この記事の要点
- 宅配ボックスは、不在時でも荷物を受け取れるため、入居者の利便性を高めやすい設備である。
- 国土交通省によると、2026年4月の宅配便再配達率は7.6%、多様な受取方法の利用率は31.0%となっている。
- 設置する際は、費用だけでなく、物件の戸数やスペース、防犯性、設置後の管理方法まで確認することが大切である。
ネットショッピングの利用が広がり、宅配便を受け取る機会が増えています。特に仕事や学校などで日中に不在になる入居者にとって、荷物を好きなタイミングで受け取れる宅配ボックスは便利な設備です。
賃貸アパートを探す際にも、宅配ボックスの有無を設備条件の一つとして確認する人は少なくありません。オーナーにとっては、入居者の暮らしやすさを高めるだけでなく、周辺物件との差別化にも活用できる可能性があります。
では、宅配ボックスを設置すると、アパート経営にどのようなメリットがあるのでしょうか。この記事では、空室対策や入居者満足度との関係、設置費用、選び方、設置後の注意点までオーナー目線で解説します。
宅配ボックスがアパートで注目される理由

ネットショッピングの利用が広がり、宅配便を受け取る機会が増えています。一方、仕事や学校などで日中に不在となる入居者も多く、荷物を受け取れず再配達を依頼するケースも少なくありません。
国土交通省によると、2026年4月の宅配便再配達率は7.6%でした。また、宅配ボックスや置き配など「多様な受取方法」の利用率は31.0%です。政府は2030年度までに、この利用率を50%程度まで高める目標を掲げています。
こうした背景から、宅配ボックスは単なる便利設備ではなく、賃貸物件の付加価値を高める設備として注目されています。
特に単身者や共働き世帯が多いアパートでは、生活スタイルとの相性が良い設備です。では、オーナーにとってどのようなメリットがあるのでしょうか。
宅配ボックスは空室対策につながる?

宅配ボックスを設置するメリットの一つが、物件の差別化です。
同じような間取りや家賃の物件が並んでいる場合、「宅配ボックス付き」という条件が入居先を選ぶ際の比較材料になる可能性があります。
全国賃貸住宅新聞が2025年に実施した不動産会社へのアンケートでは、「今後需要が高まると考えられる設備」の1位に宅配ボックスが選ばれています。
特に次のような物件では、導入を検討する価値があります。
- 単身者や共働き世帯をターゲットにしている
- 周辺の競合物件との差別化を図りたい
- 築年数が経過し、新築物件との差をつけたい
- 立地以外の魅力を増やしたい
ただし、宅配ボックスを設置すれば必ず空室がなくなるわけではありません。家賃や立地、間取りなども入居判断に影響するため、空室対策の一つとして活用することが重要です。
入居者の満足度アップにもつながる

宅配ボックスの大きな魅力は、不在時でも荷物を受け取れることです。
例えば、仕事から帰宅する時間が遅い入居者でも、配達時間を気にして急いで帰宅する必要がありません。再配達の手配をする手間も減らせます。
また、日用品や飲料などの重い荷物をネットで購入し、自宅近くで受け取れることもメリットです。
宅配ボックスは、一度使って終わる設備ではなく、入居中に繰り返し利用できます。そのため、毎日の小さな不便を解消する設備として、入居者満足度の向上につながる可能性があります。
オーナーにとっては、入居時のアピールポイントになるだけでなく、入居後の住みやすさにも関係する設備と考えられます。
設置費用はタイプやボックス数で変わる

宅配ボックスには、ダイヤル式などの機械式と電子式があります。
| 種類 | 特徴 | 費用の傾向 |
|---|---|---|
| ダイヤル式 | 電源不要の製品が多く、比較的シンプル | 抑えやすい |
| 電子式 | 暗証番号やカードなどで管理 | 高くなりやすい |
| 小型・簡易タイプ | 小規模物件でも導入しやすい | 比較的安価 |
※費用は製品、ボックス数、設置場所、工事内容によって異なります。
集合住宅向け製品には、メーカー公式価格で8万円台から設定されている商品もあります。ただし、実際には本体価格だけでなく、設置部材や施工費などが必要です。
また、ボックス数が増えれば、その分費用も高くなります。
そのため、「できるだけ安いものを選ぶ」のではなく、戸数と入居者層に合ったサイズ・数量を選ぶことがポイントです。
宅配ボックスを設置するときの3つの注意点

ここでは、宅配ボックスの設置の注意点について紹介します。
設置場所を確認する
まず確認したいのが、エントランスや共用廊下に十分なスペースがあるかです。
通行の邪魔になる場所に設置すると、入居者の使い勝手が悪くなるだけでなく、避難経路などへの影響が生じる可能性があります。
既存アパートに後付けする場合は、施工業者や管理会社に現地を確認してもらいましょう。
ボックス数は戸数だけで決めない
10戸のアパートだからといって、必ず10ボックス必要というわけではありません。
利用状況や設置スペースを考慮し、複数のサイズを組み合わせる方法もあります。例えば、小型荷物が多い物件なら小型ボックスを多めに、大型荷物の利用が多い物件なら大きめのボックスを確保するなど、入居者層に合わせて検討しましょう。
防犯性や耐久性も確認する
宅配ボックスは共用設備なので、防犯性も重要です。
暗証番号式や電子式など、製品によって解錠方法が異なります。屋外に設置する場合は、防水性や固定方法も確認しましょう。
「荷物を入れられるか」だけでなく、安全に長く使えるかまで確認することが大切です。
設置後の利用ルールも決めておく

宅配ボックスは設置して終わりではありません。入居者に利用方法を周知し、トラブルを防ぐこともオーナーの重要な管理ポイントです。
特に注意したいのが、荷物の長期間放置です。ボックスが埋まってしまうと、ほかの入居者が利用できなくなります。
あらかじめ、
- 利用できる荷物の大きさ
- 長期間放置された荷物への対応
- 生ものや貴重品などの取り扱い
- 故障時の連絡先
などを決めておくと安心です。
また、宅配ボックスは荷物の受け渡しを便利にする設備ですが、紛失や破損などについてオーナーが当然に補償するものとは限りません。契約内容や利用規約を確認し、必要な注意事項を入居者へ伝えておきましょう。
家賃アップより「選ばれる理由」として活用

宅配ボックスを設置したからといって、必ず家賃を上げられるわけではありません。
家賃を変更する場合は、周辺の相場や競合物件、築年数などを踏まえて判断する必要があります。
特に築年数が経過したアパートでは、家賃を大きく変更するよりも、宅配ボックスをはじめとした設備を追加して物件の魅力を高めるという考え方もできます。
物件情報に「宅配ボックス完備」と掲載できれば、設備条件を重視する入居希望者へのアピール材料になります。
ただし、宅配ボックスだけでなく、無料インターネットや防犯カメラなど、ターゲットとなる入居者が求める設備とのバランスも考えることが大切です。
よくある質問

アパートに宅配ボックスを設置すると空室対策になりますか?
空室対策の一つとして期待できますが、設置だけで空室が解消するとは限りません。全国賃貸住宅新聞の2025年の調査では、今後需要が高まる設備として宅配ボックスが1位に選ばれています。特に単身者や共働き世帯が多い物件では、利便性をアピールする材料になりやすいでしょう。家賃や立地など、ほかの条件と合わせて検討することが大切です。
アパートの宅配ボックス設置費用はいくらですか?
製品やボックス数、工事内容によって異なります。集合住宅向けには本体価格が8万円台から設定されている商品もありますが、実際には設置部材や工事費が加わります。正確な費用を知るには、現地調査を受けて複数社から見積もりを取るのがおすすめです。
築年数が古いアパートでも設置できますか?
後付けに対応した製品もあるため、築年数が古いアパートでも設置できる可能性があります。ただし、設置スペースや床・壁の状態、電源の有無などの確認が必要です。特に電子式の場合は電源工事が必要になることがあるため、施工業者に現地調査を依頼してから判断しましょう。
宅配ボックスは何個設置すればよいですか?
A.一律の基準があるわけではなく、戸数や入居者層、設置スペースに合わせて決める必要があります。小規模アパートでは、複数のサイズを組み合わせて設置する方法もあります。大型荷物の利用が多い物件では、大きめのボックスを確保するなど、利用状況を想定して選びましょう。
よくある質問
宅配ボックスを設置すると家賃を上げられますか?
宅配ボックスの機械式と電子式はどう違いますか?
宅配ボックス設置後に注意すべきことは何ですか?
まとめ

アパートの宅配ボックスは、入居者の利便性を高めながら、競合物件との差別化にも活用できる設備です。
国土交通省によると、2026年4月の宅配便再配達率は7.6%で、多様な受取方法の利用率は31.0%です。今後も宅配ボックスなどの受取環境が重視される可能性があります。
設置する際は、費用だけでなく、戸数・入居者層・設置場所・防犯性・管理方法まで確認しましょう。物件に合った宅配ボックスを選ぶことで、空室対策や入居者満足度の向上につなげやすくなります。


