この記事の要点
- マンスリーマンションは、通常の賃貸とは異なる短期滞在の需要を取り込めるため、空室対策の選択肢になる。
- 家具・家電、光熱費、清掃費などが必要になるため、売上だけでなく運営コストまで含めて収支を考えることが重要。
- 契約形態によっては旅館業法などの規制が関係するため、開始前に自治体へ確認する。
所有している賃貸物件に空室が続くと、「家賃を下げるべきか」「リフォームしたほうがよいか」と悩むオーナーも多いでしょう。
そこで選択肢の一つになるのが、空室をマンスリーマンションとして活用する方法です。
マンスリーマンションは、出張や研修、転勤、仮住まいなど、短期間だけ住まいを必要とする人を対象にできます。
通常の賃貸とは異なる需要を取り込めるため、物件によっては空室対策につながる可能性があります。
一方で、家具・家電の準備や清掃、光熱費など、一般的な賃貸にはない費用や管理業務も発生します。
この記事では、収益性やメリット、必要な費用、向いている物件、法律上の注意点まで、オーナーが検討する際のポイントを解説します。
マンスリーマンション経営は儲かる?収益を左右するポイント

マンスリー経営の収益性は、立地や間取り、料金設定、稼働率、管理方法によって変わります。
そのため、「月に○万円儲かる」と一律に考えることはできません。
たとえば、月12万円の売上がある物件でも、光熱費・通信費や清掃費、管理費などで月5万円かかれば、これらを差し引いた残りは7万円です。
さらに、家具・家電の購入費や修繕費なども考慮する必要があります。
収支シミュレーション例(仮定)
| 項目 | 月額の例 |
|---|---|
| マンスリー売上 | 120,000円 |
| 光熱費・通信費 | 20,000円 |
| 清掃・消耗品 | 10,000円 |
| 募集・管理関連費 | 15,000円 |
| その他経費 | 5,000円 |
| 差し引き前の利益 | 70,000円 |
これは収支を考えるための仮定で、実際の費用を示すものではありません。
特に重要なのが稼働率です。
1カ月すべて埋まる場合と半月しか利用されない場合では、売上が大きく変わります。
「いくらで貸せるか」だけでなく、「年間でどの程度稼働するか」「運営費はいくらか」まで計算して判断しましょう。
空室対策としてマンスリー化するメリット

マンスリー化のメリットは、通常の賃貸とは異なる入居需要を取り込めることです。
主な利用者として、次のような人が考えられます。
- 転勤や出張で数週間〜数カ月滞在する人
- 研修や資格取得のため一時的に住む人
- 自宅の建て替えやリフォーム中の人
- 新居が完成するまでの仮住まいを探している人
こうした人は、一般的な賃貸住宅のように長期契約を前提とせず、必要な期間だけ利用できる住まいを探しています。
家具・家電付きにすることで、入居者が生活用品をそろえる手間を減らせる点も特徴です。
特に駅から近い物件やオフィス街へのアクセスが良い物件、大学・病院など一定の滞在需要が見込める場所は、短期利用との相性が良い可能性があります。
ただし、すべての空室物件に向いているわけではありません。
短期滞在の需要が少ないエリアでは、設備を整えても十分な稼働率を確保できない可能性があります。
オーナーが注意したい費用と運営の手間

マンスリー化では、通常の賃貸にはない初期費用と運営費が発生します。
まず必要になるのが家具・家電です。
ベッド、冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、カーテンなどに加え、物件によっては寝具や食器、Wi-Fiなども準備します。
また、入居者が退去するたびに清掃や備品確認が必要です。
短期利用が多いほど入退去の回数が増え、清掃費や消耗品費も増える可能性があります。
オーナー自身で管理する場合は、問い合わせや鍵の受け渡し、設備トラブルへの対応も必要です。
負担が大きい場合は、マンスリー運営会社への委託も選択肢になります。
ただし、委託すれば管理の手間を減らせる一方で、委託料が発生します。
自主管理と委託のどちらが合うかは、利益だけでなくオーナー自身の時間も含めて比較しましょう。
法律や契約で確認したいポイント

マンスリーマンションを始める際は、契約形態と営業方法について確認する必要があります。
国土交通省によると、定期建物賃貸借は契約期間の満了によって更新されることなく終了する制度です。
利用する場合は、書面による契約や契約前の事前説明など、一定の手続きが必要です。
また、厚生労働省によると、旅館業には「旅館・ホテル営業」「簡易宿所営業」「下宿営業」の3種類があり、旅館業を経営する場合は原則として都道府県知事などの許可が必要です。
そのため、「マンスリーだから旅館業の許可は必要ない」と日数だけで判断するのは避けましょう。
契約期間や利用方法、運営形態によって扱いが変わる可能性があります。
開始前に自治体の担当窓口へ相談し、必要な許可や手続きを確認しておくことが重要です。
マンスリー化に向いている物件とは?

マンスリー経営を検討するなら、まず「そのエリアに短期滞在の需要があるか」を確認しましょう。
特にチェックしたいのは次のポイントです。
- 駅からの距離や主要駅へのアクセス
- 周辺のオフィス・大学・病院など
- 出張や研修などの短期滞在需要
- 周辺のマンスリー物件の料金
- 家具・家電を設置できる間取り
- 清掃や設備トラブルに対応できる管理体制
周辺の競合物件を調べ、似た間取りの料金や設備、最低利用期間などを比較すると、料金設定の参考になります。
また、マンスリー化に必要な初期費用を何カ月程度で回収できるかも確認しましょう。
空室対策だけを目的にせず、通常の賃貸として貸した場合との収益差を比較することが大切です。
よくある質問

マンスリーマンション経営は本当に儲かりますか?
通常の賃貸より高い売上を狙える場合がありますが、必ず利益が増えるとは限りません。
家具・家電、光熱費、清掃費、管理費などのコストが発生するためです。
たとえば月12万円の売上でも、運営費が月5万円なら差し引き前の利益は7万円です。
稼働率と経費を含めて収支を確認しましょう。
空室の部屋をマンスリーにできますか?
空室物件でもマンスリーとして活用できる可能性があります。
ただし、駅やオフィス街へのアクセスなど、短期滞在の需要があるかを確認することが重要です。
需要が少ないエリアでは、家具・家電をそろえても稼働率が上がらない可能性があります。周辺の競合物件や料金を調べてから判断しましょう。
マンスリーマンションは旅館業の許可が必要ですか?
一律に必要・不要とは判断できず、営業形態や契約内容によって確認が必要です。
厚生労働省によると、旅館業を経営する場合は原則として都道府県知事などの許可が必要です。
旅館業には旅館・ホテル営業、簡易宿所営業、下宿営業があります。
開始前に自治体へ相談し、必要な手続きを確認しましょう。
マンスリー運営はオーナー自身でもできますか?
自主管理も可能ですが、清掃、備品確認、問い合わせ、設備トラブルなどへの対応が必要です。
短期利用が多いほど、通常賃貸より管理業務が増える可能性があります。
管理会社などに委託すれば負担を減らせますが、委託料が発生します。
収益と管理の手間を比較して決めることが大切です。
まとめ

マンスリーマンション経営は、空室になっている物件を短期滞在者向けに活用する方法の一つです。
通常の賃貸とは異なる需要を取り込める可能性がある一方、家具・家電、光熱費、清掃費などのコストも発生します。
検討する際は、想定売上だけでなく、稼働率や運営費を含めた収支を確認しましょう。
また、契約形態によっては旅館業法などの確認も必要になるため、事前に自治体へ相談することが大切です。
「空室だからマンスリーにする」のではなく、立地や需要を調べ、通常の賃貸と比較しながら判断することが安定した経営につながります。


