この記事の要点
- 民泊は近隣住民の通報や予約サイトの確認、保健所の立入検査から発覚し、管理規約で禁止していれば届出も通らない
- 無許可営業は旅館業法10条で6月以下の拘禁刑か100万円以下の罰金となり、賃貸なら無断転貸で契約解除もありえる
- 理事会は出入りを記録して届出番号を照らし合わせ、保健所へ通報したうえで規約改正と停止請求を進める
「隣の部屋にキーボックスが付いて、毎週違う人が出入りしている…」
「管理会社に相談したのに、民泊かどうかもはっきりしないまま?」
見慣れない旅行者とエレベーターで乗り合わせ、不安を覚えた理事の方は少なくありません。夜の騒音やゴミ出しの苦情が増えても、民泊だと断定できずに困る管理組合もあります。規約と届出の仕組みを知らないまま管理会社の返事を待つと、何か月も同じ状態が続くでしょう。
違法な民泊は、住民の記録と行政の調査がそろえば見つけられます。規約に禁止を明記しておけば、届出の段階で止めることも可能です。
旅館業法の罰則や区分所有法の停止請求を知っておけば、理事会の話し合いも具体的に進められるでしょう。オーナーへの対応を求める根拠も、法令から示せます。
本記事では、民泊がバレる経路と罰則に加え、理事会がやめさせる手順も紹介します。
次の理事会で何を記録し、どこへ通報すればよいか迷わずに動けるでしょう。
マンション管理で民泊がバレる3つの経路

分譲マンションの民泊は、住民の目と公的な仕組みの両方から発覚します。違法民泊とは、住宅宿泊事業法の届出や旅館業法の許可を得ずに人を泊める営業のことです。
- 近隣住民や管理人の通報
- 予約サイトの掲載情報
- 保健所や自治体の調査
どの経路も、住民の気づきがきっかけになるといえるでしょう。
近隣住民や管理人の通報
違法民泊が発覚するきっかけで多いのは、近隣住民や管理人の通報です。夜の騒音やゴミ出しのトラブルが続くと、住民の目に留まりやすくなります。
観光庁が案内する違法民泊の通報先は、近くの保健所です。
予約サイトの掲載情報
住宅宿泊仲介業者は、届出番号などを確認できない物件を予約サイトに掲載できません。観光庁は、違法物件が見つかれば速やかに削除するよう仲介業者へ求めています。
番号のない掲載や番号の食い違いは、違法を疑う手がかりになるでしょう。
保健所や自治体の調査
通報を受けた保健所や自治体の調査で、営業の実態が明らかになる例もあるでしょう。住宅宿泊事業法17条では、都道府県知事に報告の要求や立入検査の権限が与えられています。
無許可営業には、旅館業法にもとづく指導が行われる可能性もあるでしょう。
マンション管理規約で民泊は禁止できる?

管理規約に明記すれば、マンションの民泊は禁止できます。管理規約とは、マンションの使い方や管理について区分所有者どうしで決めたルールのことです。
規約の書き方で届出の扱いも変わるため、今の条文を確かめておきましょう。
標準管理規約の民泊条項
国土交通省のマンション標準管理規約は、12条2項で民泊の条文例を2通り示しています。可能とする例と禁止する例があり、コメントでは可否の明記を望ましいとしている点も見逃せません。
どちらも書いていない規約なら、理事会で改正を検討する価値があるでしょう。
届出に必要な規約の確認
住宅宿泊事業法施行規則4条では、分譲マンションで届出をする人に規約の写しを求めています。規約に定めがなければ、管理組合に禁止の意思がないと確かめた書類を添えなければなりません。
規約の書き方ごとに、届出の扱いを比べると次のとおりです。
| 規約の書き方 | 届出の扱い |
| 民泊を可能と明記 | 規約の写しを添えて届出できる |
| 民泊を禁止と明記 | 届出は受理されない見込み |
| 記載なし・住宅用のみ | 組合に禁止の意思がない旨の書類が要る |
記載がないマンションほど、届出を止めにくくなります。
民泊がバレたら受ける罰則と処分

許可や届出のない民泊が見つかると、刑事罰や行政処分を受ける可能性があります。無許可営業とは、旅館業の許可も住宅宿泊事業の届出もなく有料で人を泊める行為のことです。
旅館業法の罰則
旅館業法10条は、無許可営業を6月以下の拘禁刑か100万円以下の罰金に処すると定めています。両方を併せて科される場合もある点に注意が必要です。
都道府県知事などは、旅館業法7条にもとづき報告を求めたり施設を検査したりできます。
住宅宿泊事業法の処分
年180日を超えて営業するなど、届出済みの民泊でも違反があれば処分を受けます。処分は次の3段階で重くなる仕組みです。
- 業務改善命令:15条にもとづき運営の見直しを命じられる
- 業務停止命令:16条1項にもとづき1年以内で業務を止められる
- 業務廃止命令:16条2項にもとづき民泊をやめるよう命じられる
停止や廃止の命令に違反すれば、6月以下の拘禁刑か100万円以下の罰金も考えられます。
賃貸契約の解除と違約金
賃貸の部屋で無断で民泊をすると、民法612条の無断転貸にあたる可能性があります。オーナーの承諾なく第三者に使わせた場合は、契約を解除されるおそれもあるでしょう。
契約書に違約金の条項があれば、その金額を請求される場合もあります。
管理組合が違法民泊を見つける方法

違法民泊は、出入りの記録と届出番号の照合を組み合わせると見つけられます。記録で気づき、番号で確かめる二段の流れで進めましょう。
出入りとキーボックスの記録
キーボックスや見慣れない人の出入りは、民泊を疑う手がかりになります。記録しておきたい項目は、次の4つです。
- 日時:見かけた日付と時間帯
- 場所:キーボックスの位置や住戸の階
- 人数:人数とスーツケースの有無
- 頻度:同じ住戸で入れ替わった回数
住戸の中をのぞく行為は避け、共用部で見た事実だけを複数人で残しましょう。
届出番号との照合
届出をした住宅は、住宅宿泊事業法13条にもとづき届出番号入りの標識を掲げる義務があります。届出住宅の一覧を公表する自治体もあり、番号と住所を照らし合わせられるでしょう。
観光庁によると、2026年7月15日時点の届出件数は65,837件です。このうち23,767件は、すでに事業を廃止していました。
違法民泊をやめさせる理事会の手順

違法民泊をやめさせるには、行政への通報と管理組合の法的措置を並行して進めます。停止請求とは、共同の利益に反する行為をやめるよう管理組合が求める手続きのことです。
保健所と自治体への通報
無許可営業が疑われる部屋を見つけたら、保健所や自治体の民泊担当窓口に通報します。出入りの記録や標識の有無を伝えると、調査が進みやすくなるでしょう。
窓口がわからなければ、観光庁の民泊制度コールセンターに相談する方法もあります。電話番号は0570-041-389で、受付は平日9時から17時です。
参照:観光庁民泊制度ポータルサイト「民泊制度コールセンターのご案内」
規約改正と停止請求
行政の指導で止まらない場合に備え、規約に民泊禁止を明記しておきましょう。2026年4月施行の改正区分所有法31条では、出席者と議決権の各4分の3以上の賛成が要ります。
営業が続くときは、区分所有法57条の停止請求を検討する段階です。訴訟には集会の普通決議が要るため、弁護士と相談しながら総会の準備を進めると安心でしょう。
よくある質問
管理規約に民泊禁止の記載がないと民泊を止められませんか?
民泊の180日ルールを超えて営業するとバレますか?
賃貸に出された部屋で民泊をされたら理事会はどうすればよいですか?
まとめ|規約と届出番号を確かめて違法民泊を止めよう

マンションの民泊は、住民の記録と行政の調査がそろえば発覚します。規約に禁止を明記しておけば、届出の段階で止めることも可能です。
次の理事会で管理規約12条を開き、民泊の可否が書かれているか確かめてみましょう。
記録と規約の両方を整えておけば、理事会は迷わず保健所への通報や停止請求に進めるでしょう。


