションフロア | 2,600~4,900円/㎡程度 | 安価・耐水性・掃除しやすい | 傷やへこみがつく場合がある |
| フロアタイル | 4,000~7,000円/㎡程度 | 耐久性・デザイン性・部分補修 | クッションフロアより高め |
| フローリング | 8,400~15,000円/㎡程度 | 木質感・高級感 | 費用が高くなりやすい |
東京都の施工料金に関する公開データでは、クッションフロアは2,600~4,900円/㎡、フロアタイルは4,000~7,000円/㎡、複合フローリングの張り替えは8,400~15,000円/㎡程度が目安とされています。
実際の費用は、施工面積や下地の状態、既存床の撤去などによって変わります。
出典:ミツモア「東京都のフローリング・床張り替え料金相場」
クッションフロア
クッションフロアは、塩化ビニル素材のシート状床材です。
比較的安価で、水に強く、掃除もしやすいため、キッチン・洗面所・トイレなどに向いています。
木目調や石目調などデザインも豊富なので、居室に使用することも可能です。
一方で、家具などの重さによってへこみが残ったり、鋭利なものによって傷がついたりする場合があります。
フロアタイル
フロアタイルは、塩化ビニル系のタイル状床材です。
木目調や石目調など種類が多く、比較的傷や摩耗に強いことが特徴です。
また、傷んだ部分だけを交換しやすい商品もあるため、退去時の補修を考えるオーナーにとって使いやすい選択肢です。
初期費用はクッションフロアより高くなりやすいため、見た目や耐久性を重視したい部屋に絞って採用する方法もあります。
フローリング
フローリングは木質感があり、居室をすっきり見せやすい床材です。
リビングや居室の印象を重視したい物件では、入居者へのアピール材料になる可能性があります。
ただし、クッションフロアなどと比べると工事費用が高くなりやすいため、物件の家賃帯やリフォーム予算とのバランスを考えることが重要です。
安い床材を選ぶときこそ「長く使えるか」を確認

床材の費用を比較するとき、1㎡あたりの価格だけを見てしまうのは避けたいところです。
例えば、初期費用が安くても、傷や汚れが目立ちやすく、短期間で広範囲の補修が必要になれば、長期的な維持費が高くなる可能性があります。
反対に、多少価格が高くても耐久性があり、部分的な交換がしやすい床材なら、修繕時の負担を抑えられるケースがあります。
見積もりを取るときは、次の項目も確認しましょう。
- 傷やへこみがつきにくいか
- 水や汚れに強いか
- 日常の掃除がしやすいか
- 一部分だけ補修できるか
- 退去後に同じ商品を入手できるか
特に最後の点は意外と重要です。
数年後に同じ床材が廃番になっていると、部分補修ではなく広い範囲の張り替えが必要になる場合があります。
部屋の用途によって床材を使い分ける

アパートの床をすべて同じ素材にする必要はありません。
例えば、キッチンや洗面所、トイレは耐水性と掃除のしやすさを重視してクッションフロア、リビングや居室はデザイン性や耐久性を考えてフロアタイルやフローリングにする方法があります。
物件全体のリフォーム費用を抑えながら、入居者の目につきやすい場所には予算をかけるという考え方です。
特にリビングは、内見時に床の状態が目に入りやすい場所です。
築年数が経過した物件でも、床をきれいにすることで室内の印象が変わる可能性があります。
「すべて高級な床材」ではなく、「どこにお金をかけるか」を考えることが、オーナーにとって効率的なリフォームにつながります。
入居者目線で「掃除しやすさ」も考える

床材選びでは、オーナー側の修繕費だけでなく、入居者が日常的に使いやすいかも重要です。
例えば、キッチンでは油や水が床に落ちることがあります。掃除しやすく、水分に対応しやすい床材なら、日々の手入れもしやすくなります。
また、ファミリー向け物件では、子どもの食べこぼしや飲み物による汚れも想定しておくとよいでしょう。
高齢者が入居する可能性がある物件では、滑りにくさにも注意が必要です。
国土交通省の住宅バリアフリー化に関する資料でも、「滑りにくい床材料への取り替え」が改修項目として挙げられています。
床材はデザインだけで決めず、「誰が、どのように使う部屋なのか」を考えて選ぶことがポイントです。
原状回復まで考えて床材を選ぶ

賃貸物件では、退去時の原状回復も床材選びと関係します。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、通常の使用による損耗と、借主の故意・過失などによる損耗を区別して考えることが基本とされています。
そのため、床に傷があったからといって、必ずしも入居者に全面張り替え費用を請求できるとは限りません。
契約内容や傷の原因、補修範囲などによって判断が変わるため、実際の請求については管理会社や専門家への確認が必要です。
オーナーとしては、退去後に「どこまで直す必要があるのか」を考え、部分補修がしやすい床材を選んでおくことも管理コストを抑える方法の一つです。
よくある質問(FAQ)

アパートの床材は一番安いクッションフロアで十分ですか?
クッションフロアは比較的安価で、水にも強いため、アパートの水回りなどで使いやすい床材です。
東京都の公開相場では、施工費は2,600~4,900円/㎡程度が目安とされています。
出典:ミツモア「東京都のフローリング・床張り替え料金相場」
ただし、傷やへこみが気になる居室では、フロアタイルなども含めて比較することをおすすめします。
フロアタイルとクッションフロアはどちらが安いですか?
一般的にはクッションフロアのほうが安価です。
東京都の公開相場では、クッションフロアが2,600~4,900円/㎡、フロアタイルが4,000~7,000円/㎡程度とされています。
出典:ミツモア「東京都のフローリング・床張り替え料金相場」
ただし、フロアタイルは部分補修のしやすさなどにメリットがあるため、初期費用だけでなく維持管理まで含めて比較しましょう。
床の傷は退去時に入居者へ請求できますか?
国土交通省の原状回復ガイドラインでは、通常損耗と借主の故意・過失などによる損耗を分けて考えることが基本とされています。
通常の使用による傷みまで、必ず入居者に負担してもらえるわけではありません。
実際の負担範囲は契約内容や傷の状態によって異なるため、判断に迷う場合は管理会社などに確認しましょう。
床材はどこを見て選べばいいですか?
まず「費用・耐久性・掃除のしやすさ・補修性」の4点を比較すると選びやすくなります。
さらに、単身者向けかファミリー向けか、キッチンなのか居室なのかなど、使用する人と場所も考慮しましょう。
初期費用だけでなく、退去後の修繕まで含めて比較することがポイントです。
まとめ

アパートの床材は、安ければ安いほどよいとは限りません。
クッションフロアはコストと扱いやすさ、フロアタイルは耐久性や部分補修、フローリングは木質感や室内の印象など、それぞれにメリットがあります。
オーナーが床材を選ぶときは、
- 物件の家賃帯
- 入居者層
- 部屋の用途
- 耐久性
- 掃除のしやすさ
- 補修のしやすさ
- 退去時の原状回復
まで考えて比較することが大切です。
「一番安い床材」を探すのではなく、「この物件で長く使いやすい床材は何か」という視点を持つことで、初期費用と将来的な修繕費のバランスを取りやすくなります。


