この記事の要点
- 婚姻中に購入した投資用マンションは財産分与の対象となる可能性があり、婚前購入や相続・贈与で取得した物件は対象外となるケースがある
- ローン残債が物件価格を上回る「オーバーローン」と下回る「アンダーローン」では、売却や財産分与の進め方が異なる
- 売却前は査定額・ローン残債・家賃収入を確認し、売却・代償分割・共有継続の中から状況に合った方法を選ぶ
投資用マンションは、婚姻中に取得した経緯やローンの返済状況などによって、離婚時の財産分与の対象となる可能性があります。
また、ローン残債や家賃収入、物件の評価額によって適切な対応が異なるため、状況を整理したうえで判断することが大切です。
この記事では、不動産投資が離婚時の財産分与の対象となるケース・ならないケースをはじめ、投資用マンションの分け方やローンが残っている場合の注意点、売却時に確認したいポイントまで詳しく解説します。
不動産投資は離婚時の財産分与の対象になる?

離婚時には、夫婦が婚姻期間中に築いた財産を分ける「財産分与」が行われます。
しかし、投資用マンションはすべてが財産分与の対象になるわけではありません。
「夫名義だから対象外」「結婚前に購入したから関係ない」と考えていると、実際の取り扱いと異なるケースもあります。
まずは、財産分与の基本的な考え方と、投資用マンションが対象となるケース・対象外となるケースを確認しましょう。
財産分与とは
財産分与とは、離婚する際に婚姻期間中に夫婦で築いた財産を公平に分ける制度です。
法務省のホームページでは、財産分与について下記のように記載しています。
夫婦の協力によって形成された財産であれば、財産の名義人にかかわらず、財産分与の対象となります。例えば、婚姻中に夫の収入で土地建物を購入して夫の単独名義になっている場合であっても、妻が家事等分担して夫を支えていたときは、その土地建物は、実質的には夫婦の財産といえると考えられます。
引用:法務省
このように、投資用マンションが財産分与の対象になるかどうかは、名義だけでなく、購入時期や資金の出どころなどを踏まえて判断されます。
投資用マンションが共有財産になるケース
投資用マンションは、婚姻中に夫婦で築いた財産と判断される場合、財産分与の対象となる可能性があります。
登記上は夫または妻の単独名義であっても、次のようなケースでは共有財産と認められることがあります。
- 婚姻中に投資用マンションを購入した
- 婚姻中の給与で頭金やローンを支払っていた
- 夫婦の共有資産を購入資金に充てた
- 夫婦の共有名義でローンを契約している
- 単独名義でも、夫婦の収入でローン返済を続けていた
財産分与では登記名義だけではなく、購入時期や資金の出どころ、返済状況などを総合的に判断します。
財産分与の対象にならないケース
投資用マンションであっても、特有財産に該当する場合は、原則として財産分与の対象になりません。
代表的なケースは次のとおりです。
- 結婚前に自己資金で購入した物件
- 相続によって取得した物件
- 生前贈与で取得した物件
- 夫婦の共有資産を使用せず取得した特有財産
ただし、結婚前に購入した物件でも、婚姻後の給与でローン返済を続けていた場合や、夫婦の共有資産で大規模なリフォームを行った場合は、その部分が共有財産として評価される可能性があります。
離婚時に投資用マンションで確認すべきポイント

投資用マンションを財産分与する際は、「財産分与の対象になるか」だけでなく、現在の資産価値やローン残債なども確認する必要があります。
これらを把握しないまま話し合いを進めると、適正な財産分与ができなかったり、離婚後に金銭トラブルへ発展したりする可能性があります。
ここでは、離婚前に確認しておきたい3つのポイントを解説します。
不動産の評価額を確認する
投資用マンションを財産分与する場合は、まず現在の評価額を把握しましょう。
購入価格ではなく、離婚時点での市場価格を基準に財産価値が判断されることが一般的です。
そのため、購入当時の価格だけで財産分与を決めるのは適切ではありません。
評価額を把握するには、不動産会社へ査定を依頼する方法が一般的です。
1社だけでは査定額に差が出ることもあるため、複数社へ依頼すると現在の相場を把握しやすくなります。
ローン残債を確認する
投資用マンションは、物件価格だけでなくローン残債も確認することが重要です。
査定額よりローン残債が少ない「アンダーローン」と、査定額よりローン残債が多い「オーバーローン」では、財産分与の進め方が異なります。
アンダーローンの場合は、売却後に利益が残る可能性があり、その利益を夫婦で分ける方法を検討できます。
一方、オーバーローンでは売却してもローンが残るため、残債の負担方法について話し合わなければなりません。
金融機関から返済予定表や残高証明書を取り寄せ、査定額とあわせて確認しておくと、財産分与の方針を決めやすくなります。
家賃収入や管理状況を確認する
投資用マンションでは、家賃収入や管理状況も確認しておきましょう。
毎月どの程度の家賃収入があるのか、空室が続いていないかによって、物件の収益性や資産価値は変わります。
また、管理会社との契約内容や修繕積立金、管理費などの支出も把握しておくことが大切です。
離婚後にどちらかが物件を所有する場合は、家賃の振込口座や管理契約の名義変更が必要になります。
財産分与では物件そのものだけでなく、継続的な収益や維持費も含めて確認することで、離婚後のトラブルを防ぎやすくなるでしょう。
離婚時の投資用マンションの分け方

投資用マンションが財産分与の対象となる場合、分け方は一つではありません。
物件の資産価値やローン残債、今後も運用を続けるかどうかによって、適した方法は異なります。
どの方法にもメリット・デメリットがあるため、それぞれの特徴を理解したうえで選択することが大切です。
売却して現金を分ける
投資用マンションを売却し、売却代金を夫婦で分ける方法です。
現金化することで公平に分配しやすく、離婚後も物件に関する関係が続かない点がメリットです。
一方で、売却価格によっては希望どおりに利益が得られない場合があります。
仲介手数料や譲渡所得税などの費用が発生する可能性もあるため、売却によって実際に手元へ残る金額を確認しておきましょう。
不動産売却の方法とは?種類ごとの特徴や選び方・売却の流れを解説
どちらかが所有して代償金を支払う
夫婦のどちらかが投資用マンションを所有し続け、もう一方へ財産分与として代償金を支払う方法です。
例えば、査定額からローン残債を差し引いた資産価値が1,000万円であれば、その半分にあたる500万円を代償金として支払うケースがあります。
ただし、実際の金額は夫婦の協議や状況によって異なります。
所有者が変わる場合は、ローン契約や金融機関との契約内容によっては名義変更が認められないこともあるため、事前に確認しておきましょう。
共有名義のまま保有する
離婚後も共有名義のまま投資用マンションを保有し、家賃収入や売却益を分ける方法もあります。
売却を急ぐ必要がなく、収益物件として運用を続けられる点が特徴です。
しかし、物件の売却や大規模修繕、管理方法などを決める際は、離婚後も双方の合意が必要になります。
家賃収入の分配や修繕費の負担割合を巡って意見が対立し、トラブルへ発展する可能性もあるでしょう。
そのため、共有名義のまま保有する場合は、管理方法や費用負担、将来的な売却時のルールなどをあらかじめ取り決めておくことが大切です。
連帯保証人・共有名義の注意点

投資用マンションのローンで夫婦のどちらかが連帯保証人になっている場合や、共有名義で契約している場合は、離婚後も責任が残る可能性があります。
離婚したからといって、自動的に連帯保証人から外れたり、ローン契約が変更されたりするわけではありません。
金融機関の承諾が必要となり、審査の結果によっては契約内容を変更できないこともあります。
また、共有名義のまま所有を続ける場合は、売却や借り換えなどの重要な手続きで双方の同意が必要になることがあります。
離婚後のトラブルを避けるためにも、ローン契約や名義の取り扱いについては、金融機関や専門家へ相談しながら進めることをおすすめします。
よくある質問(FAQ)

投資用マンションは夫名義でも財産分与の対象になりますか?
婚姻中の収入で購入した場合や、婚姻中の収入でローンを返済していた場合は、財産分与の対象になります。
名義だけで判断されるわけではなく、購入時期や資金の出どころなどを総合的にされるため、婚姻中のローンはどの資金から支払われていたものか確認しましょう。
ローンが残っている投資用マンションも財産分与できますか?
ただし、査定額とローン残債の関係によって分け方が異なり、オーバーローンかアンダーローンかを確認することが重要です。
売却や名義変更を検討する前に、金融機関から残高証明書を取得し、現在の資産価値を把握しておきましょう。
家賃収入は財産分与の対象になりますか?
家賃収入がどの口座へ入金されていたかや、管理費・修繕費などの支出状況も財産分与の際に確認しておくことが大切です。
収益や管理状況を整理しておくことで、離婚後のトラブルを防ぎやすくなります。
不動産投資の離婚時は財産分与やローンの状況を確認しよう

投資用マンションは、婚姻中に形成した共有財産と判断される場合、離婚時の財産分与の対象となる可能性があります。
一方で、婚前に購入した物件や相続・贈与によって取得した物件は、原則として対象外です。
また、財産分与では物件の査定額だけでなく、ローン残債や家賃収入、売却にかかる費用なども確認し、売却・代償分割・共有継続の中から状況に合った方法を選ぶことが重要です。
離婚後のトラブルを防ぐためにも、早い段階で財産状況を整理し、不動産会社や弁護士などの専門家へ相談しながら、納得できる方法で財産分与を進めましょう。


