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マンション建て替え費用はいくら?相場と払えない時の3つの対処法

マンション建て替え費用はいくら?相場と払えない時の3つの対処法

この記事の要点

  1. マンション建て替え費用は1戸あたり平均約2,000万円(国土交通省データ)。仮住まい・引っ越し・諸費用も別途必要
  2. 立地や規模によっては負担が5,000万円超になるケースもあり、資金計画が成否を分ける
  3. 費用を払えなくても「融資の活用」「参加せず売り渡す」「売却して住み替える」の3つの道がある

「マンションの建て替えが決まりそうだけど、いったいいくらかかるのか」「2,000万円なんて急に用意できない。払えなかったらどうなるの?」——築年数が進んだマンションを所有していると、こうした不安は誰もが抱えるものです。

1戸あたりの負担は決して小さくありませんが、費用を払えない場合でも住まいや資産を守る道は残されています。さらに2026年4月には区分所有法が改正され、建て替え決議の要件が緩和されるなど、選択肢はむしろ広がりました。

この記事では、建て替え費用の相場と内訳を具体的な数字で解説したうえで、「払えないとき」の現実的な3つの選択肢を、メリット・デメリットを比較しながら整理します。読み終えるころには、自分が取るべき次の一手が見えているはずです。

マンションの建て替えとは?大規模修繕との違い

マンションの建て替えとは、老朽化した既存のマンションを取り壊し、同じ敷地に新しいマンションを建設することを指します。建物全体を一度更地にしてから新築するため、区分所有者全員に大きな費用負担と長期間の仮住まいが発生する大事業です。

よく混同されるのが「大規模修繕」ですが、両者はまったく性質が異なります。違いを整理しておきましょう。

項目 建て替え 大規模修繕
内容 取り壊して新築する 既存建物を補修・更新する
費用(1戸あたり) 平均約2,000万円 約75万〜125万円(12年周期目安)
工事期間 2〜3年程度 3〜6か月程度
仮住まい 必要 原則不要(住みながら工事)
合意要件 区分所有者・議決権の各4/5以上(※改正で3/4も) 普通決議(過半数)
資産価値 新築同等まで回復 維持・延命

大規模修繕は12年程度の周期で計画的に行う「延命策」であるのに対し、建て替えは寿命を迎えた建物を根本から刷新する「再生策」です。費用負担の桁が大きく違うため、まずは自分のマンションが本当に建て替えを要する状態なのか、管理組合や専門家とともに見極めることが第一歩になります。

マンション建て替え費用は1戸あたりいくら?相場と内訳

マンションの建て替え費用は、1戸あたり平均で約2,000万円が目安です。国土交通省の資料によると、2017〜2021年に建て替えを実施した区分所有者の平均負担額は約1,941万円とされています。

ただしこれはあくまで平均値であり、立地・規模・建て替え後の容積率によって金額は大きく上下します。ここでは費用の内訳を一つずつ分解して見ていきましょう。

出典:国土交通省「マンションを取り巻く現状について」

1戸あたりの費用相場は立地や規模で大きく上下する

建て替え費用の相場は、1戸あたりおおむね2,000万円前後ですが、これは「条件に恵まれた物件」のケースだと考えておくのが安全です。

物件の条件 1戸あたりの負担目安
容積率に余裕があり戸数を大幅に増やせる 0円〜1,000万円(増床分の売却で相殺)
標準的なケース 約2,000万円
小規模・戸数を増やせない 3,000万〜5,000万円以上

建て替えで負担が抑えられる仕組みの鍵は「保留床(ほりゅうしょう)」です。建て替え後に戸数を増やせれば、増えた住戸を外部に分譲し、その売却益を建設費に充当できます。つまり、容積率に余裕がある好立地のマンションほど、所有者の自己負担は小さくなる傾向があります。

逆に、すでに容積率を使い切っている小規模マンションや、駅から遠く分譲しても買い手がつきにくい立地では、保留床による相殺が期待できず、負担額が跳ね上がります。「相場2,000万円」を鵜呑みにせず、自分のマンションの条件で試算することが重要です。

本体価格以外にかかるお金とは

建て替えの負担は、新しい住戸の取得費用だけではありません。工事の前後にも、さまざまなお金が必要になります。代表的な費用を下の表に整理しました。

費用の種類 内容・金額の目安
解体費用 1坪あたり5〜8万円ほど
建築費用 鉄筋コンクリート造で1坪あたり約100万円〜
仮住まいの家賃 工事中の2〜3年分(例:月20万円×36か月=約720万円)
引っ越し費用 退去・再入居で2回分(合計20万〜40万円程度)
調査・設計費 建物診断、基本設計などの専門家報酬
登記費用・諸税 滅失登記・保存登記・登録免許税など
コンサルタント費 建て替え事業を支援する専門家への報酬

特に見落とされがちなのが仮住まいの家賃です。家賃20万円の物件に3年間住めば、それだけで約720万円もの出費になります。さらに引っ越しは「退去時」と「再入居時」の2回必要で、敷金・礼金・仲介手数料も二重にかかります。

こうした「隠れ費用」まで含めると、本体価格2,000万円のマンションでも、総負担額は2,800万〜3,000万円規模に膨らむことが珍しくありません。資金計画は必ず本体価格+諸費用の総額で立てましょう。

建て替え費用が高くなる・安くなる要因

同じ「マンション建て替え」でも、負担額が500万円で済む人もいれば、5,000万円を超える人もいます。その差を生む主な要因を理解しておくと、自分のケースの見通しが立てやすくなります。

費用が安くなる(負担が軽くなる)要因

  • 容積率に余裕がある:建て替え後に戸数を増やせ、保留床の分譲益で建設費を相殺できる
  • 好立地・高い分譲単価:増床分が高値で売れるほど自己負担が減る
  • 大規模マンション:スケールメリットで1戸あたりの諸費用が割安に
  • 自治体の補助金・容積率緩和制度の活用:耐震性の低いマンションなどで支援を受けられる場合がある

費用が高くなる(負担が重くなる)要因

  • 容積率を使い切っている:戸数を増やせず、建設費をそのまま所有者で負担
  • 郊外・地方の物件:保留床を分譲しても買い手がつきにくい
  • 小規模マンション:1戸あたりの設計費・解体費の割合が高くなる
  • 建築資材・人件費の高騰:近年は建築費が上昇傾向で、想定より割高になりやすい

これらの要因を踏まえると、建て替えが「採算に乗るかどうか」は物件のポテンシャルで大きく決まります。自分のマンションがどちらに近いかを早めに把握しておくことが、現実的な判断につながります。

建て替え費用を払えないときの3つの選択肢

「2,000万円なんて払えない」と感じても、住まいや資産をすべて失うわけではありません。区分所有者が個人として取れる現実的な道は、大きく次の3つに分かれます。

選択肢 向いている人 メリット 押さえておきたい点
①融資を活用する そのまま住み続けたい人 住まいを維持できる 返済が長く続く・年齢制限
②参加せず売り渡す 費用を出せない/出したくない人 持ち分が現金化される 修繕積立金は戻らない
③売却して住み替える 住環境を変えたい人 主体的にタイミングを選べる 立地で売却価格が変わる

それぞれに向き不向きがあるため、年齢・収入・家族構成といった自分の事情に合わせて選ぶことが大切です。一つずつ詳しく見ていきましょう。

①融資で負担を分散する

費用が一度に用意できないときに頼れるのが、融資制度です。住宅ローンとは別に、建て替え向けの借り入れを利用できる場合があります。

  • 金融機関の建て替え専用ローン:新住戸の取得費用に充てられる
  • リバースモーゲージ:高齢者向け。自宅を担保に借り入れ、生存中は利息のみ返済、死亡時に売却で一括返済する仕組み
  • 住宅金融支援機構のマンション共用部分リフォーム融資など:管理組合向けの制度もある

全額を一括で用意できなくても、月々の返済に分けることで負担を平準化できます。ただし返済は長期にわたり、年齢によっては審査が通りにくい点に注意が必要です。収入・年齢・退職後の見通しを踏まえ、無理のない返済計画かどうかを慎重に見極めましょう。

②建て替えに参加せず持ち分を売り渡す

費用を負担したくない・できないなら、建て替えに参加しないという道もあります。建て替え決議が成立すると、賛成しなかった区分所有者は「売渡請求」によって持ち分の売却を求められます。

これは時価で賛成者や建て替え組合へ手放す仕組みのため、住まいの価値はお金として手元に戻ります。新たな費用を負担せずに済む点が大きなメリットです。

ただし注意点として、これまで積み立ててきた修繕積立金は返ってこないのが一般的です。また売渡価格はあくまで「時価」であり、必ずしも希望どおりの金額になるとは限りません。住み続けるか出るかを早めに決めておくことで、落ち着いて交渉に臨めます。

③マンションを売却して住み替える

建て替えの話が本格化する前に、今のうちに自分の意思で売却し、別の住まいへ移る選択肢もあります。建て替えに巻き込まれて受け身で対応するより、主体的にタイミングと相手を選べるのが利点です。

得た資金は、残った住宅ローンの返済や、次の住まいの購入・賃貸費用に充てられます。築古マンションでも、立地が良ければ想定以上の価格がつくこともあります。

売却時のポイントは、複数の不動産会社に査定を依頼して価格を比較することです。1社だけの査定では適正価格が分からず、安く手放してしまうリスクがあります。建て替え決議が成立した後よりも、検討段階のほうが買い手の心理的ハードルも低く、有利に売れる傾向があります。

建て替え決議から入居までのスケジュール

建て替えは、検討開始から新しい建物への入居まで長い時間を要します。仮住まいの期間が読めないと資金計画が立たないため、各段階の目安を押さえておくことが重要です。

段階期間の目安この時期に発生する主な費用
検討・勉強会の開始1〜3年コンサルタント費用(管理組合負担)
建替推進決議・計画案の作成1〜2年基本設計費・事業協力者への費用
建て替え決議(総会)数か月
反対者への売渡請求・権利調整6か月〜1年買取資金
仮住まいへの引っ越し・解体6か月〜1年引っ越し費用・仮住まい家賃
新築工事2〜3年工事費の分割払い
竣工・再入居数か月再度の引っ越し費用・登記費用

検討開始から再入居まで、全体でおおむね6〜10年を見込むのが現実的です。特に見落とされやすいのが仮住まいのコストで、家賃12万円の物件に3年間住むと432万円、引っ越しは往復で30万〜60万円ほどかかります。これらは1戸あたり2,000万円という工事負担金とは別枠の支出です。

賃貸に出している区分所有者の場合、仮住まい費用はかからない一方で、解体から竣工までの数年間は家賃収入が完全に途絶えます。ローン返済が残っている物件では、この収入ゼロの期間をどう乗り切るかが最大の論点になります。

賃貸に出している区分所有者が確認すべきこと

建て替えの議論は居住している区分所有者を前提に進みがちですが、投資用として保有している場合は別の論点が生じます。入居者との賃貸借契約をどう終了させるかが最初の関門です。

  • 建て替え決議があっても、それだけで入居者との賃貸借契約が自動的に終了するわけではない
  • 普通借家契約の解約には、借地借家法28条の正当事由が必要で、立退料の支払いを求められる可能性がある
  • 解約の申入れは期間満了の6か月前までに行う必要がある(借地借家法26条・27条)
  • 立退料の相場は明確な基準がなく、一般的には家賃の6〜12か月分程度で交渉されることが多い
  • 建て替えが視野に入った段階からは、定期借家契約への切り替えを検討する余地がある
  • 解体から竣工までの数年間、家賃収入がゼロになる期間のローン返済原資を確保しておく
  • 新築後の想定賃料と、追加負担金を回収できる年数を試算しておく

実務上、建て替えの話が出はじめた時期から新規募集を定期借家契約に切り替えておくと、期間満了による終了が可能になり、立退交渉の負担を大きく減らせます。ただし定期借家は賃料水準がやや下がる傾向があるため、時期の見極めが必要です。

個別の契約解除の可否や立退料の水準については、弁護士に確認したうえで判断してください。

よくある質問

建て替えに反対した場合、強制的に立ち退かされますか?

建て替え決議が成立すると、賛成した区分所有者などから反対者に対して、区分所有権と敷地利用権を時価で売り渡すよう請求できる(区分所有法63条の売渡請求権)と定められています。この請求を受けると売買契約が成立したものと扱われるため、事実上、参加しないという選択は物件を手放すことを意味します。ただし価格は時価であり、金額に納得できない場合は裁判所に価格の決定を求めることが可能です。売渡請求は決議後の一定期間内に行う必要があるため、時期については弁護士に確認してください。

建て替え費用にローンは使えますか?

利用できる可能性があります。住宅金融支援機構では、マンション建替事業に関する融資制度が設けられており、高齢の区分所有者向けに返済を利息のみとし元金を相続時に一括返済する仕組みが用意されている場合があります。民間金融機関でも、建て替え後の新築住宅を担保とした住宅ローンを組める例があります。ただし審査は年齢・収入・既存ローンの残債に左右されるため、決議前の段階で複数の金融機関に事前相談しておくことをおすすめします。

修繕積立金は建て替え費用に充てられますか?

建て替えが決定して既存建物を取り壊す場合、修繕積立金は本来の用途を失うため、決議に基づいて各区分所有者へ返還または建て替え費用へ充当されるのが一般的です。ただし積立額は1戸あたり数十万〜数百万円程度にとどまることが多く、2,000万円規模の負担金に対しては一部の補填にしかなりません。取り扱いは管理規約や決議内容によって異なるため、管理組合の議事録で確認してください。なお税務上の扱いについては税理士に相談することをおすすめします。

建て替えより敷地売却のほうが有利なケースはありますか?

あります。容積率に余裕がなく保留床(新たに分譲する住戸)を生み出せない物件では、建て替えても事業採算が取れず、1戸あたりの負担が5,000万円を超えることもあります。こうした場合、マンション敷地売却制度を使って土地ごと売却し、代金を分配する選択肢が現実的です。この制度は耐震性不足などの認定を受けたマンションについて、区分所有者・議決権・敷地利用権の各持分の5分の4以上の賛成で敷地売却決議ができる仕組みです。要件の該当可否は専門家に確認してください。

2026年の区分所有法改正で何が変わったのか

2026年4月に施行される区分所有法の改正は、老朽化マンションの再生を後押しする重要な内容を含んでいます。建て替えを検討するうえで知っておきたいポイントを整理します。

建て替え決議の要件が緩和される

従来、建て替え決議には区分所有者および議決権の各5分の4以上の賛成が必要でした。改正により、耐震性不足など一定の客観的な要件を満たすマンションでは、各4分の3以上へ引き下げられます。

著者

クラウド管理編集部

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