この記事の要点
- 空き部屋は、通常賃貸の見直しだけでなく、家具付き賃貸、事務所、倉庫、民泊などにも活用できる
- 収益性だけで選ぶと、改装費や管理負担が想定以上に増えることがある
- 用途を変える場合は、自治体や消防署、税理士などへ事前に確認することが大切
総務省の2023年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家は900万戸、空き家率は13.8%でした。賃貸住宅の供給が多い地域では、別の使い方を考えることも選択肢です。
この記事では、空き部屋の活用方法を10種類に分け、特徴と注意点を紹介します。大きな費用をかける前に、物件に合う方法を整理してみましょう。
空き部屋を活用する前に確認したいこと

最初に確認したいのは空室の理由です。家賃や募集写真、設備の見直しだけで改善できる場合もあります。
次に、改装費を何年で回収できるかを計算します。たとえば、60万円の工事で家賃が月5,000円上がる場合、増額分だけで回収するには10年かかります。
住宅を事務所、倉庫、宿泊施設などに変える場合は、用途地域や建築基準法、消防法の確認も必要です。特殊建築物への用途変更では、対象部分が200平方メートルを超えると建築確認が必要になる場合があります。200平方メートル以下でも、法令への適合が不要になるわけではありません。
空き部屋の活用方法10選

ここでは、空き部屋の活用方法を10選で紹介します。
1.家賃や募集条件を見直す
住居としての募集を続けながら、家賃、敷金・礼金、フリーレント、ペット可などを見直す方法です。
家賃を月3,000円下げると年間収入は3万6,000円減ります。ただし、空室期間が短くなれば、年間収支が改善することもあります。
2.必要な部分だけリフォームする
全面改装ではなく、壁紙、床、照明、エアコン、水回りなど、内見時に目につきやすい部分を優先します。
通常の修理は修繕費として必要経費にできる場合があります。一方、建物の価値を高める工事や用途変更の改装は、資本的支出として減価償却が必要になる可能性があります。判断に迷う場合は税理士へ相談してください。
3.DIY可能物件として貸す
入居者が壁の塗装や棚の設置を行える形で募集し、オーナー側の改装負担を抑える方法です。
国土交通省は、DIY型賃貸借の契約書式例を公開しています。工事範囲、費用負担、原状回復などを契約書に記載しましょう。
4.家具・家電付き物件にする
冷蔵庫、洗濯機、ベッドなどを備え、すぐに生活できる部屋として貸し出します。単身赴任者や学生などから需要を得られる可能性があります。
故障時の負担を明確にするため、備品を「設備」と「無償貸与品」に分けて記載しておくと安心です。
5.法人向け社宅として貸す
工場、病院、学校、事業所の周辺では、従業員向けの社宅として法人へ貸せる場合があります。
法人契約に対応していることを募集情報に記載します。国税庁によると、従業員用住宅の家賃は原則として消費税が非課税です。
6.マンスリー型で貸す
出張、研修、建て替え中の仮住まいなど、数週間から数か月の利用者を対象に貸し出します。
清掃費、光熱費、募集手数料も含めて収支を計算します。定期建物賃貸借を使う場合は、契約方法に決まりがあるため、不動産会社へ確認しましょう。
7.事務所やSOHOとして貸す
駅に近い物件や商業地域では、小規模事務所や自宅兼事務所として貸す方法があります。
来客、看板、法人登記、営業時間など、認める範囲を契約書に記載します。住宅用家賃は原則として消費税が非課税ですが、事務所用家賃は課税対象です。
8.レンタルスペースにする
会議、撮影、教室などに、時間単位で貸し出す方法です。1時間2,000円で月50時間利用されれば、売上は月10万円になります。
ただし、予約サイトの手数料、清掃費、光熱費などを差し引く必要があります。騒音や共用部の使い方にも配慮しましょう。
9.倉庫やトランクルームにする
一室をそのまま倉庫として貸す方法と、室内を複数区画に分けて貸す方法があります。
危険物、生もの、現金など、保管できない物は利用規約に明記します。区画工事を行う場合は、避難経路や消防設備について自治体や消防署へ確認してください。
10.民泊として活用する
観光地や駅、空港の近くでは、民泊として宿泊者へ貸し出す方法もあります。
住宅宿泊事業法に基づく民泊は届出が必要で、宿泊日数は年間180日以内です。自治体の条例で営業地域や曜日が制限される場合もあります。保健所や消防署へ相談してから検討しましょう。
空き部屋の活用方法を比較

ここでは、空き部屋の活用方法や初期費用、向いている物件などを簡単な表としてまとめました。
| 活用方法 | 初期費用 | 管理の手間 | 向いている物件 |
|---|---|---|---|
| 条件見直し・通常賃貸 | 小さい | 少ない | 居住需要がある地域 |
| 家具付き・マンスリー | 中程度 | やや多い | 駅近、単身者向け |
| 事務所・SOHO | 中程度 | 中程度 | 駅近、商業地域 |
| レンタルスペース | 中程度 | 多い | 人が集まりやすい立地 |
| 倉庫・トランクルーム | 中程度 | 中程度 | 収納需要がある地域 |
| 民泊 | 大きい | 多い | 観光・出張需要がある地域 |
収益は、稼働率50%、70%、90%の3通りで試算すると判断しやすくなります。
空き部屋活用を始める手順

まず、管理会社へ問い合わせ数や内見数、申込みに至らなかった理由を確認します。募集条件の見直しで改善できる場合は、大きな改装を急ぐ必要はありません。
次に、周辺の家賃相場だけでなく、事務所、倉庫、短期滞在などの需要も調べます。そのうえで、改装費、広告費、清掃費、光熱費、管理費、保険料を含めて収支を試算しましょう。
用途を変える場合は、工事前に自治体の建築担当窓口や消防署、必要に応じて保健所へ相談します。まず1室で試す方法もあります。
空き部屋を収益化する際の注意点

住宅以外の用途に変更すると、アパートローンや火災保険の契約条件に影響する可能性があります。金融機関や保険会社にも事前に確認しましょう。
不特定多数の人が出入りする用途では、騒音、ゴミ、防犯、共用部分の利用などへの配慮も必要です。利用時間や禁止事項、緊急時の連絡先を明確にします。
初期費用が高い方法ほど、利用が伸びなかった場合の負担も大きくなります。想定売上だけでなく、毎月の経費と撤退時の費用まで含めて検討しましょう。
よくある質問

Q.空き部屋はそのまま倉庫として貸せますか?
住宅を倉庫として貸せる場合もありますが、用途地域や建築基準法、消防法の確認が必要です。室内を複数区画に分ける場合は、避難経路や消防設備に影響する可能性があります。保管禁止物や利用時間も契約書へ記載しましょう。工事前に自治体と消防署へ相談すると安心です。
Q.空き部屋を事務所にすると税金は変わりますか?
住宅用家賃は原則として消費税が非課税ですが、事務所用家賃は課税対象です。
ただし、納税義務が生じるかは、オーナーの課税売上高などによって異なります。改装工事が資本的支出に当たる場合もあります。契約や工事の前に税理士へ確認してください。
Q.アパートの一室でも民泊はできますか?
条件を満たせば、アパートの一室でも住宅宿泊事業法に基づく民泊を行える可能性があります。年間の宿泊日数は180日以内で、事前の届出が必要です。自治体の条例で地域や曜日が制限される場合もあります。保健所、消防署、自治体へ事前に相談しましょう。
まとめ

空き部屋の活用方法には、募集条件の見直し、家具付き賃貸、法人社宅、事務所、倉庫、民泊などがあります。
まずは空室の原因を確認し、現在の住居用途のまま改善できないかを考えましょう。用途を変える場合は、初期費用や管理負担だけでなく、法令、税金、既存入居者への影響まで含めて判断することが大切です。
一度に大きく変えず、まず1室から試し、需要と収支を確認しながら広げると、負担を抑えやすくなります。


