複合用途開発と「地域拠点づくり」の収益性をどう評価するか

複合用途開発と「地域拠点づくり」の収益性をどう評価するか

地主系オーナーが商業テナントと賃貸住宅を組み合わせた複合施設を運営する事例が報じられた。「目先の利益より地域貢献」という方針は、中長期的な資産価値維持戦略としてどう機能するのか。

”目先の利益よりまちの未来”代々続く地主の若き建築家が仕掛ける、個人店など集まる食の拠点 「新横浜食料品センター」。ご近所づきあいの新しい距離感生む賃貸「森庭山荘」も

出典: SUUMOジャーナル

新横浜駅徒歩10分の立地に、1・2階を食料品店等の商業区画、3階を賃貸住宅とする複合施設が運営されている事例である。注目すべきは、地主である建築家が企画・設計・運営まで一貫して手掛けている点だ。

賃貸住宅と商業テナントの複合開発は、用途地域の制限内であれば建築基準法上も問題ないが、収益性の評価が難しい。住宅部分は長期安定収入、商業部分は賃料単価は高いが空室リスクも大きい。特に個人経営の飲食・物販店は、チェーン店に比べて信用力・継続性の判断が困難だ。

「地域拠点」を標榜する場合、テナント選定で収益性より地域性を優先する判断が生じる。これは短期的には賃料収入を抑制するが、地域との関係構築により物件ブランドが形成されれば、住宅部分の入居率向上や賃料維持につながる可能性がある。

問題は、この効果を定量的に測定する手法が確立されていないことだ。金融機関の担保評価でも、「地域貢献性」は数値化されない。相続時の財産評価でも、建物は固定資産税評価額ベースとなり、地域拠点性は反映されない。

代々続く地主であれば長期保有が前提となるため、短期的収益性より資産の毀損防止を優先できる。しかし一般の投資家や、相続税納税資金確保が必要なオーナーには適用しにくいモデルといえる。

確認すべきこと

  • 複合用途の場合、住宅部分と商業部分の収益性を分離して試算しているか(管理費・修繕費の按分方法も含む)
  • 個人経営テナントの契約では、保証人・保証会社の設定基準、原状回復義務の範囲を明確化しているか
  • 「地域貢献」を理由に賃料を相場より低く設定する場合、その差額を年間いくらと認識し、何年で回収する計画か
  • 相続発生時に売却する可能性がある場合、複合用途物件の流動性リスク(買い手の限定)を織り込んでいるか
著者

クラウド管理編集部

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