マンション管理委託費に消費税10%|不課税との違いを解説

マンション管理委託費に消費税10%|不課税との違いを解説

この記事の要点

  1. 管理組合が管理会社へ支払う管理委託費には消費税10%がかかり、管理員業務費などの人件費部分も課税対象になります
  2. 区分所有者が組合へ払う管理費・修繕積立金は「対価性がない共益的費用」のため不課税で、消費税は上乗せされません
  3. 管理組合が課税事業者になるのは課税売上高が1,000万円を超えた場合で、不課税の管理費収入はこの判定に含まれません

「毎月の管理費には消費税がかかっていないのに、なぜ管理委託費だけ課税されるのだろう?」

「管理員さんの人件費なのに、消費税が上乗せされるのは変では?」

分譲マンションの管理組合会計では、区分所有者から集める管理費と、管理会社へ支払う管理委託費とで、消費税の扱いが分かれています。どこまで課税されるのか、迷いやすい部分です。

この違いは、支払いに見返りのサービスがあるかどうか、いわゆる「対価性」で決まります。仕組みを押さえれば、請求書のどの項目に消費税がかかるのか自分で見分けられます。

本記事では、管理委託費に消費税がかかる理由と、管理費・修繕積立金が不課税になる根拠を、国税庁の基準に沿って整理しました。管理組合が納税義務を負う条件やインボイス制度の影響もあわせて確認します。

課税と不課税の線引きがわかれば、総会での説明や会計処理に落ち着いて臨めるでしょう。

マンション管理の管理委託費に消費税はかかる?

体の前に両手で白い模型の家を持っている写真。家の上にクエッションマークが並んでいる。

マンション管理の管理委託費には、消費税がかかります。管理会社が事業として管理業務を引き受け、その対価を受け取る取引にあたるためです。

反対に、区分所有者が支払う管理費は不課税です。

管理委託費は課税取引にあたる

管理委託費とは、管理組合が管理会社に管理業務を任せ、その仕事(役務)の対価として支払うお金です。

この取引は、事業者である管理会社が対価を得てサービスを提供するという、消費税がかかる条件を満たします。管理会社へ任せる業務には、次のようなものがあります。

  • 共用部の清掃や日常点検
  • エレベーターなど設備の保守
  • 管理費の収納・会計代行

いずれも一般的なサービスの購入と同じで、管理委託費には消費税10%がかかります。

管理費・修繕積立金は不課税

区分所有者が管理組合へ納める管理費と修繕積立金には、消費税がかかりません。この扱いを不課税といいます。

これらは組合員どうしが共同の費用を分担し合うお金で、特定のサービスと引き換えに支払う「対価」ではないためです。国税庁も、組合員との取引は営業にあたらないとして、管理費の収受を不課税としています。

毎月の管理費に、消費税が上乗せされることはありません。

参照:国税庁「マンション管理組合の課税関係」

課税と不課税を分ける対価性

課税か不課税かを分ける基準は、支払うお金に「対価性」があるかどうかです。

対価性とは、受け取ったサービスや物と引き換えに支払うという関係を指します。管理委託費は管理会社のサービスへの対価なので課税、管理費は組合内部の費用分担なので不課税と整理できます。

管理委託費の消費税が課税される理由

青色の背景にメモスタンドで「理由」と書いてあるメモ紙を挟んでいる写真

管理委託費が課税されるのは、消費税がかかる取引の条件を満たすからです。事業者が対価を得てサービスを提供する取引にあたり、人件費部分も含めて10%が課されます。

管理会社のサービスへの対価

管理委託費が課税されるのは、事業者である管理会社が、対価を得てサービスを提供しているからです。

消費税は、事業者が対価を得て行う商品の販売やサービスの提供にかかります。管理会社が管理委託契約を結び、業務を提供して報酬を受け取る取引は、この条件に当てはまります。

管理組合が非営利でも、管理会社への支払いは課税されます。

管理員業務費も人件費だが課税

管理員業務費のように人件費が中心の項目でも、消費税は課税されます。

「人件費だから税金はかからないのでは」と考えられがちです。しかし消費税がかからない取引は法律で決められたものだけで、人件費はそこに含まれていません。管理組合が管理員を直接雇うのではなく、管理会社へ仕事を発注する形のため、給与ではなく発注費として課税されます。

消費税率は10%

管理委託費に適用される消費税率は、標準税率の10%です。

内訳は次のとおりで、合わせて10%となります。

  • 消費税:7.8%
  • 地方消費税:2.2%

8%の軽減税率は酒類・外食を除く飲食料品や定期購読の新聞に限られ、管理委託費のようなサービスには使われません。

参照:国税庁「No.6303消費税及び地方消費税の税率」

費用別に見る消費税の課税・不課税

バインダーに青色で「消費税」と書かれている写真

管理組合に関わる費用は、支払う相手によって課税と不課税に分かれます。修繕積立金は不課税で、駐車場使用料は借主によって扱いが変わります。

修繕積立金の扱い

修繕積立金は、管理費と同じく不課税取引です。

大規模修繕に備えて区分所有者が積み立てるお金で、組合の中で費用を分担するためです。特定のサービスへの対価ではないため、消費税はかかりません。

ただし積立金を取り崩して行う大規模修繕工事には、施工会社への支払いとして消費税がかかります。

駐車場使用料は借主で変わる

駐車場の使用料は、誰が借りているかで課税・不課税が変わります。

区分所有者が組合の駐車場を使う場合は、管理費と同じ費用分担とみなされ不課税です。組合員以外の外部の人へ貸し付ける場合は、事業としての資産の貸付にあたり課税対象になります。空き区画を近隣住民へ貸すケースでは、課税売上が生じます。

費用別の課税一覧

主な費用の課税・不課税を、管理組合を中心に整理します。

費用の種類消費税の扱い
管理委託費(管理会社へ支払う)課税
管理費(区分所有者が支払う)不課税
修繕積立金不課税
駐車場使用料(組合員向け)不課税
駐車場使用料(外部向け)課税

支払う相手が事業者かどうか、対価性があるかどうかで見分けられます。

管理組合に消費税の納税義務が生じる条件

黄色の背景に黒のタグに白字で「条件」と書かれている写真

管理組合が消費税を納める義務を負うのは、消費税がかかる売上(課税売上高)が1,000万円を超えた場合だけです。不課税の管理費収入は、この計算に含めません。

基準期間の課税売上高1,000万円超

管理組合に納税義務が生じるのは、基準期間の課税売上高が1,000万円を超えたときです。

基準期間とは、2年前の事業年度のことです。この期間の課税売上高が1,000万円以下であれば、原則として消費税を納める義務は免除されます。

課税売上として積み上がる主な収入は、次のとおりです。

  • 組合員以外への駐車場の外部貸付
  • 携帯電話基地局の設置料
  • 広告看板の設置料

こうした収入が増える組合では、超えることがあります。

参照:国税庁「No.6501納税義務の免除」

管理費収入は課税売上に含まれない

納税義務の判定では、管理費収入を課税売上高に含めません。

管理費や修繕積立金は不課税のため、そもそも課税売上にあたらないからです。数えるのは、外部貸しの駐車場収入など課税対象の収入だけです。

インボイス制度による影響

2023年10月に始まったインボイス制度でも、管理費・修繕積立金の扱いは変わりません。

これらは不課税のため、組合が区分所有者へインボイス(適格請求書)を発行する必要はありません。ただし、事務所用に部屋を貸していて消費税を納めているオーナーは注意が必要です。管理費にはもともと消費税が含まれないため、支払った税を差し引く仕入税額控除には使えません。

よくある質問

管理委託費に消費税はかかりますか?

かかります。管理会社が事業として管理業務を提供し、その対価を受け取る取引のため、消費税の課税対象です。税率は10%で、清掃や設備点検、会計代行などもまとめて課税されます。

管理員業務費は人件費なのになぜ課税されるのですか?

消費税がかからない取引は法律で決められたものだけで、人件費はそこに含まれないためです。管理組合が管理員を直接雇うのではなく、管理会社へ仕事を発注する形になるため、給与ではなく発注費として扱われます。この発注費はサービスへの対価にあたり、消費税10%が課税されます。

管理費が年間1,000万円を超えると課税事業者になりますか?

なりません。納税義務の判定に使う「消費税がかかる売上」には、不課税の管理費収入は含まれないためです。基準になるのは外部への駐車場貸付など課税対象の収入で、これが2年前の事業年度に1,000万円を超えた場合に、消費税を納める課税事業者となります。

賃貸中のマンションの管理費は消費税を差し引けますか?

差し引けません。区分所有者が管理組合へ支払う管理費・修繕積立金には、もともと消費税が含まれていないためです。仕入税額控除は消費税を払った仕入れにだけ使える仕組みで、不課税の管理費は対象になりません。判断に迷うときは、税理士に確認してください。

まとめ|管理委託費と管理費の消費税の違いを押さえよう

ノートに「まとめ」と書かれていて、ピンクの波線が引かれている写真

管理会社へ支払う管理委託費は課税、区分所有者が納める管理費・修繕積立金は不課税と、支払う相手と対価性によって扱いが分かれます。

まずは手元の管理委託契約書や請求書を開き、どの項目に消費税10%がかかっているかを確認してみましょう。

課税と不課税の線引きがわかれば、総会での説明や会計処理に迷わず対応できます。

著者

クラウド管理編集部

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