国土交通省が令和7年6月27日付で本人確認手続の徹底を指示。犯罪収益移転防止法だけでなく、宅建業法や民法上の責任も問われる可能性がある。
不動産取引における契約当事者の本人確認等の意義や犯罪収益移転防止法以外の法的根拠、これを怠った場合の責任など。
出典: 不動産流通推進センター
賃貸借契約における本人確認は、犯罪収益移転防止法(犯収法)の対象外と誤解している管理会社も少なくない。しかし宅建業法では、媒介業者として取引の安全を図る義務があり、本人確認を怠れば善管注意義務違反に問われる可能性がある。
具体的な法的根拠は以下の通り。宅建業法第31条(取引関係者への説明義務)、第47条(業務に関する禁止事項)に基づき、本人確認が不十分な場合は業務停止処分の対象となりうる。また民法上も、なりすまし契約による損害が発生すれば、媒介業者として過失責任を問われる。
国土交通省の事務連絡は売買を主眼としているが、賃貸借でも法的構造は同じだ。特に注意すべきは法人契約。登記簿謄本の確認に加え、契約締結権限の有無(代表者か代理人か)、実質的支配者の確認が必要になる。
確認を怠った結果、反社会的勢力や詐欺グループの拠点として利用され、オーナーが損害を被った場合、管理会社は損害賠償責任を負うリスクがある。本人確認書類のコピー保存期間は犯収法では7年だが、宅建業法上の帳簿保存義務(5年)とは別に、民事責任を考慮すれば契約期間中プラス5年程度の保存が望ましい。
確認すべきこと
- 自社の本人確認マニュアルに宅建業法・民法上の根拠を明記し、従業員教育を実施
- 法人契約時の確認項目(登記簿謄本・代表者身分証明・契約締結権限・実質的支配者)をチェックリスト化
- 本人確認書類の保存期間を社内規定で明確化(推奨:契約終了後5年以上)
- 疑わしい取引(現金大量払い・短期解約前提・事業内容不明確な法人)の判断基準を文書化
詳細は不動産流通推進センターの発表をご確認ください。
