この記事の要点
- 賃貸物件の募集写真は、引っ越し予定者が問い合わせ先を決める重要な判断材料
- 撮影前に清掃と照明を整え、部屋の広さや設備が正確に伝わる構図で撮影する
- 別室の写真や過度に加工した画像を使う場合は、誤認を招かない表示が必要
引っ越し先を探す人は、家賃や間取り、駅からの距離を確認した後、掲載写真を見て内見する物件を絞り込みます。条件が似た部屋が並んでいる場合、写真の明るさや枚数、設備の分かりやすさが比較の決め手になることもあります。
不動産情報サイト事業者連絡協議会の2025年調査では、賃貸契約者が不動産会社を選ぶ際、「写真の点数が多いこと」を重視する傾向が示されています。写真は部屋をきれいに見せるだけでなく、入居後の生活を具体的に伝える情報です。
この記事では、不動産オーナーが管理会社へ募集を依頼するときに確認したい、写真の撮り方、掲載順、広告上の注意点を解説します。
募集写真が空室対策で重要な理由

募集写真には、物件検索の一覧画面で興味を持ってもらい、室内の状態を伝え、内見後の印象のずれを減らす役割があります。
写真が数枚しかない物件は、引っ越し予定者から「水回りが古いのではないか」「収納が少ないのではないか」と警戒される可能性があります。実際には管理状態が良くても、情報が不足しているだけで候補から外されることがあります。
家賃や敷金を見直す前に、まず掲載写真を確認することも大切です。写真の改善だけで成約すると断定はできませんが、部屋の状態を正確に伝えることで、問い合わせを受ける機会は増やしやすくなります。
撮影前に部屋を整える

撮影は、原状回復工事と室内清掃が終わった後に行います。床のほこり、浴室の水滴、キッチンの油汚れ、窓ガラスのくもりは写真に残りやすいため、撮影直前にも確認しましょう。
特に次の場所は、写真で汚れが目立ちやすい部分です。
- 床と幅木
- 窓ガラスとサッシ
- キッチンの天板とシンク
- 浴室の鏡と水栓
- 洗面台、便器、ベランダ
- 玄関、下駄箱、収納内部
清掃道具や工事用資材、脚立などが室内に残っていないかも確認します。鏡や窓には、撮影者や荷物が映り込むことがあるため注意が必要です。
室内照明はすべて点灯し、電球切れがあれば交換します。エアコン、換気扇、インターホン、給湯器の操作パネルなども撮影前に動作を確認しておくと、内見準備を同時に進められます。
引っ越し予定者に伝わる撮影のコツ

高価なカメラがなくても、スマートフォンで募集写真を撮影できます。重要なのは、明るさ、構図、水平・垂直の3点です。
まず、室内は日中に撮影します。窓から自然光が入る時間を選び、室内照明も点灯させます。ただし、明るく補正しすぎると壁や床の色が実物と変わるため、現況が分かる範囲にとどめましょう。
居室は、入口付近や部屋の隅から反対側の角に向けて撮ると、奥行きが伝わりやすくなります。入口側から窓方向、窓側から入口方向の2方向を撮影すると、収納やドアの位置関係も分かります。
スマートフォンの格子線を表示し、柱や窓枠が垂直になるように構えます。カメラを上向きや下向きに傾けすぎると、壁が斜めに写り、部屋が不自然に見えます。
広角機能は、浴室や洗面所など狭い場所では便利です。ただし、強い広角を使うと実際より広く見えることがあります。広角写真だけでなく、通常の画角でも撮影し、内見時との印象差を小さくしましょう。
収納は扉を閉じた状態と開けた状態の両方を撮ります。キッチンも全体写真だけでなく、コンロ、シンク、作業台、収納を分けて写すと、引っ越し後の使い方を想像しやすくなります。
撮影する場所と掲載順

居室だけでなく、水回りや共用部分まで掲載することで、物件全体の管理状態を伝えられます。
| 撮影場所 | 写す内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 外観 | 建物全体、入口、前面道路 | 日中に斜め方向から撮る |
| 居室 | 窓、収納、エアコン | 部屋の隅から2方向撮る |
| キッチン | コンロ、シンク、作業台 | 調理スペースを見せる |
| 水回り | 浴室、洗面台、トイレ | 鏡の映り込みを避ける |
| 収納 | 奥行き、棚、パイプ | 扉を開けて撮影する |
| 共用部分 | 郵便受け、駐輪場、ごみ置場 | 管理状態が分かるようにする |
掲載順は、最初に物件の特徴が伝わる外観または明るい居室を置き、その後に間取り図、居室、キッチン、浴室、洗面所、トイレ、収納、玄関、ベランダ、共用部分と続けると分かりやすくなります。
写真の掲載上限は、不動産情報サイトや契約商品によって異なります。SUUMOの賃貸向け物件枠では、物件画像14点と周辺環境写真6点の最大20点を掲載できる商品があります。管理会社へ依頼するときは、掲載先ごとの上限まで登録されているか、同じ写真が重複していないかを確認しましょう。
写真掲載で注意したい広告ルール

募集写真は不動産広告の一部です。実際の状態と異なる写真を使うと、入居希望者に誤解を与える可能性があります。
不動産の表示に関する公正競争規約施行規則では、原則として取引する物件の写真を使用することが求められています。同じ建物の別室を使う場合でも、内装や設備、窓の位置、眺望が異なることがあります。「同タイプの別室」など、対象物件の写真ではないことを明示する必要があります。
また、宅地建物取引業法32条では、事実と著しく異なる表示や、実際より著しく優良または有利だと誤認させる広告を禁止しています。明るさや傾きを整える程度の補正は考えられますが、傷を消す、景色を差し替える、存在しない家具や設備を加える加工は避けましょう。
家具を配置した画像を使う場合は、「家具・小物は契約に含まれない」「画像は配置例」などの説明を添えます。判断に迷う場合は、管理会社や広告掲載先へ確認してください。
よくある質問

Q. 賃貸物件の募集写真は何枚必要ですか?
必要な枚数は掲載先によって異なりますが、居室だけでなく、水回り、収納、玄関、共用部分まで確認できる枚数が必要です。SUUMOの一部商品では最大20点を掲載できます。少なくとも主要な設備が一通り分かるようにし、似た写真の重複は避けましょう。
Q. スマートフォンだけでもきれいに撮影できますか?
スマートフォンでも撮影できます。日中に室内照明を点灯し、格子線を使って柱や窓枠をまっすぐに写すことが重要です。広角機能は便利ですが、実際より広く見えないよう通常の画角も併用しましょう。
Q. 同じ建物の別の部屋の写真を使ってもよいですか?
原則は、実際に募集する部屋の写真を使用します。やむを得ず別室の写真を使う場合は、「同タイプの別室」などと明記し、設備や内装が同じか確認します。表示方法によっては不動産広告のルールに抵触する可能性があるため、管理会社に確認してください。
Q. 募集写真はいつ撮り直すべきですか?
壁紙の張り替え、設備交換、リフォーム、外壁塗装などで現況が変わったときは撮り直します。募集を再開する際も、写真が現在の状態と一致しているか確認しましょう。古い写真を使い続けると、内見時の印象と差が生じる可能性があります。
まとめ

引っ越し予定者に響く募集写真は、部屋を必要以上によく見せる写真ではなく、広さや設備、管理状態を正確に伝える写真です。
撮影前に清掃と照明を整え、日中に部屋の隅から2方向以上を撮影します。居室だけでなく、水回り、収納、共用部分も掲載し、生活に必要な情報をそろえましょう。
オーナーは管理会社に任せきりにせず、写真の枚数、掲載順、撮影時期、現況との違いを確認することが大切です。写真の改善は、家賃を下げずに見直せる空室対策の一つです。


