503人が読んでいます

2025年管理法・区分所有法改正の衝撃!管理組合が今すべき対策とは

2025年管理法・区分所有法改正の衝撃!管理組合が今すべき対策とは

この記事の要点

  1. 2025年5月に区分所有法等の改正が成立し、2026年4月施行予定。老朽化マンションの合意形成が容易になり、所有者不明住戸問題にも対処可能に。
  2. 建て替え・共用部分変更・一棟リノベーションなどの決議要件が大幅に緩和され、「出席者多数決」による機動的な運営が可能になる。
  3. 管理組合は今のうちに規約見直し・情報収集・専門家連携・修繕計画の再点検を進めることが、資産価値維持の鍵となる。

「老朽化したマンションの大規模修繕が、所有者の同意が集まらず進まない」「相続放置で連絡の取れない区分所有者がいて、総会の決議ができない」——こうした悩みは、いま全国の管理組合・不動産オーナーが直面している深刻な課題です。2025年5月に成立した区分所有法等の改正は、まさにこの「2つの老い(建物の老朽化と居住者の高齢化)」に正面から対応するための制度改革です。

本記事では、不動産投資家・マンションオーナー・管理組合役員の方に向けて、改正の背景から具体的な決議要件の変更、施行時期、そして「今すぐ取り組むべき対策」までを、比較表やFAQを交えながら徹底解説します。

2025年区分所有法改正とは?背景と必要性

2025年区分所有法改正とは、正式には「老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律」を指します。令和7年(2025年)5月に成立し、令和8年(2026年)4月から段階的に施行される予定です。区分所有法の本格的な改正は、2002年(平成14年)以来、実に約20年ぶりとなります。

背景にある「2つの老い」

改正の最大の背景は、「マンションの高経年化(建物の老い)」と「居住者の高齢化(人の老い)」が同時進行している点にあります。国土交通省の推計によると、築40年以上のマンションは今後急増し、その規模感は以下のとおりです。

時点 築40年以上のマンション戸数(推計)
2023年末 約137万戸
10年後(2033年) 約215万戸(約1.6倍)
20年後(2043年) 約464万戸(約3.4倍)

※数値は国土交通省公表の推計に基づく概数です。築年数が経過するほど、外壁の剥落や給排水管の劣化、耐震性の問題などが顕在化し、適切な修繕・建て替え・解体の判断が不可欠になります。

従来の区分所有法で生じていた3つの壁

  • 所有者不明・所在不明住戸の増加:相続登記がなされないまま放置され、誰が所有者か分からない、あるいは連絡が取れない住戸が決議の妨げになる。
  • 高い決議要件:共用部分の重大変更や規約変更には区分所有者・議決権の4分の3以上、建て替えには5分の4以上という高いハードルがあり、合意形成が困難。
  • 再生手段の不足:解体や一棟まるごとのリノベーションには「全員同意」が必要で、現実的にほぼ不可能だった。

これらの「壁」を取り除き、老朽化マンションが「管理不全」に陥らないようにすることが、今回の改正の核心です。投資家・オーナーにとっては、保有物件の出口戦略(建て替え・売却・解体)の選択肢が広がることを意味します。

改正の主なポイント(決議要件・所有者不明問題・再生制度)

管理組合の運営に直接影響する重要な変更点を、(1)所有者不明問題への対応、(2)決議要件の緩和、(3)マンション再生制度の新設、という3つの視点から解説します。

1. 所有者不明・所在不明問題への対応

改正法では、裁判所への申立てによって、所在が不明な区分所有者や、一定期間連絡が取れない区分所有者を「決議の母数(分母)」から除外できる仕組みが導入されます。これにより、一部の連絡不能者がいるために決議が永久に成立しない、という事態を回避できます。

  • 所在等不明区分所有者の議決権除外:裁判所の決定により、所在不明者を決議の分母から外して集会を成立させられる。
  • 催告に応じない区分所有者への対応:賛否を明らかにしない(出席も意思表示もしない)区分所有者を、一定の手続きを経て決議の母数から除外できる。
  • 国外居住者・所有者の管理人制度:区分所有者に代わって権利を行使する管理人を選任できる制度も整備。

2. 決議要件の緩和【改正前後の比較表】

合意形成を容易にするため、複数の決議要件が緩和されました。決議事項ごとの変更点を一覧表にまとめます。最大のポイントは、規約変更や共用部分の重大変更が「区分所有者・議決権の4分の3以上」から「出席者の過半数(定足数は区分所有者・議決権の過半数)」へと大幅に緩和される点です。

決議事項 現行(改正前)の要件 改正後の要件 特記事項
普通決議 出席者の過半数 出席者の過半数 変更なし
規約の設定・変更・廃止 区分所有者・議決権の4分の3以上 出席者の過半数(定足数は過半数) 会議の要領の通知が必要
共用部分の重大変更 区分所有者・議決権の4分の3以上 出席者の過半数(定足数は過半数) 会議の要領の通知が必要
共用部分の変更(バリアフリー化等) 区分所有者・議決権の4分の3以上 区分所有者・議決権の3分の2以上 要件緩和
建て替え(一般) 区分所有者・議決権の5分の4以上 変更なし 原則維持
建て替え(耐震性不足等の特定要件) 区分所有者・議決権の5分の4以上 区分所有者・議決権の4分の3以上 特定要件を満たす場合
一棟リノベーション・解体 全員の同意 区分所有者・議決権の5分の4以上 大幅な要件緩和
一棟リノベーション・解体(特定要件) 全員の同意 区分所有者・議決権の4分の3以上 特定要件を満たす場合

特に「一棟リノベーション・解体」が、これまでの「全員同意」から「5分の4以上(条件次第で4分の3以上)」へ緩和された意義は非常に大きく、これまで事実上不可能だった一棟まるごとの再生・解体が現実的な選択肢になります。

3. マンション再生の円滑化(新制度の創設)

老朽化マンションの再生を促進するため、新たに2つの事業スキームが整備されました。

  • マンション取壊し・敷地売却事業:老朽化マンションを取り壊し、その敷地を売却する場合に、一定の多数決で実行できる。区分所有者は売却益を持分に応じて受け取る。
  • マンション更新(一棟リノベーション)事業:建物の構造躯体を残したまま大規模改修・再生を行う場合に、一定の多数決で実行できる。建て替えより費用・期間を抑えられる可能性がある。

また、隣接地を含めた一体的な建て替えや、借地権付きマンションの建て替えも従来より進めやすくなりました。これにより、立地条件の良い老朽化マンションは、再開発による資産価値向上のチャンスも広がります。

改正のメリット・デメリット

投資家・オーナー・管理組合の立場から、今回の改正がもたらすメリットとデメリット(留意点)を整理します。

メリット

  • 所有者不明住戸があっても決議が成立しやすくなり、大規模修繕や建て替えが前に進む。
  • 決議要件の緩和で、機動的な管理運営・意思決定が可能になる。
  • 解体・敷地売却・一棟リノベという「出口戦略」の選択肢が増え、資産価値の維持・回復が図りやすい。
  • 管理不全マンションの増加に歯止めがかかり、地域全体の資産価値・安全性の維持につながる。

デメリット・留意点

  • 決議要件が緩和される分、少数の区分所有者の意向が反映されにくくなる可能性がある。
  • 所有者不明者の除外には裁判所への申立て等の手続き・費用・時間が必要。
  • 規約や使用細則を改正内容に合わせて見直さなければ、新制度を十分に活用できない。
  • 施行(2026年4月予定)後も、政令・省令やガイドラインで実務の細部が定まるため、継続的な情報収集が不可欠。

管理組合・オーナーが今すべき対策【手順付き】

施行は2026年4月予定ですが、準備には時間がかかります。法改正を「脅威」ではなく「資産価値向上の機会」と捉え、以下の手順で計画的に準備を進めましょう。

  • 法改正の情報収集と理解(〜半年):国土交通省・法務省の公表資料や説明会を活用し、理事会・組合員全体で正確な情報を共有する。
  • 区分所有者・住戸の実態把握(〜半年):所有者不明・所在不明住戸、相続未登記住戸、非居住所有者の有無を洗い出す。台帳を整備する。
  • 規約・使用細則の点検と見直し(半年〜1年):決議要件・災害時対応・所有者不明問題への対処などを、改正内容に合わせて見直す。
  • 長期修繕計画・修繕積立金の再点検:建て替え・解体・一棟リノベの選択肢を踏まえ、資金計画を再シミュレーションする。
  • 合意形成の仕組みづくり:グループ連絡網や情報共有システムを導入し、所有者間の意見交換・資料共有を迅速化する。
  • 専門家との連携体制の構築:マンション管理士・弁護士・建築士・1級建築施工管理技士などと相談できる体制を整える。

相談先の選び方と費用の目安

専門家 主な相談内容 費用の目安
マンション管理士 規約見直し・管理組合運営・合意形成支援 顧問契約 月1〜5万円程度/スポット相談 1回1〜3万円程度
弁護士 所有者不明手続き・法的紛争・決議の有効性 相談 30分5,000円〜/案件により着手金別
一級建築士・調査会社 建物診断・耐震診断・修繕計画策定 建物診断 数十万円〜(規模による)

※費用は事務所や物件規模により大きく異なります。実際の契約前に必ず複数社から見積りを取り、比較検討することをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

2025年の区分所有法改正はいつから施行されますか?

改正法は令和7年(2025年)5月に成立し、令和8年(2026年)4月から段階的に施行される予定です。施行に向けて政令・省令やガイドラインが順次整備されるため、最新情報は国土交通省・法務省の公表資料で確認しましょう。

連絡が取れない区分所有者がいると、これまで決議ができませんでした。改正でどう変わります

従来は、所在不明や連絡不通の区分所有者がいると賛否を確認できず、決議の母数に含まれてしまうため、事実上「反対票」と同じ扱いになり、合意形成が進まないケースが多発していました。今回の改正では、所在不明の区分所有者を決議の母数から除外できる仕組みが導入される方向です。これにより、実際に意思表示が可能な区分所有者を基準に決議要件を判断できるようになり、これまで停滞していた管理・修繕・建て替えの意思決定が前に進みやすくなると期待されています。ただし、所在不明と認定するには裁判所の手続きなど一定の要件が必要となるため、早めに台帳整備と所在確認を進めておくことが重要です。

Q3. 建て替えの決議要件は緩和されるのですか?

A. 従来、建て替え決議には区分所有者および議決権の各5分の4以上の賛成が必要で、非常に高いハードルとなっていました。今回の改正では、耐震性不足や老朽化など一定の客観的要件を満たす場合に、決議要件を緩和する方向で見直しが行われます。また、建て替えだけでなく「一棟リノベーション」や「建物・敷地の一括売却」といった選択肢についても新たな決議制度が整備される見込みです。これにより、地震リスクの高い旧耐震マンションや、再建が物理的・資金的に困難なマンションでも、現実的な再生・処分の道が開かれることになります。

小規模なマンションや自主管理の組合でも対応が必要ですか?

はい、規模を問わずすべての区分所有マンションが対象です。むしろ小規模マンションや自主管理組合のほうが、専門知識を持つ担当者が少なく、所有者不明問題や合意形成の難しさが顕在化しやすい傾向にあります。改正内容を正しく理解し、規約の見直しや台帳整備を進めることは、住民全員の資産価値を守るうえで欠かせません。自組合だけで対応が難しい場合は、マンション管理士や管理会社への相談を早めに検討しましょう。

改正に向けて、今すぐ着手すべきことは何ですか?

最優先で取り組むべきは「区分所有者・住戸の実態把握」です。所在不明者や相続未登記住戸の有無を洗い出し、最新の台帳を整えることが、あらゆる対策の土台になります。次に、規約・使用細則の点検、長期修繕計画の見直し、合意形成のための情報共有体制づくりを順次進めましょう。施行までの限られた時間を有効に使うため、優先順位をつけて段階的に進めることが成功のポイントです。

まとめ:改正を「リスク」ではなく「再生のチャンス」に

2025年の管理法・区分所有法の改正は、長年マンション管理の現場を悩ませてきた「所有者不明問題」「合意形成の停滞」「建て替えの困難さ」に正面から向き合う、画期的な内容となっています。決議要件の見直しや所在不明者の取り扱いの明確化、建て替え・一棟リノベ・一括売却といった多様な選択肢の整備は、老朽化が進むマンションにとって大きな転換点となるでしょう。

一方で、改正の恩恵を実際に受けられるかどうかは、各管理組合の「事前準備」にかかっています。施行を待ってから動き出すのでは遅く、今のうちから実態把握・規約見直し・資金計画の再点検・専門家との連携体制づくりに着手しておくことが、いざというときの迅速な意思決定につながります。

  • 改正は2026年4月から段階的に施行予定。最新情報は国交省・法務省で確認を。
  • 所在不明者を決議母数から除外できる仕組みで、合意形成が進めやすくなる。
  • 建て替え・一棟リノベ・一括売却など、再生の選択肢が広がる。
  • まずは「区分所有者・住戸の実態把握」から着手するのが鉄則。
  • 専門家との連携体制を整え、施行までの時間を有効活用しよう。

マンションは住民一人ひとりの大切な資産であると同時に、地域社会を構成する重要なインフラでもあります。今回の法改正を単なる「義務的な対応」と捉えるのではなく、自分たちのマンションの未来を考え直し、価値を高める「再生のチャンス」として前向きに活用していきましょう。まずはできることから一歩ずつ。早めの準備が、あなたのマンションの10年後・20年後を大きく左右します。

著者

クラウド管理編集部

関連記事/ Related