この記事の要点
- 不動産会社は「管理会社」「仲介会社」「管理仲介会社」「デベロッパー」「買取会社」の5種類に大別され、それぞれ役割が異なる。
- マンション経営の成果は、管理品質・入居率・空室対策の提案力で大きく変わるため会社選びが重要。
- 選ぶ際は管理戸数や入居率の実績を確認し、管理手数料の安さだけで判断しないことがポイント。
不動産会社と一口にいっても、管理会社や仲介会社、デベロッパーなどさまざまな種類があり、それぞれ業務内容や得意分野が大きく異なります。
役割が異なるため、目的に合わない会社へ依頼すると、空室対策や物件管理、売却活動が思うように進まない可能性があります。実際、同じ立地・築年数の物件でも、管理会社が違うだけで入居率に10〜20%もの差が生まれるケースは珍しくありません。
安定したマンション経営を続けるためには、それぞれの違いを理解し、自分の目的に合った不動産会社を選ぶことが何よりも大切です。
この記事でわかること:
- 管理会社・仲介会社・不動産会社の違いと役割
- 不動産会社によってマンション経営の成果が変わる理由
- 管理会社・不動産会社を選ぶ際の具体的なチェックポイント
- 管理手数料の相場や費用感の目安
不動産会社にはどのような種類がある?

不動産会社と聞くと、どの会社も同じような業務を行っているイメージを持つかもしれません。しかし実際には、会社ごとに得意分野や役割が大きく異なります。
不動産会社とは、不動産の売買・賃貸・管理・開発などに関わる事業者の総称です。宅地建物取引業法に基づき、仲介や売買を行う会社は「宅地建物取引業(宅建業)」の免許を、賃貸管理を行う会社は「賃貸住宅管理業」の登録(200戸以上の管理で義務)を取得しています。
主な不動産会社の種類と役割は以下の通りです。
| 種類 | 主な役割 | オーナーとの関わり | 必要な免許・登録 |
|---|---|---|---|
| 管理会社 | 建物管理・入居者対応・家賃回収 | 管理業務を委託する | 賃貸住宅管理業登録 |
| 仲介会社 | 入居者募集・売買仲介 | 客付けや売却を依頼する | 宅地建物取引業免許 |
| 管理仲介会社 | 管理と仲介の両方を行う | 管理から募集まで一括依頼できる | 両方 |
| デベロッパー | マンションや商業施設の開発・分譲 | 新築物件の供給元 | 宅地建物取引業免許 |
| 買取会社 | 不動産の直接買取 | 物件売却時の相談先 | 宅地建物取引業免許 |
このように、不動産会社にはそれぞれ異なる役割があります。特にマンション経営では、「管理会社」と「仲介会社」の違いを理解しておくことが重要です。管理品質や空室率にも影響するため、それぞれの役割を把握したうえで依頼先を選びましょう。
管理会社と仲介会社の違いをわかりやすく解説

オーナーが特に混同しやすいのが「管理会社」と「仲介会社」です。両者の役割の違いを正しく理解しておくことで、自分の課題に合った依頼先を選べるようになります。
管理会社とは
管理会社とは、オーナーに代わって賃貸物件の運営・管理業務を代行する会社のことです。入居後の運営をトータルでサポートするのが特徴で、主に以下の業務を担います。
- 家賃の集金・送金、滞納督促
- 入居者からのクレーム・トラブル対応
- 共用部分の清掃・設備点検
- 退去時の立会い・原状回復手配
- 契約更新手続き
仲介会社とは
仲介会社とは、入居者の募集・契約や、物件の売買を仲介する会社のことです。「客付け」と呼ばれる入居者探しが主な業務で、空室を埋める役割を担います。
- 入居者の募集・物件案内
- ポータルサイトへの掲載・広告
- 賃貸借契約・売買契約の締結サポート
- 重要事項説明
管理会社と仲介会社の違い早見表
| 比較項目 | 管理会社 | 仲介会社 |
|---|---|---|
| 主な役割 | 入居後の運営・管理 | 入居者の募集・契約 |
| 関わるタイミング | 入居中ずっと(継続的) | 契約成立まで(スポット) |
| 報酬の形態 | 家賃の3〜5%程度(毎月) | 家賃1ヶ月分程度(契約時) |
| オーナーのメリット | 管理の手間が減る | 空室を早く埋められる |
近年は管理と仲介の両方を行う「管理仲介会社」が増えており、募集から管理まで一括で任せられるため、オーナーの負担を大きく軽減できます。
不動産会社によって何が違う?4つの差が出るポイント

同じ不動産会社であっても、サービス内容や得意分野には大きな違いがあります。「どこに依頼しても同じ」と思われがちですが、管理品質や入居率、提案力によってマンション経営の成果は大きく変わります。
管理会社や仲介会社を選ぶ際は、料金だけでなくサービスの質にも注目することが大切です。ここでは差が出やすい4つのポイントを解説します。
1. 管理品質の違い
管理会社によって、入居者対応や建物管理の品質は大きく異なります。例えば、設備トラブルへの対応スピードや清掃の頻度、クレーム対応の丁寧さなどは会社ごとに差があります。
具体的には、優良な管理会社は「24時間緊急対応窓口」を設けていたり、設備故障の連絡から修理手配までを当日〜翌日に完了させたりします。一方で対応が遅い会社では、修理に1週間以上かかるケースもあります。
管理品質が低い場合、入居者満足度の低下や退去率の上昇につながり、結果として空室による収益減を招く可能性があるため注意が必要です。
2. 入居率・客付け力の違い
仲介会社や管理会社によって、入居者募集の強さも異なります。不動産ポータルサイト(SUUMO・HOME’S・at homeなど)への掲載方法や仲介店舗とのネットワーク、広告戦略によって、空室期間に大きな差が生まれます。
会社が公表している入居率の目安は以下の通りです。会社選びの参考にしましょう。
| 入居率の水準 | 評価 | 目安 |
|---|---|---|
| 98%以上 | 非常に優秀 | 大手・優良管理会社の水準 |
| 95〜97% | 優秀 | 安定した経営が可能 |
| 90〜94% | 標準的 | 改善の余地あり |
| 90%未満 | 要注意 | 客付け力や対策の見直しが必要 |
特に空室が長期間続いている場合は、募集方法や客付け力を見直すことが重要です。
3. 空室対策の提案力の違い
優良な不動産会社は、単に管理や仲介を行うだけではありません。周辺エリアの市場動向を分析し、以下のような空室対策の提案を行ってくれます。
- 家賃設定の見直し(相場との比較分析)
- 設備のグレードアップ(無料インターネット・宅配ボックスなど)
- リフォーム・リノベーション提案
- 入居者ニーズの分析とターゲット設定
- ペット可・楽器可などの条件緩和提案
長期的な収益改善を目指すうえで、提案力は重要な判断材料の一つです。受け身で対応するだけの会社か、能動的に改善案を出してくれる会社かを見極めましょう。
4. 売却サポートの違い
将来的に物件を売却する可能性がある場合、売却サポート力も会社選びの重要なポイントです。売買仲介に強い会社は、適正な査定・販売戦略・買主ネットワークを持っており、より高値かつスピーディーな売却が期待できます。
一方、急ぎで現金化したい場合は「買取会社」に直接売却する方法もあります。仲介に比べて売却価格は相場の7〜8割程度に下がる傾向がありますが、最短数日〜数週間で売却が完了するメリットがあります。
管理手数料の相場と費用感の目安
不動産会社へ管理を委託する際は、費用感を把握しておくことが大切です。代表的な管理形態と費用の目安は以下の通りです。
| 管理形態 | 費用の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 一般管理(集金代行) | 家賃の3〜5%/月 | 管理業務を委託、空室リスクはオーナー負担 |
| サブリース(一括借上) | 家賃の10〜20%/月 | 空室でも一定額の家賃が保証される |
| 仲介手数料(客付け時) | 家賃の1ヶ月分 | 入居者決定時に発生 |
| 広告料(AD) | 家賃の0〜2ヶ月分 | 客付け強化のための費用 |
例えば家賃8万円・10戸のアパートで一般管理(手数料5%)を委託した場合、月額の管理手数料は「8万円 × 10戸 × 5% = 4万円」が目安です。年間では約48万円となります。
手数料が安い会社が必ずしも得とは限りません。手数料が3%でも空室が多ければ収益は下がり、5%でも入居率98%を維持できれば結果的に手元に残る収益は多くなります。手数料と管理品質のバランスで判断しましょう。
管理会社や不動産会社を選ぶ5つのポイント

マンション経営のパートナーとなる不動産会社を選ぶ際は、以下の5つのポイントをチェックしましょう。
1. 管理戸数や実績を確認する
管理戸数はその会社の信頼性や経験値を示す指標です。管理戸数が多い会社ほど、トラブル対応のノウハウや仲介ネットワークが充実している傾向があります。所有物件と同種・同エリアの管理実績があるかも確認しましょう。
2. 入居率や空室対策を確認する
会社全体の入居率は、客付け力と管理品質の総合評価といえます。前述の通り95%以上が一つの目安です。あわせて、空室が出た際にどのような対策を提案してくれるのか、具体的な事例を聞いておくと安心です。
3. 管理手数料だけで判断しない
手数料の安さだけで決めるのは危険です。手数料が安くても、対応が遅かったり入居率が低かったりすれ
ば、結果的に損失につながります。手数料に含まれるサービス内容を明確にし、「何をどこまでやってくれるのか」を確認したうえで、費用対効果で判断することが重要です。
4. 報告体制やレスポンスの速さを確認する
管理会社との付き合いは長期にわたります。月次の収支報告がきちんと行われるか、入居者からのクレームやトラブルに対する初動が早いかは、オーナーの安心感に直結します。問い合わせへの返答スピードや、担当者の対応の丁寧さも契約前にチェックしておきましょう。定期的な物件巡回や清掃の報告があるかも大切なポイントです。
5. 契約内容や解約条件を確認する
管理委託契約を結ぶ前に、契約期間・更新条件・解約に必要な予告期間などを必ず確認しましょう。特にサブリース契約の場合、家賃の見直し条項や免責期間(借上開始後の一定期間は家賃保証がない期間)が設けられていることがあります。契約後のトラブルを避けるため、不明点は事前に質問して解消しておくことが大切です。
不動産会社に関するよくある質問
管理会社と仲介会社は同じ会社に依頼すべきですか?
必ずしも同じである必要はありませんが、管理と仲介を兼ねる会社に依頼すると、入居者募集から契約・管理まで一貫して対応してもらえるメリットがあります。窓口が一本化されるため連絡もスムーズです。一方で、客付けに強い仲介会社が別にいる場合は、管理は管理専門会社に任せ、募集は複数の仲介会社にも広げることで空室リスクを下げる戦略も有効です。物件の立地や規模に応じて判断しましょう。
管理会社は途中で変更できますか?
はい、変更は可能です。ただし、管理委託契約には解約予告期間(一般的に1〜3ヶ月前)が定められているため、契約書の内容を確認したうえで手続きを進める必要があります。また、入居者への通知や敷金・保証金の引き継ぎ、鍵や書類の受け渡しなど、引き継ぎ業務が発生します。対応に不満がある場合は、新しい管理会社にも相談しながら、トラブルなく切り替えられるよう計画的に進めましょう。
サブリースと一般管理はどちらが得ですか?
一概にどちらが得とは言えず、オーナーの状況によって異なります。サブリースは空室や家賃滞納に関係なく一定の家賃収入が保証されるため、安定性を重視する方や、複数物件を所有して手間を減らしたい方に向いています。ただし保証賃料は相場より低く設定され、手数料も10〜20%と高めです。一般管理は手数料が3〜5%と低く収益性は高いものの、空室リスクはオーナー負担となります。安定性を取るか収益性を取るか、自身の経営方針に合わせて選びましょう。
広告料(AD)は必ず支払う必要がありますか?
広告料は法律上必須のものではなく、客付けを強化するためにオーナーが任意で支払う費用です。人気エリアや好条件の物件であればADなしでも入居者が決まることがあります。一方、競合が多いエリアや空室が長引いている物件では、ADを設定することで仲介会社が積極的に紹介してくれるため、早期の入居決定につながります。空室期間が長引く損失とADのコストを比較し、戦略的に活用することが大切です。
管理委託契約で確認すべき条項と解約の実務
管理会社との関係を左右するのは、手数料率よりも契約条項です。賃貸住宅管理業法(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律)により、管理戸数200戸以上の管理業者は契約締結前の重要事項説明と書面交付が義務づけられています。
| 条項 | 一般的な内容 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 契約期間 | 2年間の自動更新が多い | 自動更新の停止方法と通知期限 |
| 解約予告期間 | 3か月前が一般的 | 6か月前や違約金設定になっていないか |
| 業務範囲 | 集金・入居者対応・巡回清掃など | 巡回頻度が明記されているか(月1回/隔週など) |
| 修繕の決裁権限 | 一定額まで管理会社の判断で実施 | 上限額(例:3万円・5万円)の設定。無制限は避ける |
| 家賃送金日 | 翌月10日〜末日 | 送金サイクルが長いとキャッシュフローに影響 |
| 原状回復の負担区分 | 国交省ガイドライン準拠が望ましい | 入居者への請求方針が明文化されているか |
特に見落とされやすいのが修繕の決裁権限です。上限額の定めがないと、オーナーの承認なく高額な工事が発注されることがあります。上限を金額で明記し、それを超える工事は事前見積の提出を条件にするだけで、想定外の支出は大きく抑えられます。
管理会社の変更を検討すべきサインと切替の流れ
管理品質の低下は、退去率や空室期間という形で数か月遅れて表れます。次のような兆候が続く場合は、変更を検討する段階と言えます。
- 空室が3か月以上埋まらず、募集条件の見直し提案が一度もない
- 月次報告書が届かない、または内容が入出金の羅列のみで所見がない
- 賃貸ポータルに自物件の募集が掲載されていない、写真が数枚しかない
- 滞納発生の連絡が遅く、判明時点で2か月分以上たまっている
- 共用部の清掃状況が契約上の巡回頻度と合っていない
- 問い合わせへの返答が数日単位で遅れる
切替を決めた場合は、解約予告期間を逆算して新しい管理会社の選定を先に進めます。一般的な流れは「新管理会社の選定(1〜2か月)→ 現管理会社へ解約通知 → 予告期間の経過 → 引き継ぎ → 入居者へ通知」です。解約予告が3か月なら、着手から実際の切替まで4〜5か月を見込んでおくと無理がありません。
引き継ぎ時には、賃貸借契約書の原本、敷金の預り金、入居者名簿と緊急連絡先、鍵、修繕履歴、滞納状況の一覧を確実に受け取ります。敷金の返還漏れは退去時に問題化しやすいため、金額を書面で確認したうえで精算してください。
依頼内容別に見る相談先の使い分け
| オーナーの課題 | 相談先 | 補足 |
|---|---|---|
| 空室が埋まらない | 仲介会社(客付け)+管理会社 | 地場の仲介会社に募集条件の意見を直接聞く方法もある |
| 家賃滞納が発生した | 管理会社、家賃保証会社 | 保証会社加入なら代位弁済の手続きを確認 |
| 建物の劣化・大規模修繕 | 管理会社、建築士・修繕専門業者 | 相見積もりは3社以上が目安 |
| すぐに現金化したい | 買取会社 | 仲介より価格は下がるが、数週間で決済できる場合がある |
| できるだけ高く売りたい | 仲介会社 | 売却活動に3〜6か月程度かかるのが一般的 |
| 相続・共有名義の整理 | 司法書士・税理士 | 2024年4月から相続登記が義務化(原則3年以内) |
相続登記の義務化は、正当な理由なく期限内に申請しないと過料の対象となり得るものです。賃貸物件を相続したオーナーは、管理の相談と並行して登記手続きの状況も確認しておくとよいでしょう。
まとめ
本記事では、不動産会社の違いとして「管理会社」と「仲介会社」の役割について解説しました。最後に重要なポイントを振り返っておきましょう。
- 管理会社は入居者対応・建物管理・家賃集金など、物件運営を継続的にサポートする役割を担います。- 仲介会社は入居者募集や契約手続きなど、貸主と借主をつなぐ役割を担います。- 両者を兼ねる会社も多く、物件の規模や立地に応じて依頼先を使い分けることが大切です。- 管理手数料の安さだけでなく、入居率・実績・報告体制・対応の速さなど、総合的なバランスで会社を選びましょう。- 契約前には解約条件や免責期間など、契約内容を必ず確認することがトラブル回避につながります。
マンション経営やアパート経営の成否は、信頼できる不動産会社をパートナーに選べるかどうかに大きく左右されます。管理会社と仲介会社の役割の違いを正しく理解し、自身の経営方針に合った会社を選ぶことで、安定した賃貸経営を実現しましょう。複数の会社を比較検討し、実績や対応を見極めたうえで、長く付き合えるパートナーを見つけることをおすすめします。


