この記事の要点
- 年収500万円でも、不動産投資を始められる可能性がある
- ただし、融資では年収だけでなく、借入れの状況や貯蓄、物件の収益性も確認される
- 大切なのは、空室や金利上昇があっても返済を続けられる金額で考えること
「年収500万円では、不動産投資は難しいのでは」と考える人もいるでしょう。
結論からいうと、年収500万円でも不動産投資ローンを利用できる可能性はあります。ただし、年収だけで融資の可否や金額が決まるわけではありません。
金融機関は、申込者の収入や貯蓄に加えて、住宅ローンや自動車ローンの残高、勤務状況、購入する物件の家賃収入などを見て判断します。
年収500万円でも不動産投資はできる

不動産投資ローンには、「年収500万円なら必ず借りられる」といった全国共通の基準はありません。金融機関ごとに審査の考え方が異なるためです。
審査では、主に次の点が確認されます。
- 年収と勤務状況
- 預貯金や金融資産
- 住宅ローンなどの残高
- 過去の返済状況
- 物件の家賃収入
- 立地や築年数
- 売却時の価格の見込み
同じ年収500万円でも、ほかの借入れが少なく、貯蓄がある人は審査で有利になりやすいと考えられます。
一方で、年収が高くても借入れが多い場合や、購入する物件の家賃が低い場合は、希望額を借りられない可能性があります。
融資で見られる4つの条件

ここでは融資で見られる4つの条件について紹介します。
年収と仕事の安定性
金融機関は、現在の年収だけでなく、今後も収入が続くかを確認します。
転職直後や収入の変動が大きい場合は、過去2〜3年分の資料を求められることがあります。
ほかの借入れ
住宅ローン、自動車ローン、教育ローン、カードローンなどがある場合、その返済額も審査に影響します。
参考として、本人が住む住宅に使う【フラット35】では、年収400万円以上の人について、年間返済額を年収の35%以下とする基準があります。
年収500万円の場合、35%は年間175万円、月額約14万5,800円です。ただし、これは住宅ローンの基準であり、不動産投資ローンにそのまま使える数字ではありません。
自己資金と手元に残るお金
頭金を多く入れれば、借入額を減らせます。ただし、貯蓄のほとんどを使うのは避けたほうがよいでしょう。
空室中もローン返済は続き、設備故障では数万円から数十万円かかることもあります。
そのため、頭金だけでなく、購入後に残るお金まで考えることが大切です。
物件の家賃収入と担保価値
金融機関は、物件からどのくらい家賃を得られるかも確認します。
さらに、立地、築年数、建物の状態、土地の価値などから、売却時にどの程度の価格が見込めるかも見ます。購入価格より金融機関の評価が低ければ、差額を自己資金で補う場合があります。
年収500万円の人が選びやすい物件

初めて不動産投資をする場合は、価格の大きい物件より、収支を把握しやすい物件から検討する方法があります。
| 物件の種類 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 中古区分マンション | 少ない金額から検討しやすい | 空室になると家賃収入がゼロ |
| ファミリー向け区分 | 長期入居が期待できる場合がある | 退去時の修繕費が高くなりやすい |
| 小規模な一棟アパート | 複数の部屋から家賃を得られる | 借入額と建物修繕費が大きい |
| 新築区分マンション | 購入直後の修繕が少ない傾向 | 新築価格と中古価格の差に注意 |
物件を選ぶときは、駅からの距離だけでなく、周辺の家賃相場、空室の数、同じ間取りの募集状況も確認しましょう。
区分マンションでは管理費や大規模修繕、一棟アパートでは屋根や外壁の修繕時期を確認します。
購入前に収支を計算する

次は、物件価格1,400万円の中古区分マンションを購入する場合の例です。
| 項目 | 金額 |
| 物件価格 | 1,400万円 |
| 自己資金 | 300万円 |
| 借入額 | 1,100万円 |
| 借入期間 | 30年 |
| 金利 | 年3.0% |
| 家賃収入 | 月7万5,000円 |
| ローン返済 | 月約4万6,400円 |
| 管理費・修繕積立金 | 月1万2,000円 |
| 賃貸管理費 | 月3,750円 |
| 税金・保険の積立て | 月7,000円 |
| 毎月の収支 | 約5,850円のプラス |
一見すると黒字ですが、1か月空室になると年間の家賃収入は7万5,000円減り、月平均の収支は約400円の赤字になります。
さらに、金利が年3.0%から年4.0%に上がると、毎月の返済額は約5万2,500円です。ほかの条件が同じなら、毎月の収支は約250円の赤字になります。
購入前には、次の3つを試算しましょう。
- 家賃が10%下がった場合
- 1年間に1〜2か月空室になった場合
- 金利が1%上がった場合
家賃収入がそのまま利益になるわけではない

毎月7万5,000円の家賃が入っても、全額が手元に残るわけではありません。
ローン返済のほか、管理費、修繕費、固定資産税、火災保険料、賃貸管理費などがかかります。
国税庁によると、不動産所得は「家賃などの収入-必要経費」で計算します。必要経費には、固定資産税、保険料、修繕費、減価償却費などが含まれます。
ただし、ローン返済額のうち元金部分は、そのまま必要経費にはできません。税務上の扱いに迷う場合は、税理士へ確認してください。
年収500万円の人が避けたい失敗

注意したいのは、「借りられる金額」と「無理なく返せる金額」を同じだと考えることです。
融資の承認を受けても、空室や家賃下落、修繕費、金利上昇まで保証されるわけではありません。
また、表面利回りだけで判断するのも避けましょう。表面利回りは、年間家賃を物件価格で割った数字で、管理費や税金などは含まれていません。
本人が住むための住宅ローンを、投資用物件の購入には利用できません。目的外の利用が分かった場合、一括返済を求められる可能性があります。
よくある質問

年収500万円なら3,000万円を借りられますか?
年収だけでは判断できません。ほかの借入れ、自己資金、年齢、返済期間、物件の家賃収入などによって結果は変わります。3,000万円を借りられるかより、空室や金利上昇があっても返済を続けられるかを確認しましょう。
自己資金はいくら必要ですか?
必要額は、金融機関や物件によって異なります。頭金のほか、登記費用、融資手数料、保険料なども必要です。購入後に貯蓄がほとんど残らない計画は避け、空室や修繕に使えるお金も残しましょう。
年収500万円なら区分マンションが向いていますか?
区分マンションは、一棟物件より購入価格を抑えやすい傾向があります。ただし、1室しか持っていない場合、空室になると家賃収入はゼロです。物件の種類だけで決めず、賃貸需要や毎月の収支を確認してください。
不動産投資をすると節税できますか?
必ず節税できるわけではありません。不動産所得の赤字や減価償却の扱いは、物件の構造や取得価格などで変わります。節税だけを目的に購入せず、税務上の判断は税理士へ確認してください。
まとめ

年収500万円でも、不動産投資を始められる可能性はあります。
ただし、融資では年収だけでなく、ほかの借入れ、自己資金、物件の家賃収入、担保価値なども確認されます。
物件を選ぶときは、借りられる上限額ではなく、空室、家賃下落、金利上昇があっても返済を続けられるかを優先しましょう。購入後に使えるお金を残し、複数の条件で収支を計算することが、安定した不動産経営につながります。


