マンション投資の家賃下落リスク|3つの原因と2つの対策を解説

マンション投資の家賃下落リスク|3つの原因と2つの対策を解説

この記事の要点

  1. マンション投資は家賃下落が避けられない
  2. 要因は人口・劣化・競合の3つ
  3. 数字を根拠に対策すれば下落の幅を抑えることもできる

マンション投資を検討していて、家賃下落という言葉に不安を覚えていませんか。

家賃が下がる仕組みを知らないまま契約し、後悔する人が少なくありません。

本記事では、家賃下落が起きる3つの要因と、下落を抑えるための具体的な対策を数字とともに解説します。

読み終える頃には、営業担当の説明を自分の判断基準で見極められるようになります。

マンション投資で家賃が下落する3つの要因

マンション投資における家賃下落とは、入居者から得られる賃料が経年とともに徐々に減っていく現象です。

下落の背景には、単一の原因ではなく複数の要因が重なっています。

主な要因は、人口動態の変化、建物の経年劣化、そして周辺エリアの競合物件の増加です。個別に理解しておくと、物件選びの判断基準がぶれにくくなるでしょう。

以下で、それぞれの要因を具体的に見ていきましょう。

人口減少による需要と供給のミスマッチ

一部の郊外エリアでは、人口減少により賃貸需要が縮小しています。供給側では新築マンションの建設が今も続いているのが実情です。

需要よりも供給が多い状態が続くと、貸主同士の価格競争が生じやすくなります。

特に、単身者向けの小型物件が集中するエリアでは、この傾向が顕著です。

経年劣化が家賃を下げるメカニズム

建物は築年数を重ねるごとに劣化し、それに応じて家賃も下がっていきます。

三井住友トラスト基礎研究所の調査(東京23区・単身者向け/コンパクトマンション対象)によると、築3〜10年は下落率が最も大きいフェーズとされています。

築11年を過ぎると下落速度は緩やかになり、家賃は次第に安定してくる傾向です。

築年数と下落率の関係を知っておくと、購入時期の判断材料になるでしょう。

引用:三井住友トラスト基礎研究所「経年劣化が住宅賃料に与える影響とその理由」

周辺エリアの競合物件増加

同じエリア内に競合となる物件が増えると、入居者の奪い合いが起こります。その結果、家賃を下げてでも空室を埋めようとする貸主が増える傾向です。

特に、大規模な再開発が進むエリアでは新築物件の供給が集中しやすくなります。

購入前には、周辺エリアの開発計画を確認しておくことが欠かせません。

家賃下落を防ぐ2つの対策

家賃下落そのものを完全に避けることはできませんが、下落の幅を抑える対策はあります。

対策は大きく分けて、購入前に行うものと保有後に行うものの2つです。

購入前は物件そのものの条件を見極めることが重要になります。保有後は資産価値を維持する運用が求められるでしょう。

以下の表に、家賃が下落しにくい物件の特徴をまとめました。

項目 下落しにくい条件
立地 主要駅から徒歩10分以内
間取り 単身世帯の需要が高いワンルームから1LDK
設備 オートロックや宅配ボックスなど利便性が高いもの

この表からわかるように、利便性と暮らしやすさを兼ね備えた物件は需要が途切れにくくなります。

購入前に見極める物件選定の基準

物件選定の際は、上記の表にある条件を事前に把握しておくことが重要です。

特に、立地と間取りは賃貸需要に直結するため、優先して確認しましょう。

設備面では、生活の利便性を高める機能が備わっているかを見ておくと安心です。結果として、家賃も維持されやすいといえるでしょう。

保有後に資産価値を維持する管理の工夫

保有後は、物件の状態を良好に保つ管理が家賃の維持に直結します。

具体的には、次のような取り組みが効果的です。

  • 共用部の清掃や設備点検をこまめに行う
  • 入居者に長く住み続けてもらう工夫をする
  • 入居者募集の速さと対応力に優れた管理会社に委託する

上記を実践すると、空室による収入減少を避けやすくなります。

よくある質問|家賃下落に関する疑問を解決

家賃の下落率は平均でどのくらいですか

築0〜25年の平均下落率は年1%程度、築3〜10年はこれを上回る年2%前後、築11〜20年は平均を下回る1%未満、築21年以降は年0.1%程度まで落ち着くという調査結果があります(三井住友トラスト基礎研究所調べ:東京23区・単身者向け/コンパクトマンション対象)

引用:三井住友トラスト基礎研究所「経年劣化が住宅賃料に与える影響とその理由」

新築と中古はどちらが下落しにくいですか

新築は購入直後の下落幅が大きく、中古はすでに下落が落ち着いている場合が多いといえます。ただし、立地や管理状態によって差が出るため、一概には判断できません。

下落を前提にした収支シミュレーションはどう組みますか

築3〜10年は年2%前後、11〜20年は1%未満、21年以降は0.1%程度という調査データ(前掲・三井住友トラスト基礎研究所調べ)を参考にすると安心です。下落分を織り込んだうえで、返済計画に無理がないか確認することが重要です。

家賃下落を織り込んだ収支シミュレーションの作り方

販売資料の収支計画は、現在の家賃が長期間続く前提で作られていることが少なくありません。購入判断の前に、下落を織り込んだ自分用のシミュレーションを作っておくと、営業担当者の提示条件との差が見えてきます。

下表は、シミュレーションに反映しておきたい変動要素と、目安として置く前提をまとめたものです。物件やエリアによって適切な数値は変わるため、あくまで検討の出発点として使ってください。

変動要素シミュレーションでの置き方の目安
家賃築浅期は下落幅を大きめに、築11年以降は緩やかに設定する
空室期間入居者の入れ替わりごとに1〜2か月の空室を見込む
修繕積立金長期修繕計画に沿った段階的な引き上げを反映する
管理委託費家賃連動型(家賃の5%前後)の場合、家賃下落に応じて減額される
原状回復・広告費退去1回あたりの費用と、AD(広告料)の負担月数を見込む
固定資産税・都市計画税3年ごとの評価替えで変動する前提で置く

見落とされやすいのが、退去1回ごとに発生するコストです。原状回復費に加え、繁忙期を外した募集では仲介会社へのAD(広告料)として家賃1か月分程度を負担するケースがあります。入退去の回数はそのまま収支に効いてきます。

賃貸の募集は1〜3月が繁忙期で、この時期を外すと決まるまでの期間が延びやすくなります。退去予告を受けた段階で募集を開始し、繁忙期に間に合わせられるかどうかが、実質的な空室期間を左右します。

家賃改定・値下げ判断の実務的な進め方

空室が続いたときに考えるべきは、値下げか設備投資かの二択です。判断を感覚に頼らず、数字で比較する手順を持っておくと、必要以上の値下げを避けられます。

  • 募集開始から何週間経過したか、内見が何件入ったかを管理会社に確認する
  • 内見はあるのに決まらない場合は、価格ではなく室内の状態や設備が原因の可能性を疑う
  • 内見自体が入らない場合は、募集条件(賃料・初期費用・掲載写真)を見直す
  • 賃料を下げる前に、フリーレント1か月や敷金・礼金の減額で対応できないか検討する
  • 値下げ額×12か月×想定保有年数を計算し、空室1か月分の損失と比較する
  • 同一物件内・近隣の競合物件の募集条件を実際のポータルサイトで確認する

賃料を月3,000円下げると、年間3万6,000円の減収になります。これは一度下げると次の入居者にも引き継がれるうえ、収益還元法で評価される売却価格にも影響するため、空室1か月を埋めるための値下げが長期的には割高になることがあります。

そのため実務では、恒久的な賃料引き下げよりも、フリーレントや初期費用の軽減といった一時的な条件緩和が先に検討されます。表面上の賃料水準を維持できる点が、この方法の利点です。

既存入居者から賃料減額を求められたときの考え方

入居中の借主から賃料の減額を申し入れられることがあります。借地借家法第32条には借賃増減請求権が定められており、経済事情の変動や近傍同種の建物の賃料と比較して不相当となった場合、借主から減額を請求できるとされています。

ただし、請求があれば自動的に減額されるわけではありません。当事者間の協議が調わない場合は調停・訴訟によって判断されることになり、周辺相場との比較資料が判断材料となります。

実務的には、長く住んでいる入居者からの申し入れであれば、退去に伴う原状回復費・空室期間・広告費の合計と、減額に応じた場合の減収額を比較して判断することになります。個別の対応方針は、管理会社や弁護士に相談したうえで決めることをおすすめします。

まとめ|数字を根拠に家賃下落と向き合う

マンション投資における家賃下落は、人口動態、経年劣化、競合物件の増加という3つの要因が重なって起こります。

下落そのものを止めることはできませんが、物件選定の基準を明確にすることは可能です。保有後の管理を丁寧に行えば、下落の幅を抑えることもできるでしょう。

今日からできる行動としては、検討中の物件について収支シミュレーションを組んでみることです。下落率は築3〜10年は年2%前後、11年以降は1%を下回るという同調査データを根拠に説明できるようになれば、判断の軸がぶれにくくなります。

営業担当の話をそのまま受け入れるのではなく、ご自身の判断基準をもって対応しましょう。

その積み重ねが、将来の安定した資産形成につながります。

著者

クラウド管理編集部

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