この記事の要点
- 2回目の大規模修繕は築25〜30年頃が目安で、給排水管やエレベーターなど設備の更新が本格的に加わる
- 費用は1回目より高くなりやすく、国土交通省の調査では1回目でも1戸あたり平均約100万円。積立金不足も起きやすい
- 建物診断で工事の優先順位を見極め、長期修繕計画と積立金を早めに見直すほど、世代交代が進む住民の合意形成も進めやすくなる
「そろそろ2回目の大規模修繕の時期だが、1回目と何が違うのだろう」
「積立金で足りるのか、住民の合意はまとまるのか不安だ」
築25年を超えたマンションでは、建物本体の劣化に加えて、給排水管やエレベーターといった設備の寿命が重なります。2回目の大規模修繕は、1回目の延長ではなく、建物の弱点を見直す工事だと捉えると準備がしやすくなります。
本記事では、2回目の実施時期や1回目との違い、主な工事内容と費用の目安、資金計画と合意形成の進め方を整理しました。
読み終えるころには、次の修繕に向けて動き出す順番が見えてきます。
マンション大規模修繕の2回目はいつ行うのか

2回目の大規模修繕は、築25〜30年頃に実施されるのが一般的です。
1回目からおよそ12〜15年が経過し、前回は問題なかった箇所にも劣化が広がる時期です。
一般的な実施時期は築25〜30年頃
2回目の大規模修繕の目安は、築25〜30年頃です。
国土交通省の長期修繕計画作成ガイドラインは、外壁や屋上防水の修繕周期を12〜15年としているためです。令和6年6月の改定で、幅のある目安に見直されました。1回目を築12〜15年で行うと、次はこの頃に巡ってきます。
周期はあくまで目安で、塩害を受けやすい建物などでは、より早く劣化が進む場合もあります。
参照:国土交通省「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」
回を重ねるほど周期は短くなりやすい
大規模修繕の周期は、回を重ねるほど短くなる傾向があります。
建物や設備の経年劣化が進み、前回まで持ちこたえた部材の寿命が近づくためです。回を重ねるほど、点検で不具合が見つかる箇所は増えていきます。
次回の時期は、前回の周期ではなく直近の建物診断の結果をもとに判断するのが安全です。
2回目の大規模修繕が1回目と違う3つのポイント

2回目は、1回目の工事をそのまま繰り返すわけではありません。主に次の3点が変わります。
- 修繕する箇所と工事範囲が広がる
- 高額な設備の更新が重なる
- 資材費や人件費の高騰が費用に響く
修繕する箇所と工事範囲が広がる
2回目では、修繕する箇所と工事範囲が1回目より広がります。
築年数が進み、前回は部分的な補修で済んだ場所も、全面的なやり直しが必要になるためです。外壁のタイルやシーリングは、劣化が進むと打ち替えや張り替えの範囲が増えます。
同じ外壁補修でも、2回目は手をかける面積が大きくなりがちです。まずは劣化の広がりを把握することが計画づくりの出発点になります。
高額な設備の更新が重なる
2回目の大きな特徴は、高額な設備の更新が重なる点です。
給排水管やエレベーター、機械式駐車場などは、25〜30年前後で更新の時期を迎えるためです。1回目では手をつけないことが多く、2回目で費用が膨らみます。
給排水管は更生か更新か、エレベーターも部分改修か全面更新かで金額に幅が出ます。設備ごとに要否を見極める判断が欠かせません。
資材費や人件費の高騰が費用に響く
工事の中身に加えて、資材費や人件費の高騰も2回目の費用を押し上げます。
塗料や鉄部材の価格、職人の人件費が近年上昇しているためです。同じ工事内容でも、1回目より単価が上がっている例は少なくありません。
過去の工事金額ではなく、最新の相場を前提に資金計画を立て直しましょう。
2回目の大規模修繕で行う主な工事内容

2回目の工事は、建物本体の補修と設備の更新に大きく分かれます。1回目の塗装や防水を繰り返しつつ、設備の更新が新たに加わります。
外壁や屋上防水など建物本体の補修
建物本体の補修は、2回目でも中心的な工事です。
外壁や屋上は雨風に直接さらされ、前回の施工から十数年で再び劣化するためです。主な工事には次のものがあります。
- 外壁のタイル補修・下地補修と塗装
- 屋上やバルコニーの防水のやり直し
- 鉄部の塗装や金物・手すりの補修
これらは防水性能を保つ土台で、先送りは雨漏りや躯体の傷みを招きます。
給排水管やエレベーターなど設備の更新
2回目で新たに重みを増すのが、設備の更新です。
配管や昇降機は使用年数が長いほど故障や漏水のリスクが高まるためです。1回目と2回目の主な違いを、次の表にまとめました。
| 項目 | 1回目(築12〜15年) | 2回目(築25〜30年) |
| 外壁・防水 | 部分補修が中心 | 範囲が広がりやすい |
| 給排水管 | 対象外が多い | 更生・更新を検討 |
| エレベーター | 対象外が多い | 改修や更新を検討 |
| 費用の傾向 | 比較的抑えやすい | 高くなりやすい |
設備は使い勝手や安全性に直結します。工事の要否を早めに見極めることが大切です。
2回目の大規模修繕の費用目安と資金計画

2回目の費用は、1回目より高くなりやすい点を前提に資金計画を立てます。
工事範囲の拡大と設備更新が重なり、総額が膨らむためです。
費用が高くなる理由と目安
2回目の大規模修繕は、1回目より費用が高くなる傾向があります。
工事範囲の拡大と高額な設備更新、資材費の高騰が重なるためです。国土交通省の実態調査によると、1回目の工事でも1戸あたりの金額は平均で約100万円でした。
2回目はこれに設備更新が上乗せされるため、戸あたりの負担はさらに大きくなりやすいといえます。
参照:国土交通省「マンション大規模修繕工事に関する実態調査を初めて実施」
修繕積立金が不足するときの対処法
積立金が足りない場合は、複数の資金確保策を比べて選びます。
段階増額方式で当初の積立額を低く抑えていると、2回目の時点で不足しやすいためです。国土交通省のガイドラインは2024年6月に改定されました。この方式では、初期額を均等積立方式の月額の0.6倍以上、最終額を1.1倍以内にとどめる目安が示されています。
対処法には、積立金の増額や一時金の徴収、金融機関からの借入、工事範囲の絞り込みがあります。いずれも早めの検討が負担の平準化につながります。
参照:国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」
2回目の大規模修繕で注意したいポイント

2回目では、資金だけでなく住民の合意形成にも目を向ける必要があります。
入居者の入れ替わりが進み、話し合いの前提がそろいにくくなるためです。
世代交代や高齢化で合意形成が難しくなる
2回目の時期には、合意形成の難しさが増します。
新築から25年以上が経ち、世代交代や高齢化、賃貸化が進むためです。修繕への関心や費用負担の考え方が住民ごとに分かれます。
決議の直前ではなく、早い段階から情報を共有する姿勢が求められます。総会前の説明会や資料の配布で判断材料をそろえておくと、合意が進みやすくなります。
建物診断で優先順位を見極める
工事の前には、建物診断で劣化の状態と優先順位を見極めます。
限られた予算で緊急度の高い箇所から着手する必要があるためです。診断では次の点を確認すると、計画に落とし込みやすくなります。
- 外壁や防水の劣化の広がり
- 給排水管やエレベーターの更新時期
- 長期修繕計画と積立金残高の過不足
第三者の専門家に診断を依頼すると、管理会社任せにせず必要な工事を客観的に判断しやすくなります。
2回目の大規模修繕に関するよくある質問
2回目の大規模修繕はいつ行うのが目安ですか?
2回目は1回目より費用が高くなりますか?
修繕積立金が足りないときはどうすればよいですか?
まとめ|2回目の大規模修繕は早めの見直しが要

2回目の大規模修繕は築25〜30年頃が目安で、外壁や防水の繰り返しに加え、給排水管やエレベーターの更新が重なります。工事範囲が広がるぶん費用も膨らみやすく、1回目より高くなる傾向があります。
まずは長期修繕計画書と積立金残高を照らし合わせ、建物診断で優先順位を確かめましょう。住民の入れ替わりが進むなかでは、早めの情報共有が合意を助けます。
先を見据えた備えが、建物の資産価値と暮らしの安心を守る近道です。


