この記事の要点
- マンション投資の元本割れは、売却額が購入時の自己資金とローン残債を下回ったとき、現金の損失として確定する
- 主因は価格下落・空室による家賃減・金利上昇の3つで、立地と築年数の見極めで発生しやすさが変わる
- 頭金を1〜2割入れ、返済を家賃の50%以内に抑え、複数物件へ分散すると1戸の不振を吸収しやすい
「家賃収入で老後に備えたいけれど、元本割れで貯金を減らしたら意味がない…」
「価格が下がったら、ローンだけ残るのでは?」
マンション価格は、国土交通省の不動産価格指数で2010年の2倍を超える水準まで上がりました。購入時期によっては、出口で値下がりする不安も小さくありません。
元本割れの多くは、価格下落・空室・金利という限られた要因から生まれます。仕組みを先に押さえておけば、物件選びと資金計画で損失の幅は抑えられます。
本記事では、マンション投資で元本割れが起こる仕組みと主な原因を整理しました。起こりやすいケースや具体的な対策、他の投資との比較まで取り上げます。
仕組みと対策を先に知っておけば、営業の説明に流されず自分の判断で物件を選べるようになるでしょう。
マンション投資の元本割れとは?仕組みを整理

マンション投資の元本割れとは、物件を売却したときの手取り額が、購入に使った自己資金とローン残債の合計を下回る状態です。
運用中の含み損ではなく、売却で損失が現金として確定した時点を指します。
元本割れが確定するタイミング
元本割れは、売却額がローン残債と自己資金を下回ったときに確定します。保有中は家賃収入で返済が進むため、帳簿上の評価が下がっても損失は現金化されません。
損失が実際に表面化するのは、物件を売る出口の場面です。たとえば残債2,000万円の物件を1,800万円で売れば、差額の200万円を手元資金から補うことになります。
家賃収入と元本割れの関係
家賃収入が続いていても、元本割れの不安は消えません。毎月の収支が黒字でも、物件の資産価値が下がれば売却時に差損が出るためです。
反対に、運用中は赤字でも、購入額より高く売れれば最終的な損益はプラスになります。元本割れは「毎月の収支」ではなく「売却まで含めた通算の損益」で決まる点を押さえると、判断を誤りにくくなります。
マンション投資で元本割れが起こる主な原因

マンション投資の元本割れは、価格下落・空室による家賃減・金利上昇の3つが主な原因です。
多くは単独ではなく、複数が重なったときに損失が大きくなります。
物件価格の下落
物件価格の下落は、元本割れに直結する原因です。国土交通省の不動産価格指数では、マンション(区分所有)の価格が上昇を続けています。指数は2010年を100として、2025年に220を超える水準に達しました。
高値で買った物件ほど、その後の調整局面で購入額を割り込みやすくなります。築年数が古くなるほど価格は下がる傾向があり、出口の時期を誤ると売却額が残債に届きません。
参照:国土交通省「不動産価格指数(令和7年12月・令和7年第4四半期分)」
空室による家賃収入の減少
空室が出ると家賃収入が途絶え、ローン返済に回せる資金が減ります。総務省の令和5年住宅・土地統計調査では、全国の空き家率が過去最高の13.8%となりました。賃貸用の空き家は440万戸を超えています。
借り手が集まりにくいエリアでは、区分1戸の空室が収入ゼロに直結しかねません。
参照:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査住宅及び世帯に関する基本集計結果の概要」
金利上昇によるローン負担増
変動金利のローンで買った場合、金利上昇は返済額を押し上げます。借入額が大きいほど影響も大きく、家賃収入だけでは返済をまかないきれません。
返済が家賃を上回れば毎月の持ち出しが増え、資金繰りに行き詰まって売却を迫られます。固定金利の選択や繰上返済で、金利変動の影響を抑える備えが有効です。
マンション投資で元本割れが起こりやすいケース

元本割れは、立地や築年数、購入時の条件によって起こりやすさが変わります。
損失につながりやすい代表的なケースは、次の2つです。
相場より高値で購入したケース
相場より高い価格で買った物件は、元本割れの危険が高まります。新築ワンルームは販売価格に広告費や販売手数料が上乗せされ、購入直後に中古相場まで値下がりしやすい特徴があります。
購入額と中古市場の評価に開きがあると、数年で売っても残債を返しきれません。
フルローンで購入したケース
自己資金をほとんど入れずフルローンで買うと、元本割れのリスクが上がります。頭金が少ないほど残債の減りが遅く、売却額が残債を下回る期間が長引くためです。
頭金を購入額の1〜2割ほど入れておくと、価格変動への耐性が高まり、損失を吸収しやすくなります。
元本割れを防ぐマンション投資の対策

マンション投資の元本割れは、物件選びと資金計画で発生の幅を抑えられます。
実行しやすい対策は、次の3つです。
立地と築年数で資産価値を見極める
元本割れを防ぐには、値下がりしにくい物件を選ぶ視点が欠かせません。駅から近く人口が集まるエリアは、中古でも需要が保たれ、価格が下がりにくい傾向があります。
購入前に周辺の空室状況と過去の成約価格を確認し、出口で買い手がつく物件かどうかを見極めると安心です。
複数物件・エリアに分散する
リスクを1戸に集中させないことも、元本割れ対策になります。1つの物件に資金を集めると、その物件の空室や値下がりが損失に直結するためです。分散の観点は次のとおりです。
- エリア分散:需要動向の異なる複数の地域に持つ
- 築年数分散:新築と中古を組み合わせ、売却時期をずらす
- 用途分散:ワンルームとファミリー向けを併用する
一度にすべては難しくても、保有を増やす過程で分散を意識すると、1戸の不振を他でカバーしやすくなります。
返済比率を家賃収入の範囲に抑える
元本割れを避けるには、無理のない資金計画が必要です。毎月の返済額を家賃収入の50%程度までに抑えておくと、空室や修繕が重なっても持ち出しを避けやすくなります。
購入前に、空室や金利上昇を織り込んだ収支シミュレーションを行う準備が欠かせません。
他の投資と比べたマンション投資の元本割れリスク

マンション投資の元本割れリスクは、他の投資商品と比べて高くも低くもなく、値動きの仕方に特徴があります。
代表的な商品と並べたのが、次の表です。
| 投資商品 | 値動きの幅 | 元本割れの主因 | 現金化のしやすさ |
| マンション投資 | 中 | 価格下落・空室 | 低い(売却に数か月) |
| 株式投資 | 大 | 株価変動 | 高い(すぐ売却可) |
| 投資信託 | 中〜大 | 基準価額の下落 | 高い |
| 定期預金 | ほぼなし | ほぼなし | 高い |
マンションは日々の値動きが小さいものの、売却には数か月かかるため、出口の時期を早めに考えておくことが大切です。
株式・投資信託との違い
株式や投資信託は価格が日々変動し、短期間で大きく値下がりする場合があります。マンション投資は値動きが緩やかで、家賃収入が定期的に入ります。
売りたいときにすぐ現金化できる株式と違い、マンションは売却に数か月かかることも珍しくありません。
よくある質問
マンション投資で元本割れする確率はどのくらいですか?
新築と中古ではどちらが元本割れしやすいですか?
元本割れしても家賃収入があれば損はしませんか?
元本割れを避けるには自己資金はいくら必要ですか?
まとめ|元本割れの仕組みを知れば損失は抑えられる

マンション投資の元本割れは、価格下落・空室・金利上昇という限られた原因から生まれます。売却まで含めた通算の損益で決まるため、毎月の収支だけで安心はできません。
まずは検討中の物件について、周辺の中古相場と空室状況を自分で調べてみるとよいでしょう。
仕組みと対策を先に押さえておけば、値動きに振り回されず、納得して物件を選べるようになります。


