鍵未返却でも明渡完了か—賃料相当損害金請求の可否

鍵未返却でも明渡完了か—賃料相当損害金請求の可否

契約終了日に室内を空けても、鍵を返していなければ明渡完了とはいえないのか。2週間の鍵未返却期間について、賃貸人側が遅延金等を請求できるかが問題になった。

賃貸借契約の終了に際し、賃借人が貸室の鍵を返却しない場合、賃貸人は明渡しが完了していないとして遅延金等を請求できるか

出典: 不動産流通推進センター

民法第601条は賃貸借契約を「使用収益させる」契約と定義しており、明渡しの完了には物理的な退去だけでなく、占有権原の完全な返還が必要とされる。鍵は賃借物の占有を象徴する物であり、その返却がなければ賃貸人は完全な支配権を回復できない。

実務上、契約書に「鍵返却をもって明渡完了とする」旨の条項があれば、鍵未返却期間について賃料相当損害金の請求根拠となる。ただし、室内が完全に空で賃借人が事実上使用していない場合、裁判所が全額認定するかは個別判断になる。認定されるのは「賃貸人が次の入居者募集や修繕に着手できなかった損害」の範囲となる可能性が高い。

鍵交換費用については別途請求可能だが、契約書に「鍵交換費用は賃借人負担」との明記がない場合、原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(国土交通省)の趣旨から、通常損耗として賃貸人負担と判断される余地がある。

オーナー・管理会社は契約終了前に鍵返却期限と方法を書面で通知し、未返却の場合の損害金計算方法を明示すべきだ。2週間という期間は次回募集の機会損失として十分主張できる長さだが、立証には募集開始予定日や内装工事見積などの疎明資料が必要になる。

確認すべきこと

  • 賃貸借契約書に「鍵返却日をもって明渡完了」の条項があるか確認
  • 契約終了通知書に鍵返却期限・方法・遅延時の損害金計算根拠を明記
  • 鍵未返却期間の損害立証のため、次回募集予定や工事スケジュールを記録
  • 鍵交換費用負担について契約書の特約条項を整備(ガイドライン準拠)
著者

クラウド管理編集部

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