この記事の要点
- マンションでカメムシが発生する原因は「光・自然環境・越冬場所」の3つが重なるため。高層階でも発生する
- 対策の基本は「駆除」より「侵入予防」。隙間封鎖・ベランダ整理・照明対策・洗濯物確認が効果的
- 共用部分の大量発生や毎年繰り返す場合は管理会社・オーナーへ相談すべき
カメムシは、秋になるとマンションでも大量に発生し、ベランダや窓、玄関などのわずかな隙間から室内へ侵入することがあります。独特の悪臭を放つため、入居者からのクレームや退去理由につながることもあり、賃貸経営を行うオーナーにとっても無視できない問題です。
しかし、やみくもに殺虫剤で駆除するだけでは根本的な解決にならず、毎年同じ被害を繰り返してしまうケースも少なくありません。カメムシ対策で重要なのは「発生原因を理解したうえで、侵入経路を断つ」ことです。
この記事では、マンションでカメムシが発生する原因や階数との関係、自分でできる予防方法、管理会社へ相談すべきケースまで、不動産オーナー・入居者の双方に役立つ情報を網羅的に解説します。
マンションでカメムシが発生する原因とは?

カメムシは、突然マンションに現れているわけではありません。実は、カメムシの習性とマンションの周辺環境が重なることで、発生しやすい状況が生まれています。
カメムシの被害が増えるのは、おもに9月〜11月の秋口です。これは越冬のために暖かい場所を探して移動するためで、気象条件によっては全国的に「カメムシ大量発生注意報」が出る年もあります。一度「居心地の良い場所」と認識されると、翌年以降も同じ場所に集まりやすくなるのが厄介な点です。効果的に対策するためにも、まずは発生する3つの原因を理解しておきましょう。
原因①:光に集まる習性がある
カメムシには光に集まる「走光性」という習性があるため、夜間の共用灯やベランダ照明、室内から漏れる明かりに引き寄せられます。特に紫外線を多く含む光(蛍光灯・水銀灯)に集まりやすい性質があります。
また、白色や明るい色の外壁は太陽光や照明を反射しやすく、カメムシが集まりやすい環境になることもあります。夜間に窓を開ける際は、必要以上に照明をつけないことも有効な対策の一つです。
原因②:マンション周辺に自然が多い
マンションの近くに公園・河川・畑・田んぼ・街路樹などがある場合は、カメムシが発生しやすくなります。カメムシは植物の汁や果実・穀物の汁を吸って生活しているため、自然が豊かな環境ほど生息数が多くなるからです。
また、ベランダで植物や家庭菜園(特にマメ科・シソ科・トマトなど)を育てている場合も、種類によってはカメムシを呼び寄せる原因になります。周辺環境を変えることはできませんが、ベランダの環境は見直しておくとよいでしょう。
原因③:越冬場所として建物を選んでいる
カメムシは寒さに弱く、秋から冬にかけて暖かい場所へ移動する習性があります。そのため、日当たりのよいマンションの外壁やベランダ、窓のサッシの隙間などに集まり、越冬場所として利用します。
カメムシはわずか数ミリの隙間でも侵入できるため、知らないうちに室内へ入り込んでいるケースも少なくありません。特に秋は発生が増える時期のため、早めに侵入対策を始めることが大切です。
マンションは何階でもカメムシが発生する可能性がある

「高層階ならカメムシは入ってこない」と考える方も多いですが、これは誤解です。カメムシは飛翔能力があり、上昇気流に乗って高層階まで到達するため、階数だけで安心することはできません。
10階以上でも侵入することがある
カメムシは1日に数キロ移動することもあり、風に乗れば10階以上の高層階のベランダにも到達します。実際、タワーマンションの高層階でも秋にカメムシが大量に張り付くケースが報告されています。高層階だからといって対策を怠らないようにしましょう。
階数より周辺環境の影響が大きい
カメムシの発生量は、階数よりも周辺の自然環境・外壁の色・照明の有無といった要素に大きく左右されます。下表は、発生リスクを左右する要因の一例です。
| 要因 | 発生リスクが高い | 発生リスクが低い |
|---|---|---|
| 周辺環境 | 田畑・河川・公園が近い | 都市部・自然が少ない |
| 外壁の色 | 白・ベージュなど明るい色 | 濃い色・暗色系 |
| 照明 | 共用灯・ベランダ照明が明るい | LED・人感センサー照明 |
| 方角 | 南向き・日当たり良好 | 北向き・日陰が多い |
つまり、自然が多い地域の白い外壁の南向き高層階は、階数に関係なくカメムシが集まりやすい条件がそろっているといえます。
マンションで自分でできるカメムシ対策

カメムシ対策は、入居者個人でもできることが多くあります。重要なのは「侵入させない」ことに重点を置くこと。具体的な4つの方法を解説します。
①窓や網戸、玄関の隙間を塞ぐ
カメムシの最大の侵入経路は「隙間」です。以下のポイントを重点的に確認しましょう。
- 網戸の破れ・たるみ→網目の細かい24メッシュ以上の防虫網に交換- 網戸とサッシの隙間→すき間モヘア(防虫テープ)を貼る(数百円〜)- 玄関ドアの下部の隙間→ドア下用すき間テープで封鎖- 換気口・通気口→専用の防虫フィルターを設置- エアコンの配管穴(スリーブ)→パテで隙間を埋める
これらのグッズはホームセンターや100円ショップでも入手でき、数百円〜2,000円程度で対策できます。
②ベランダを整理整頓する
段ボール・植木鉢・サンダル・物置などの陰は、カメムシの絶好の隠れ家になります。不要なものを片付け、風通しと日当たりをよくすることで、カメムシが居着きにくい環境を作りましょう。家庭菜園を行っている場合は、被害を受けやすい植物の配置を見直すことも有効です。
③照明対策を行う
カメムシは紫外線に集まるため、ベランダや玄関の照明を紫外線の少ないLED照明や電球色(暖色系)に変えるだけでも寄り付きにくくなります。夜間にカーテンを閉めて室内の光を漏らさないことも効果的です。
④洗濯物を取り込む前に確認する
カメムシは洗濯物に紛れて室内に入ってくることがよくあります。特にシーツや厚手の衣類は要注意です。取り込む前に軽く振ってカメムシが付いていないか確認する習慣をつけましょう。万が一付いていた場合は、刺激せずそっと払い落とすのがポイントです。
カメムシ対策グッズ・費用の目安を比較

市販のカメムシ対策グッズには、用途や費用に違いがあります。以下に主なグッズと費用感、特徴をまとめました。
| 対策グッズ | 費用の目安 | 特徴・用途 |
|---|---|---|
| すき間防虫テープ | 300〜1,000円 | 窓・網戸・ドアの隙間封鎖に最適 |
| 網戸用防虫スプレー | 800〜1,500円 | 網戸や外壁に吹きかけて寄せ付けを防ぐ。効果は約1〜2か月 |
| 吊り下げ式忌避剤 | 500〜1,500円 | ベランダや玄関に吊るすだけ。効果は約2〜3か月 |
| くん煙・スプレー殺虫剤 | 500〜2,000円 | 侵入してしまった個体の駆除用 |
| 専用捕獲器(ペットボトル等) | 0〜1,000円 | 悪臭を出さず捕獲できる。手作りも可能 |
| 害虫駆除業者依頼 | 15,000〜50,000円 | 大量発生・共用部対応。建物全体の予防消毒も可能 |
個人での対策はまず「隙間封鎖(数百円〜2,000円)+忌避剤(500〜1,500円)」から始めるのがコストパフォーマンスに優れています。大量発生や共用部が原因の場合は、後述する管理会社への相談が現実的です。
管理会社・オーナーに相談すべきケースと注意点

専有部分(自室内・自分のベランダ)の対策は入居者が行うのが基本ですが、原因が共用部分にある場合は管理会社やオーナーの対応が必要になります。以下のケースに当てはまる場合は相談しましょう。
共用部分に大量発生している場合
外廊下・階段・エントランス・外壁など、共用部分にカメムシが大量発生している場合は、個人で駆除する範囲を超えています。管理会社へ連絡し、専門業者による一斉駆除や予防消毒を依頼するのが適切です。費用は管理組合の共益費・修繕積立金から負担されるのが一般的です。
共用灯が原因になっている場合
外廊下やエントランスの共用灯にカメムシが集まっている場合、照明の種類が紫外線を多く含むものである可能性があります。LED照明や防虫照明への交換は共用部分の改善になるため、管理会社・管理組合への提案・相談が有効です。
毎年繰り返し発生している場合
毎年同じ時期に大量発生を繰り返す場合は、建物自体が越冬場所として認識されている可能性が高いです。この場合、入居者個人の対策だけでは限界があります。オーナー・管理会社が秋口(9月頃)に予防的な外壁消毒を実施することで、発生数を大幅に抑えられます。空室対策・入居者満足度の観点からも、賃貸経営上有効な投資といえます。
カメムシ対策で絶対にやってはいけない注意点
カメムシ対策では、対応を間違えると逆効果になる場合があります。以下の点に注意しましょう。
- 素手で触る・潰す→絶対NG。刺激すると強烈な悪臭を放ち、周囲ににおいが残る- 掃除機で吸う→NG。掃除機内ににおいが充満し、排気でにおいが拡散する- つぶして退治→NG。においに引き寄せられて他のカメムシが集まる可能性がある- においが手についた場合は、オリーブオイルなど油でふき取ると落ちやすい
侵入したカメムシは、ガムテープでそっと包む・ペットボトルで捕獲する・凍結タイプの殺虫剤を使うなど、刺激を与えない方法で処理するのが鉄則です。
よくある質問(FAQ)
マンションの高層階でもカメムシは入ってきますか?
はい、入ってきます。カメムシは風や上昇気流に乗って10階以上の高層階にも到達します。発生量は階数よりも周辺の自然環境・外壁の色・照明の影響が大きいため、高層階でも油断せず隙間対策を行いましょう。
カメムシ対策の費用はどれくらいかかりますか?
個人で行う場合、隙間防虫テープや忌避剤などで合計1,000〜3,000円程度から対策可能です。専門業者に駆除・予防消毒を依頼する場合は、規模により15,000〜50,000円程度が目安となります。
共用部分のカメムシ駆除は誰が対応しますか?
外廊下・エントランス・外壁などの共用部分は、管理会社・管理組合が対応するのが原則です。費用は共益費や修繕積立金から負担されるのが一般的です。専有部分(自室・自分のベランダ) は入居者自身が対応する範囲となります。共用部分で大量発生している場合は、放置せず早めに管理会社へ報告・相談しましょう。
カメムシが発生しやすい時期はいつですか?
カメムシが最も活発になるのは秋(9〜11月)です。この時期は越冬場所を求めて建物に集まるため、ベランダや窓周りで見かける機会が一気に増えます。次いで春(4〜5月)にも越冬から目覚めた個体が活動を始めます。予防対策は、本格的に発生する前の8月下旬〜9月上旬に行うのが効果的です。
洗濯物にカメムシがつかないようにするには?
洗濯物への付着を防ぐには、白っぽい衣類を内側にして干す・取り込み前に軽く払う・ハッカ油スプレーを物干し周辺に吹くなどが有効です。カメムシは白や明るい色を好む傾向があるため、特に白いシャツやタオルは注意が必要です。発生時期は室内干しや乾燥機の活用も検討しましょう。誤って取り込んだ場合は、刺激せずそっと外へ逃がしてください。
カメムシ対策の年間スケジュール
カメムシ対策は、大量発生してから動いても効果が限られます。侵入を防ぐ処置は発生のピーク前に済ませておく必要があり、時期を外すと同じ被害を翌年も繰り返すことになります。
| 時期 | カメムシの動き | 実施すべき対策 |
|---|---|---|
| 3〜4月 | 越冬個体が活動を再開し屋外へ出る | 室内・サッシ周りに残った個体の除去 |
| 5〜6月 | 屋外で産卵、幼虫が発生 | ベランダの植木の見直し、隙間封鎖の点検 |
| 7〜8月 | 成虫へ成長、個体数が増える | 網戸の破れ補修、防虫剤の設置準備 |
| 9〜10月 | 越冬場所を探して建物へ集まる(ピーク) | 忌避剤の散布、照明対策、洗濯物の確認 |
| 11〜12月 | 隙間に入り込み越冬に入る | 侵入済み個体の除去、追加の隙間封鎖 |
| 1〜2月 | 建物内で休眠 | 暖房で目覚めた個体への対応、翌年の計画 |
実務上のポイントは、忌避剤の散布を9月上旬までに終えることです。多くの製品は効果の持続期間が1〜3か月程度とされているため、ピークの直前に施工すると11月頃まで効果が続きます。8月中の散布では、ピークを迎える前に効果が切れる場合があります。
対策にかかる費用と効果の持続期間
入居者側で対応できる範囲と、オーナー・管理会社が費用を負担して実施する範囲では、金額の桁が変わります。共用部分への施工を検討する際の目安をまとめました。
| 対策 | 費用の目安 | 効果の持続 | 負担者の目安 |
|---|---|---|---|
| 隙間テープ・防虫ブラシ | 1,000〜3,000円/戸 | 1〜2年 | 入居者または貸主 |
| 網戸の張り替え(細目24メッシュ以上) | 3,000〜8,000円/枚 | 5〜10年 | 貸主 |
| 吊り下げ型・据置型の忌避剤 | 1,000〜2,000円/個 | 1〜3か月 | 入居者 |
| 共用灯のLED・低誘虫化 | 5,000〜15,000円/灯 | 10年前後 | 貸主 |
| 専門業者による外壁面の薬剤散布 | 3万〜15万円/棟 | 1〜3か月 | 貸主 |
| 年間管理契約(防除業者) | 年10万〜30万円/棟 | 通年 | 貸主 |
費用対効果が高いのは共用灯の見直しです。カメムシは紫外線を多く含む光に集まるため、紫外線の放出が少ないLED照明へ切り替えるだけで飛来数が減ることがあります。電気代の削減にもつながるため、照明の更新時期が近い物件では優先度の高い施策といえます。
なお、共用部分での薬剤散布は、洗濯物や小さな子ども・ペットへの配慮が必要です。実施日を1週間前までに掲示し、当日は洗濯物を取り込むよう案内しておくとトラブルを防げます。
侵入経路の点検リスト
カメムシは体が薄く、数ミリの隙間から侵入します。見落とされやすい経路を順に確認しておくと、封鎖の効果が上がります。
- 網戸と窓枠のあいだの隙間(網戸を左側にすると隙間ができる構造の窓がある)
- 網戸のメッシュが粗い(一般的な18メッシュでは幼虫が通過しうる)
- エアコンの配管を通す壁の穴(パテの劣化やひび割れ)
- 換気口・給気口のフィルターの破れや外れ
- 玄関ドアの下部の隙間、郵便受けの投入口
- 浴室・洗面所の換気扇の防虫網の有無
- ベランダに干した洗濯物・布団への付着(取り込み時の持ち込み)
意外に多いのが、網戸を閉めていても隙間ができている引き違い窓です。窓を開ける際に網戸を右側に寄せる構造の窓で、網戸を左側にしたまま窓を開けると、召し合わせ部分に隙間が生じます。網戸の位置を変えるだけで侵入が減る場合があるため、入居者への案内文に入れておくと効果的です。
まとめ
マンションのカメムシ対策は、「侵入させない予防」と「侵入した際の正しい対処」の両輪で考えることが重要です。高層階であっても風に乗って侵入してくるため、階数を問わず油断せずに備える必要があります。
本記事のポイントを改めて整理します。
- 発生原因:周辺の自然環境、外壁の色や照明、わずかな隙間からの侵入、越冬目的の集合- 予防方法:網戸や窓の隙間をテープで塞ぐ、忌避剤・ハッカ油の活用、洗濯物の工夫、照明対策- 越冬・大量発生時:秋口(9月頃)の予防が効果的。繰り返す場合は管理会社・オーナーへ相談- やってはいけないこと:素手で触る・潰す・掃除機で吸うのはNG。刺激せず捕獲・処理する
カメムシは一度悪臭を放つと、においが長く残るうえに仲間を呼び寄せてしまうやっかいな害虫です。だからこそ、発生してから慌てるのではなく、シーズン前の予防対策が何よりも重要になります。まずは自室でできる隙間対策と忌避剤の設置から始めてみましょう。
個人での対策に限界を感じる場合や、毎年大量発生を繰り返している場合は、管理会社・管理組合への相談や専門業者への依頼も有効な選択肢です。共用部分での発生は建物全体の問題でもあるため、入居者・オーナー・管理会社が連携して取り組むことで、より快適な住環境を維持できます。
正しい知識を身につけて適切に対処すれば、カメムシによるストレスは大きく軽減できます。本記事を参考に、ぜひ早めの予防対策を実践してみてください。


