この記事の要点
- マンションのラウンジは、物件の印象を高め、競合物件との差別化につながる共用スペース
- ただし、設置するだけでは利用されにくいため、入居者層に合わせた用途や設備選びが重要
- オーナーは初期費用だけでなく、清掃・修繕などの維持管理まで含めて検討する
マンションを探すとき、家賃や立地、間取りは重要な条件です。
一方で、エントランスやラウンジなどの共用部も物件の印象を左右するポイントになります。
ラウンジがあれば、来客との待ち合わせや休憩、読書、テレワークなど、住戸の外でも過ごせる場所を提供できます。
特に競合物件との差別化を考えるオーナーにとっては、検討する価値のある設備です。
ただし、「ラウンジを作れば入居率が上がる」とは限りません。
使いやすさや利用ルールまで考えなければ、せっかくのスペースが十分に活用されない可能性があります。
この記事では、マンションオーナーの目線から、ラウンジのメリットや注意点、入居者に利用される空間にするポイントを解説します。
マンションにラウンジを設けるメリット

ラウンジの魅力は、物件の「見た目」と「暮らしやすさ」の両方をアピールできることです。
物件の第一印象を高めやすい
内見では、入居希望者がエントランスなどの共用部を目にします。
清潔感があり、家具や照明まで整えられたラウンジがあれば、「きちんと管理されている」「上質なマンション」という印象につながる可能性があります。
特に築年数が経過したマンションでは、専有部分だけでなく共用部をリニューアルすることで、建物全体のイメージを変えられる場合があります。
競合物件との差別化になる
駅距離や家賃、間取りは簡単に変更できません。
そのため、共用部に付加価値を持たせることで、競合物件との差を作る方法があります。
「テレワークができる」「来客を迎えられる」「少し休憩できる」など、具体的な使い方をアピールできれば、単なる「ラウンジ付き」よりも魅力が伝わりやすくなります。
オリコン顧客満足度調査では、賃貸マンションの評価項目として「共有設備」が設定されています。
2025年の調査では2,205人が回答しており、共用設備も入居後の満足度を考える要素の一つといえます。
ラウンジは「作れば使われる」とは限らない

オーナーが注意したいのが、ラウンジの利用率です。
2022年に実施されたマンションのエントランスラウンジに関する185人のアンケートでは、「大変よく使う」「よく使う」「時々使う」と回答した人は28.1%でした。
一方、「ほとんど使わない」「使ったことはない」は71.9%でした。
利用する場面では「待ち合わせ」が41.5%、「ひとりでくつろぐ」が22.0%などとなっています。
また、使いにくい理由として「利用ルールが分からない」が80.2%、「通行人の視線が気になる」が73.4%、「くつろぐための家具がない」が24.1%、「作業をするための家具がない」が21.7%でした。
この調査からも、ラウンジは広さやデザインだけでなく、「実際にどう使うか」まで考えて設計することが重要だと分かります。
入居者に使われるラウンジにする3つのポイント

1.用途を明確にする
まず「何をする場所なのか」を決めましょう。
例えば、
- テレワークや読書ができるワークスペース
- 来客との待ち合わせスペース
- 入居者が休憩できるリビングスペース
- コーヒーなどを楽しめるコミュニティスペース
などが考えられます。
仕事をする場所ならテーブルや電源、くつろぐ場所ならソファや照明というように、用途によって必要な設備も変わります。
2.入居者層から設備を考える
家具はデザインだけでなく、利用者を想定して選ぶことが大切です。
単身者が多いなら、1人でも利用しやすい席を用意すると使いやすくなります。ファミリー層が多いなら、親子で利用できるスペースも候補になります。
テレワークを意識する場合は、電源やWi-Fi環境も重要です。
「おしゃれだけれど仕事ができない」という状態では、ラウンジの価値を十分に生かせません。
3.利用ルールを分かりやすくする
利用時間や飲食、ゴミ、騒音、私物の放置などについて、あらかじめルールを決めておきましょう。
国土交通省も、マンションでは共用施設などの具体的な使用方法について、使用細則で定める場合があるとしています。
ルールを分かりやすく掲示することは、入居者同士のトラブル防止にもつながります。
オーナーが考えたい費用と管理

ラウンジを設置するときは、工事費だけでなく、その後の維持管理まで考える必要があります。
| 項目 | 確認したいポイント |
|---|---|
| 内装工事 | 床・壁・照明などの変更範囲 |
| 家具 | ソファ・テーブル・椅子など |
| 電気・通信 | コンセント・照明・Wi-Fiなど |
| 清掃 | 清掃頻度や対象範囲 |
| 修繕 | 家具・設備の故障や交換 |
| 管理 | ルール周知やトラブル対応 |
特に注意したいのがランニングコストです。
家具や設備は使用によって劣化するため、数年後の交換や修繕も考えておく必要があります。
「設置できるか」だけでなく、「きれいな状態を維持できるか」まで含めて判断しましょう。
既存マンションはリニューアルも選択肢

すでに共用スペースがあるマンションなら、新たにラウンジを作らなくても、既存スペースを活用できる場合があります。
例えば、
- 古い家具を交換する
- 照明を見直す
- 電源を増設する
- Wi-Fi環境を整える
- 壁や床をリニューアルする
といった方法です。
大規模な工事をしなくても、使い方や設備を見直すことで、空間の価値を高められる可能性があります。
ただし、分譲マンションでは共用部分の範囲や工事について、管理規約などで定められている場合があります。
国土交通省によると、専有部分と共用部分の範囲はマンションごとの管理規約などで定められています。
工事や用途変更を検討する場合は、管理組合や管理会社への確認が必要になる可能性があります。
「ラウンジがある」から「使いたい」へ

オーナーが目指したいのは、単に「ラウンジ付き」と広告に掲載できる状態ではありません。
「仕事帰りに少し作業したい」「友人と部屋以外で話したい」「家では集中できないので読書したい」など、入居者の具体的な生活シーンを考えることが大切です。
そのうえで家具、照明、電源、通信環境などを整えれば、ラウンジは単なる飾りではなく、物件の魅力になります。
物件情報でも「テレワークに利用可能」「来客時の待ち合わせに便利」など、具体的な使い方を伝えると、設備の価値が伝わりやすくなります。
よくある質問

マンションのラウンジは空室対策になりますか?
ラウンジだけで入居率が上がるとは限りませんが、競合物件との差別化につながる可能性があります。
特に駅距離や間取りなど、変更しにくい条件以外で物件の魅力を作れる点がメリットです。
オリコン顧客満足度調査でも「共有設備」は賃貸マンションの評価項目になっています。
マンションのラウンジにはどんな設備が必要ですか?
用途によって必要な設備は異なります。
テレワークならテーブル、椅子、電源、Wi-Fi、休憩目的ならソファや照明などが候補です。
入居者層と利用目的から逆算して、必要な設備を選びましょう。
ラウンジの利用ルールは必要ですか?
利用時間、飲食、ゴミ、騒音、私物の放置などのルールを決めておくことが重要です。
ルールが曖昧だと、入居者同士のトラブルにつながる可能性があります。
国土交通省も、共用施設などの具体的な使用方法を使用細則で定める場合があるとしています。
既存マンションでもラウンジを作れますか?
既存の共用スペースをリニューアルしてラウンジとして活用する方法があります。
ただし、分譲マンションでは管理規約などによって工事や用途変更にルールが設けられている場合があります。
具体的な工事を行う前に、管理会社や管理組合などへ確認しましょう。
まとめ

マンションのラウンジは、物件の印象を高め、競合物件との差別化につながる共用スペースです。
一方で、設置するだけでは十分に利用されない可能性があります。
実際の調査でも、ラウンジをあまり利用しない人が多く、利用ルールや家具に関する不満も見られました。
オーナーが検討するときは、「作ること」ではなく「誰が、いつ、何のために使うのか」から考えることがポイントです。
見た目だけでなく、使いやすさと維持管理まで考えたラウンジにすることで、「ここに住みたい」と思ってもらえる物件づくりにつなげましょう。


