アパートの騒音はどこまで大家の責任?苦情が来たときの対応方法を解説

アパートの騒音はどこまで大家の責任?苦情が来たときの対応方法を解説

この記事の要点

  1. アパートの騒音が入居者の生活行為によるものであれば、騒音が発生しただけで大家が直ちに責任を負うわけではない
  2. 建物や設備の不具合が原因の場合は、民法606条の修繕義務などが問題になる可能性がある
  3. 苦情を受けたときは騒音主をすぐに決めつけず、発生日時や音の種類などを確認して段階的に対応することが重要

アパート経営では、「上の階の足音がうるさい」「夜中までテレビの音が聞こえる」といった騒音の苦情が寄せられることがあります。

ただし、共同住宅では一定の生活音が発生するため、苦情があったからといって、すべてを大家の責任として解決しなければならないわけではありません。

重要なのは、入居者の行為による騒音なのか、建物や設備に原因があるのかを分けて考えることです。

この記事では、アパートの騒音について大家の責任が問われる可能性があるケースと、苦情を受けたときの対応方法を解説します。

アパートの騒音はどこまで大家の責任になる?

騒音トラブルに悩む人物

アパートで騒音トラブルが起きても、大家が一律に責任を負うわけではありません。

まずは、騒音の原因を確認する必要があります。

騒音の原因大家の主な対応
テレビ・音楽・話し声事実確認、注意喚起
足音や生活音時間帯や頻度を確認
配管・設備の異音点検、必要に応じて修繕
道路・工事など外部の音発生源を確認

テレビを大音量で流す、深夜に大声で話すといった行為は、基本的には入居者側の問題として考えます。

国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」でも、大音量でテレビやステレオなどを使用する行為や、騒音・振動によって近隣へ迷惑をかける行為が禁止行為の例として示されています。

実際の契約書や使用細則にも騒音についての規定がある場合は、その内容を確認したうえで注意することになります。

一方、配管や給排水設備などから大きな異音が続いている場合は、建物側の問題も考えられます。

民法606条では、賃貸人は賃貸物の使用・収益に必要な修繕を行う義務を負うと定めています。そのため、設備の故障などが原因であれば、大家側で点検や修繕が必要になる可能性があります。

アパートの騒音は何デシベルから問題になる?

騒音のデシベルについて

「何デシベルを超えたら騒音になるのか」と疑問を持つ大家もいるかもしれません。

しかし、日常生活から発生する騒音について、全国共通で「○デシベル以上なら違法」と判断できる単純な基準があるわけではありません。

環境省が定める「騒音に係る環境基準」では、主に住居として利用されるA・B地域について、道路に面する地域を除き、昼間55デシベル以下、夜間45デシベル以下としています。

昼間は午前6時から午後10時、夜間は午後10時から翌朝午前6時です。

ただし、これは地域全体の生活環境を評価するための環境基準です。「夜間に46デシベルだったので入居者が契約違反になる」というように、入居者同士の騒音問題を直接判断する数字ではありません。

実際のトラブルでは、音の大きさに加えて、深夜に発生しているのか、何時間続くのか、何日も繰り返されているのかなどを確認する必要があります。

騒音の苦情が来たときの大家の対応方法

苦情が来たときの対応方法

騒音の相談を受けたら、まず発生状況を具体的に確認します。

「隣がうるさい」という訴えだけでは、十分な情報とはいえません。音は壁や床、配管などを通じて伝わるため、入居者が考えている部屋と実際の発生源が異なる場合もあります。

確認したいのは、騒音が発生する日時、継続時間、頻度、音の種類、聞こえてくる方向などです。

たとえば、「毎週3~4回、午後11時から午前1時ごろまでテレビのような音が聞こえる」というように具体的に記録しておくと、その後の対応がしやすくなります。

発生源を特定できていない段階では、特定の入居者へ直接注意するのではなく、まず物件全体へ注意文を配布する方法もあります。

それでも改善しない場合は、賃貸借契約書や使用細則を確認したうえで、該当する入居者へ個別に注意します。

再度騒音が発生した場合は、口頭だけではなく書面で「○月○日の午後11時ごろに騒音について相談があった」など、確認できた事実を記載して改善を求める方法があります。

対応した日時や内容も記録しておくと、問題が長期化した場合に経緯を確認しやすくなります。

騒音を出す入居者を退去させることはできる?

騒音問題に悩む大家

注意しても騒音が繰り返される場合、「退去してもらえないか」と考えることもあります。

ただし、騒音の苦情が1回あっただけで、直ちに契約を解除して退去させられるとは限りません。

国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」では、一定の契約違反について、相当の期間を設けて改善を求め、それでも改善されず、契約を継続することが困難と認められる場合に解除する考え方が示されています。

実際に解除が認められるかは、騒音の程度や頻度、継続期間、注意した回数、証拠などによって判断が変わる可能性があります。

契約解除や建物の明渡しまで検討する場合は、大家だけで判断せず、弁護士などの専門家に確認したうえで進めることが大切です。

大家ができる騒音トラブルの予防策

騒音トラブルの対策

騒音問題は、発生してから対応するだけでなく、事前の対策も重要です。

まず、賃貸借契約書や使用細則に、深夜のテレビや音楽、楽器、大声などについてルールを記載しておきます。

入居時にも騒音に関するルールを説明しておけば、「知らなかった」というトラブルを防ぎやすくなります。

また、同じ部屋や場所について複数の入居者から繰り返し苦情が出る場合は、建物側にも原因がないか確認したいところです。

建築基準法30条では、長屋や共同住宅の各戸を区切る界壁について、隣接する住戸からの日常生活に伴って生じる音を防ぐため、一定の基準が設けられています。

ただし、建物が法令上の基準を満たしているかは、建築された時期や構造、施工状況によって判断が異なります。建物側の問題が疑われる場合は、建築士や施工会社などへの相談を検討します。

よくある質問(FAQ)

よくある質問

Q. アパートの騒音は何デシベルから違法になりますか?

生活騒音について「○デシベル以上なら一律に違法」という全国共通の基準はありません。環境省の環境基準では、主に住居として利用されるA・B地域で昼間55デシベル以下、夜間45デシベル以下とされています。ただし、これは地域の生活環境を評価する基準であり、個別の入居者間トラブルの違法性を直接判断する数字ではありません。

Q. 騒音の苦情が来たら大家は必ず対応する必要がありますか?

苦情を受けただけで、大家が騒音そのものについて直ちに法的責任を負うわけではありません。ただし、設備の故障など建物側に原因があり、使用に必要な修繕が求められる場合には、民法606条の修繕義務が問題になる可能性があります。まずは騒音の発生原因を確認することが重要です。

Q. 騒音を出す入居者をすぐに退去させられますか?

一度苦情があっただけで、直ちに退去させられるとは限りません。騒音の程度や頻度、注意後も改善されない状態が続いているかなどが重要になります。契約解除や明渡しまで進める場合は法的な判断が必要になるため、弁護士などへ確認することが安全です。

Q. 壁が薄くて音が聞こえる場合は大家の責任ですか?

音が聞こえるというだけで、直ちに大家の責任になるわけではありません。建築基準法30条では共同住宅などの界壁について一定の遮音性能に関する基準がありますが、適用される基準は建築時期や構造などによって異なります。建物そのものに問題が疑われる場合は、専門家による確認が必要です。

まとめ

まとめ

アパートで騒音トラブルが発生しても、すべてが大家の責任になるわけではありません。

入居者のテレビや話し声などが原因の場合は、事実を確認したうえで契約内容に沿って注意します。一方、設備の故障など建物側に原因がある場合は、民法606条に基づく修繕義務が問題になる可能性があります。

苦情を受けた際は騒音主をすぐに決めつけず、発生日時や音の種類、継続時間などを記録しながら段階的に対応することが重要です。日頃から契約書や使用細則でルールを明確にしておくことも、騒音トラブルを大きくしないための対策になります。

著者

クラウド管理編集部

関連記事/ Related