この記事の要点
- 金利差0.5%以上なら借り換え検討の価値あり
- 諸費用を含めた総額比較が判断の決め手
- 既存金融機関への金利交渉から始めるのが定石
マンション投資のローンを契約したものの、金利の高さが気になっていませんか。借り換えとは、現在のローンを別の金融機関で組み直し、金利や返済条件を見直すことです。
2026年は日銀の追加利上げが検討されており、変動金利で契約した方の不安は高まっています。借り換え先の条件次第で、返済総額を数十万円以上減らせる可能性があります。諸費用やタイミングを見誤ると逆効果になるため、事前の見極めが欠かせません。
この記事では、借り換えで得する条件と失敗しない注意点を解説します。
引用:日本銀行「金融政策決定会合における主な意見(2026 年 6 月 15、16 日開催分)」
マンション投資のローン借り換えで得する3つの条件

マンション投資のローン借り換えは、以下の3つが検討の目安です。
- 金利差0.5%以上・残債1,000万円以上・返済期間10年以上ある
- 空室などで収支が悪化している
- 昇進や転職で契約者の属性が上がった
条件が揃えば、月々の返済額と総返済額の両方を改善できるでしょう。
金利差はどれくらいあれば借り換えで得になる?
借り換えで得をするかどうかは、現在と借り換え先の金利差で決まります。一般的に、金利差が0.5%以上あれば効果が出やすいでしょう。残債1,000万円以上・返済期間10年以上が残っていることも、借り換え効果を実感しやすい目安です。
残債2,000万円・返済期間20年の場合、金利が2.5%から2.0%に下がると総返済額は約100万円の減少が見込めます。※元利均等返済・ボーナス払いなしの場合
借り換えには数十万円の諸費用もかかるため、差し引きで得になるかが判断のポイントです。
事前にシミュレーションで総額を比較しておきましょう。
キャッシュフローが悪化したらどう対処すべき?
空室が続いて家賃収入が減り、ローン返済が収入を上回る状況は避けたいところです。借り換えで返済期間を延長すれば、毎月の返済額を抑えられます。
月々の負担が軽くなれば、修繕費や管理費にも余裕が生まれますが、返済期間を延ばすと利息の総額は増える点には注意が必要です。
年収や勤務先が変わると審査にどう影響する?
ローン審査では、以下の属性が重視されます。
- 年収
- 勤務先の規模・業種
- 勤続年数
昇進や転職で年収が上がれば、低い金利で借り換えられる可能性が広がります。属性が下がり審査に通りにくくなるため、退職や独立を予定している方は要注意です。
属性が変わる前に借り換えを済ませておけば、有利な条件を確保しやすくなります。
マンション投資の借り換えで失敗しない3つの注意点

借り換えで損をしないためには、以下の3点を事前に押さえておきましょう。
- 諸費用を含めた総額で損益を比較する
- 金融機関との関係悪化を想定しておく
- 区分マンションは担保評価がハードルになりやすい
借り換えの諸費用はいくらかかる?
借り換えには、以下のような費用が発生します。
| 費用項目 | 目安の金額 |
|---|---|
| 融資手数料 | 3万円〜借入額の2%程度 |
| 繰上返済手数料 | 5,000円〜5万円程度 |
| 抵当権の設定・抹消 | 5万円〜15万円程度 |
| 保証料 | 借入額の2%程度 |
| 印紙税 | 2万円程度 |
金利が下がっても、諸費用を含めた総額で比較しなければ正確な判断はできません。残債が少ない場合は、諸費用を回収できないケースもあるため注意してください。
借り換えで金融機関との関係は悪くなる?
借り換えは、今の金融機関にとっては長期の利息収入を失う行為です。関係が悪化し、今後の融資相談がしにくくなる可能性があります。
マンション投資では、追加物件の購入時に融資を受ける場面も出てくるでしょう。
目先の金利削減だけでなく、将来の取引への影響も考慮した判断が求められます。
区分マンションの借り換え審査が通りにくいのはなぜ?
区分ワンルームの場合、物件の担保評価が借り換え審査のハードルになりがちです。築年数が経過した物件は担保価値が下がり、希望条件での借り換えが難しくなります。
空室が続いて収益が悪化していると、審査で不利に働く場合も出てきます。
借り換え前に、物件の稼働状況と残債のバランスを整理しておきましょう。
よくある質問(FAQ)|マンション投資の借り換えに関する疑問を解決
借り換えと金利交渉はどちらを先に検討すべき?
金利交渉を先に検討すべきです。交渉が成功すれば、借り換えに伴う諸費用や手間を省けます。他行の借り換え条件を調べてから交渉に臨むと、具体的な比較材料を示せるため効果的です。
借り換えの審査では何を見られる?
年収や勤続年数に加え、物件の担保価値と収益性が審査の対象です。マンション投資では空室率や築年数が物件評価に影響するため、稼働実績を整理しておくと安心でしょう。
金利上昇局面の今、固定と変動どちらに借り換えるべき?
投資の出口戦略に合わせて選ぶのが基本です。長期保有なら固定金利で返済額を確定させる方法が有効でしょう。短期間での売却や繰上返済を予定しているなら、変動金利を維持するほうが合理的です。
借り換えの諸費用と損益分岐点の計算
借り換えの判断は「金利差」ではなく「諸費用を差し引いた後の削減額」で決まります。残債2,000万円・残期間20年を前提とした場合の諸費用は、おおむね次の水準です。
| 費用項目 | 目安(残債2,000万円) | 備考 |
|---|---|---|
| 事務手数料(新規借入先) | 3〜44万円 | 定額型3〜5万円/定率型は借入額の2.2% |
| 保証料 | 0〜40万円 | 手数料型の金融機関では不要な場合あり |
| 抵当権抹消・設定登記費用 | 10〜20万円 | 登録免許税は債権額の0.4%+司法書士報酬 |
| 繰上返済手数料(既存先) | 0〜5万円 | 全額繰上返済扱いとなるため発生する場合あり |
| 印紙税(金銭消費貸借契約書) | 2万円 | 1,000万円超5,000万円以下 |
| 合計 | おおむね30〜70万円 | 定率型の手数料を選ぶと上振れしやすい |
本文で触れた「金利2.5%→2.0%で総返済額が約100万円減少」というケースに、諸費用50万円を当てはめると、実質的な削減効果は約50万円です。諸費用を回収できる年数が残返済期間より明確に短いかどうかが、実務上の判断ラインになります。残期間が5年を切っている場合、金利差が0.5%あっても諸費用倒れになるケースが少なくありません。
借り換え手続きのスケジュールと必要書類
借り換えは申込から実行まで一定の期間を要します。金利上昇局面では審査中に基準金利が変わることもあるため、余裕を持った段取りが必要です。
| ステップ | 期間の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 事前審査 | 3日〜2週間 | 複数行へ同時申込が可能 |
| 本審査 | 2〜4週間 | 物件評価・団信の告知を含む |
| 契約・決済 | 1〜2週間 | 既存ローンの一括返済日と同日に設定 |
| 全体 | おおむね1〜2か月 | 投資用は居住用より長引きやすい |
審査で求められる書類は投資用ローン特有のものが含まれます。事前に揃えておくと、審査期間を短縮できます。
- 直近3期分の確定申告書または源泉徴収票
- 既存ローンの返済予定表と残高証明書
- 賃貸借契約書またはレントロール(現在の家賃が分かるもの)
- 物件の登記事項証明書・売買契約書の写し
- 管理組合の重要事項調査報告書(区分マンションの場合)
- 他に借入がある場合はその返済予定表
実務で見落とされやすいのが団体信用生命保険の再加入です。借り換えでは新しい団信への加入審査が改めて行われるため、健康状態によっては借り換えそのものができなくなる可能性があります。持病がある場合や年齢が上がってから動く場合は、金利条件よりも先に団信の告知内容を確認しておくほうが確実です。なお、借り換えに伴う諸費用の会計処理や経費計上の可否は個別事情で異なるため、税理士に確認してください。
まとめ|マンション投資の借り換えは費用対効果で冷静に判断しよう

マンション投資のローン借り換えは、3つの条件が揃ったときに検討する価値があります。金利差0.5%以上・残債1,000万円以上・返済期間10年以上が、その目安です。
2026年は日銀の利上げ方針もあり、金利動向に注目が集まっています。早めに情報を集めておけば、判断の精度を高められるでしょう。
借り換えには数十万円の諸費用がかかるため、金利差だけで飛びつくのは危険です。まずは今の金融機関に金利交渉を持ちかけ、条件が合わなければ他行への借り換えを検討する順序がおすすめです。 判断に迷ったら、シミュレーションサイトで諸費用込みの総返済額を比較してみましょう。


